第165回天皇賞回顧~阪神内回りにHyperionが満開

2022-05-02 19:05:30 | 血統予想

阪神11R天皇賞
◎16.タイトルホルダー
○18.ディープボンド
▲3.ディバインフォース
△11.マイネルファンロン
×1.アイアンバローズ
×8.クレッシェンドラヴ
×10.トーセンカンビーナ
27年ぶりに阪神3200で行われた昨年の春天は、ワールドプレミアがディープボンドを差し切ったところがゴール。絶妙のタイミングで先頭に立ったスティッフェリオをフィエールマンが差し切ったように、カレンミロティックに交されたキタサンブラックが最後の最後に差し返したように、フェイムゲームの強襲をゴールドシップがクビ差だけ凌いだように、ゴール前はやっぱり格がモノを言うのだという結末だった。古馬の長距離G1なのだから、G1馬としての格がまず問われるのだということを忘れてはならない。距離でもコースでも馬場でも騎手でも出口は何でもいいが、入口は格で入るべきだろうと思う。日経賞を八分ぐらいの仕上げで格だけで勝ったタイトルホルダーが◎。ドゥラメンテ×モティヴェイター×シャーリーハイツ×ビーマイベスト、血統も中長距離のチャンピオンとして全くキズがない。血統や脚元からみて雨で渋ってもOK。実にハイペリオン的な体質でストライドが伸びる走りではないが、それだけに阪神内回りなのも菊につづいてチャンスだろう。
ディバインフォースはルックトゥワイスの甥で、見るからに低燃費なステイヤー体質でトボトボと長距離を追い込んでくる。マイネルファンロンはユーバーレーベンの3/4同血の兄で、父ステイゴールド母母父ブライアンズタイムでヘイローのクロスと阪神の春天っぽいイメージの血統だ。オルフェーヴル×ロベルトのアイアンバローズも阪神内長距離は合っている。テーオーロイヤルはリオンディーズ×マンハッタンカフェ×クリスエスだからエピファネイアのステイヤーというイメージだが、ダイヤモンドで◎にしたときにも書いたように大箱向きの走りではある。ヴァルコスやマカオンドールも内回りのコーナーで追い上げるレースは得手ではないのでは。

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例によってNETKEIBAの全頭解説から1~3着を

タイトルホルダー
メロディーレーンの半弟で、母メーヴェはJRA5勝。3代母Lora's Guestの全姉に英1000ギニー馬On the Houseがいる。母父Motivatorは英ダービー馬でヴァンドギャルドやステラリアの母父。母も姉も牝馬ながら長いところで活躍したし、本馬もHyperion的な持続力と粘着力と地力を感じさせる。日経賞はラップ的にはスローの逃げ切りだが、最後は格で競り勝ったような内容だった。阪神内回りは脚質的に合う。菊につづく押し切りを。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



ディープボンド
ダンケシェーンの半弟で、ローレルゲレイロやリキサンマックスのイトコ。Storm Bird≒Nijinsky4×5などStorm Catの血脈構成をニアリークロスで増幅しており、キズナ産駒の走る配合パターンといえる。HaloやTom Foolのクロスで無駄なく燃費よく走れるし、スタミナと機動力兼備でどこでもしぶとく好走するが、ジリ脚で大一番で2着が多いのは母母父カコイーシーズの面影も。阪神大賞典を連覇、昨年の春天も2着だから内回り長丁場は自信満々。(距離◎スピード○底力◎コース◎)



テーオーロイヤル
メイショウハリオの半弟で、メイショウカドマツやメイショウキョウジの甥で、メイショウベルボンやメイショウウチデのイトコで、4代母はCourtly Deeという名門牝系。リオンディーズ×マンハッタンカフェはリプレーザと同じ。母母父がKris S.だからリオンディーズをエピファネイア風味にした配合ともいえる。4連勝でダイヤモンドSも制し、長いところでは底を見せておらずここも楽しみだが、阪神なら外回りがベターなタイプではある。(距離◎スピード○底力◎コース○)



阪神芝は根付きがいいのか、見た目にインが荒れていて掘れてるのに外が伸びるふうでもなく、逃げるタイトルホルダーをディープボンドが負かしにいくその間隙を突くならば、インベタでロスなく立ち回れる馬ではないか…ということでアイアンバローズがビックリするほど売れたんやと思いますね

横山和生が敢然とハナを切り、他の有力どころもすかさず好位につけ、序盤はだいたい予想どおりの隊列で、さてここからレースがどう動くのか、どれが負かしにいくのか、誰が鈴をつけにいくのか

…と、そこへカラ馬となったシルヴァーソニックが進出してきてタイトルの直後へ、出走馬の多くが取りたかったであろうインのベスポジにおさまってしまい、これでタイトルのインをすくう、タイトルの直後を追い上げるというプランはみんな諦めざるをえなかった

