友人の映画『日本原 牛と人の大地』の感想です。
正直なところ、何がじんわりよかったのか。私自身はまだ牛のように反芻中ですが、なるほどーと
。
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* 佐藤康司さんのFacebook投稿です
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『日本原 牛と人の大地』
木曜日にシネマクレールに観に行きました。
満席はシネマクレールでは初めての経験でした。めでたい!
吉備線の時間の都合で、ぎりぎり滑り込み入場した僕は最前列の右端の席。おかげで画面の中はすべて斜めになるし、首は痛いし、でしたが、それでも最後まで楽しめました(シネマクレールの最前列はスクリーンに近すぎる!)。
この映画は素晴らしい。
素人(とはいっても大学と専門学校で映像制作を学んでいるので基礎知識と基礎技術はあるのだろう)が家庭用ハンディカメラでとった初めての映画とはとても思えない。
ドキュメンタリーというジャンルは、社会批評であったり、あるいはもっとストレートに社会批判であったり、対象そのものを批判するか、対象を通して社会を批判するものだろうと思う。マイケル・ムーアの様な社会の不正や不均衡への怒りをベースにした露骨な挑発による告発ドキュメンタリーもある。
この映画の監督にそれがないとは言わない。
ただ、画面からひしひしと伝わってくるのは、監督の黒部俊介氏の被写体になった人たちへの共感だ。
それはこの映画の主人公ともいえる牛飼いの内藤秀之氏への共感だけではない。
画面に登場するすべての人に対して監督は共感・共鳴している。
日本原の自衛隊演習地内にある内藤氏の耕作地にいつも通りに入ろうとする内藤氏の長男太一氏を「日米合同演習」を理由に拒否する若い自衛隊員に対してさえ、その職務上の立場への戸惑いを映してしまうことで共感が現れる。
この監督の「共感能力」は稀有の才能ではないだろうか?
反基地の活動家でもあり牛飼いの内藤氏の誠実で大きな人柄、その妻である早苗氏のパワフルな語り口の他、登場する実在の市井の人たちの存在感そのものが、この映画の爽快感と温かさを作っているのは間違いないが、それをこのようにカメラに収める、というのは誰にでもできることではないだろう。
この監督が今後、仕事として映画を撮るのかどうかはわからない。でも、人に対する共感で映画を撮れるというのは、繰り返すが稀有な才能だと思う。また次作も観てみたい。
内藤氏や内藤氏を取り巻く人たち。国の形と人々の生活、学生運動、反基地闘争・・・。等々の映画の内容については、ぜひ映画を観に行ってください。
シネマクレールでは11月に追加上映が決まったそうです!
沖縄他全国でも上映館が増えているようです!
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