残念ながら乳歯に虫歯ができてしまった場合、治療が必要です。
歯科治療に理解がない年齢なので、大人とは違ったアプローチになります。
無理やり治療をすると歯医者嫌いになり、大人になっても歯科医院に足が遠のく
ようになってしまいます。
ですからなるべく削らないで、虫歯を進行させないことが大切です。
虫歯はその進行している深さによって対応が異なります。
■ C0 歯の表面だけが溶け出している状態、(虫歯の前段階)
歯の表面が白濁~黄色くなっている状態です。(この状態から進むと茶色~黒く
なり、さらに進行すると穴があきます。)
まったく治療の必要はないのですが、虫歯を進行させない環境をつくりたいもの
です。そのためには適切な食生活と歯磨きが大切です。
うまくいけば溶けてしまった表面が再石灰化して元の歯の状態に戻ることがあり
ます。またフッ素は再石灰化を手助けするので、定期的にフッ素を塗るのも有効
です。
歯科医院での定期健診も大切ですが、おうちの方が日頃歯の状態をチェックして、
歯の色が進行していないか確かめてください。進行しているようであれば早めに
歯科医院を受診してください。
■ C1 虫歯が表層のエナメル質にとどまっている状態
まだ、削る必要はありません。虫歯を進行させないように努力します。虫歯が進行
しそうもなければ、定期健診とフッ素塗布で対応可能です。
食生活の内容をお聞きして、甘いものを好んで食べているようなら積極的に虫歯
の進行を抑えます。
虫歯の進行止めの薬(サホライド)を塗ると虫歯の進行をとめることができます。
ただサホライドを塗るとかえって虫歯の部分が黒くなってしまいます。奥歯であれ
ば問題はありませんが、前歯で見た目が気になる場合はサホライドは使用でき
ません。ですので、親御さんと相談してから塗るかどうか決めます。
サホライドはずっと効果があるわけではないので、定期的(3~4ヶ月)に塗る必要
があります。
■ C2 虫歯が内部の象牙質にまで進んでいる状態
この時点で削る治療が必要になります。象牙質はやわらかいので、象牙質に達し
てから虫歯の進行が早くなるからです。
ただ、この年齢ではおとなしく治療させてくれないことの方が多いです。無理やり
治療して「歯医者嫌い」になってしまい、大人になっても治療できなくなってしまう
こともあります。
どうしても治療できないようでしたらサホライドを塗って様子を見ます。そして治療
ができるようになったら削る処置を行います。
■ C3 虫歯が歯の神経にまで達している状態
早急に治療する必要があります。歯の神経が化膿してしまうと、後から生えてくる
永久歯に悪影響があるからです。
この段階になると薬で様子を見るということができませんので、無理にでも治療
しなければならなくなります。
永久歯でもそうですが、虫歯を神経まで達するほど大きくしないことが重要です。
■ C4 歯がほとんど虫歯で崩壊してしまっている状態
抜歯の対象です。
乳歯は永久歯が生えるまでのスペーサーになっています。
つまり、乳歯が永久歯の生える場所を確保しています。
永久歯が生える前に乳歯が抜けてしまうと、永久歯の生える場所がなくなって
しまい永久歯の歯並びが悪くなってしまうことがあります。
そうならないように専用の処置がありますのでご相談ください。
経験から言いますと、歯磨きを頑張るよりも砂糖の入った甘いものを
控える方が虫歯ができません。
この時期は歯磨きは適当でも良いですから食生活を適正にすることを心がけて
ください。
小幡歯科医院
http://www.obatadc.sakura.ne.jp/