一言コメントでディープボンドについて「惜敗Alydar」と書いたように、カコイーシーズもEasy Goerも、そしてAlydar自身も、大一番では力強く捲り差してくるものの2着までというレースを繰り返した中距離馬で、村田牧場産らしいTom Fool的なオールラウンドなスピードで何でもできる馬なんですが、こうなるとどう乗ったら2着にならないのかをまず考えたい(^ ^;)



Alydarの血を引くJRAG1勝ち馬を検索してみると、直近ではドレフォン産駒ジオグリフの皐月賞、あとはジェンティルドンナ、スワーヴリチャード、サトノダイヤモンド、ダノンスマッシュ、ミッキーアイル、ラッキーライラック、ローレルゲレイロ、コパノリッキー、ゴールドアクター、アエロリット、ラウダシオン、インティ、ノンコノユメ、こんなもんですかね近いところでは

ハーツ産駒のスワーヴは置いといて、あとはだいたい先行押し切りか、有馬や皐月や大阪杯を捲りで決めてしまうようなイメージで、やっぱり長い直線でビッシリ叩き合うよりは、4角である程度決めてしまうようなね、そんな感じでアメリカンに乗ったほうが、Alydarは勝ち味があるんじゃないかという気はします

昨年の有馬のイン捲りもなかなかの惜敗でしたが、私なら下半期は有馬を大目標で勝負賭けたいですかね、内回りをがむしゃらに捲り上げる和田のキツツキ追いを見たい

テーオーロイヤルはリオンディーズ×マンハッタンカフェ×Kris S.ですから、リオンディーズ産駒というよりはエピファネイア産駒のステイヤーというイメージで、長距離をしなやかストライドで走るのでダイヤモンドは自信の◎でしたが、阪神内回りで2強を相手にするのは楽ではないだろう…と

手応え十分のタイトルホルダーを負かしにいくべく、またカラ馬を内に封じ込めるべく菱田は敢然とスパートし、こういうタイプが内回りのコーナーで脚を使うとだいたい最後苦しくなるもんですが、フラフラになりながらも3着に踏ん張ったのは立派で、マンカフェのRibotやドイツ血脈も活きた新星ステイヤー誕生、京都の春天ならもっと頑張れたと思います

初年度からこんな馬を出した種牡馬リオンディーズも優秀で、サートゥルナーリアの初仔もあちこちで大評判になっているし、いやシーザリオの血おそるべしすぎます

テーオーロイヤルの配合の最大のポイントは、父リオンディーズがNureyev≒Sadler's Wells4×3で母メイショウオウヒがNorthern Dancerの血を全くもたないことで、ピンクカメハメハの母も非Northern Dancerだし、リオンディーズが非Northern Dancerの繁殖や非Northern Dancerクロスの繁殖との配合で成功しているのはきわめて順当といえます

だからリオンディーズ×シンボリクリスエスは成功するだろうと予言してきたんですが、決して走ってなくはないんですが大物と呼べるような馬はまだ出ておらず、ヴァーンフリートあたりもっと頑張っていただきたいなと…

タイトルホルダーは最初の1000mを60.5で入り、中盤緩めて、ラスト1000mを60.3で走破、離して逃げたこの馬が上がり最速ですから後続は手も足も出ません

まさにスタミナの勝利でしたが、ゴール前で叩き合いになって、苦しくなってもがき合いになってから踏ん張るのがHyperionの真骨頂で、そんな真骨頂は出すまでもない圧勝でした

パドックでの印象は、ピカピカでムチムチでジューシーで実に美味しそうに見えた有馬と比較すると、もっと枯れて締まって親鳥の炭火焼みたいに見えたけれど、それは長距離仕様につくってきたということだろうし、ヒナから親鳥へ、Hyperion的に完成してきたということでもあるかと

ほんとに近ごろの日本の一流馬には珍しいぐらいHyperion的な体質脚質の馬で、エアグルーヴがHyperion4・6・6×5・6・6、Motivatorの母Our WestがMixed Marriage4×4、Be My GuestがHyperion4×4

「ナスペリオンの王様」ドゥラメンテのダイナミックな駆動とは似ても似つかないフォームですが、スタートからゴールまでずっと同じフォームで実直に粘り強く走りつづけるさまはザ・Hyperion

菊と春天が阪神内回りで行われたのは、この馬にとっては良い巡り合わせやったと思いますね


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-05-05 09:24:41
リオンディーズは他のノーザンダンサー過多の種馬より母父非ノーザンがよく走る印象
マンハッタンカフェ フジキセキ Siphon アッミラーレ ゼンノロブロイ
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