ニコ、酒場で戯言

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なべ presents

Galactic Cowboys  「 Space in Your Face」 1993

2005-07-02 21:53:27 | 雑記
「Metallica Meets Beatles」


こう形容された奇才集団Galactic Cowboysの2ndアルバムを今回はピックアップ。
「メタリカ・ミーツ・ビートルズ」とは彼らの不思議なテイストを端的に表した見事なキャッチであるが、そのミクスチャー感覚は遊び感覚に通じていて、どこかふわふわとしていた。混沌とした90年代にあって、この感覚は立派な個性であったが、音楽に付加価値を求めようとする頭でっかちなシーンの混迷は、彼らの遊び感覚を置いてけぼりにしたような気がしている。

オイオイ、ロックだぜ。小難しい顔したって面白くないぜ。思想? クソ食らえ。音楽に情熱燃やせよ。生き方? 哲学? 本を読みなよ。鶏がコケコッコー、牛がモー。そんでロックだよ。何がグランジだよ、パンクだよ。笑わせんなよ。俺たち音楽真剣にやってるよ。

彼らのこの個性的なスタンスは常に異端児扱いされ、当時でいえばこれまた私の大好きなKing's X同様、遂に成功をつかむことができなかった。だが、その個性ゆえにいつ聴いても新鮮。2000年以降更に混迷を極めたシーンにあってはどの作品より瑞々しさが際立つほどだ。

メタリカというよりはアンスラックスのようなゴリ押しのスラッシーなサウンドに美しいながらも人をくったようなボーカルハーモニー。これが彼らのスタンダードだ。因みに前身バンドであるAWFUL TRUTHはもう少しストイックでプログレッシヴなヘヴィロックをやっていたが、これがもう最高なんだよね~(*゜∀゜)=3。大衆性と妙な展開美を併せ持った彼らはこのアルバムのツアーをDream Theaterの前座という形で行っているが(確かDream Theater関連の映像に出てたな)、このパッケージをみても、彼らの音楽的なキャラクターが分かる。

一部でやたらと話題となった

“I do what I do”

の強烈な個性はテキサスの大地がはぐくんだ健康的な異端児のエネルギーを十二分に発散している。ザクザク刻まれるリフと大胆なアコースティックギターとのダイナミズム。そして、“あいどぅわらどぅわらどぅとぅどぅ”ともはや意味不明なコーラスの組み合わせは最高だ。

かと思えば

“No problems”

凄いスピードで猛爆するこの曲。高い技術に裏打ちされた安定感のある演奏力があるからこそこのギャップも自然に演出できるのだ。勿論遊び心はふんだんに散りばめられている。

実は歌詞にはシリアスな内容も含まれていたりするのだが、アメリカは90年代もはやシリアスを笑いで表現するやり方に魅力を感じていない時代だったのか。おまえら、カタすぎるぜ。その主張は見事に空振りし、この後彼らはGeffenレコードからドロップしてしまう。いや、これこそ笑えない話だぜ。結局この後4枚の作品を残して解散。こうしてシーンはますます「売れるキャラ」と「売れるカリスマ」だけを二極に売り出すことに集中していってしまう。音楽なのにだぜ!


ジャケット内にある写真にはメンバー4人が女性用ストッキングを頭からかぶり、互いにそれを上方へと引っ張り合っている写真が掲載されている…。罰ゲームじゃないぜ!ロックだぜ!!!

※クレジット上は9曲だが、シークレットトラックで10、11曲目がある。面白い仕掛けがしてあったりする。

トレーニング中の選曲
“Space in your face”
“You make me smile”
“I do what I do”
“Circle in the fields”
“Blind”
“No problems”
計31分05秒