栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

Robertoパワーでねじ伏せるエネイブル、Mill Reef斬れで差すユリシーズ

2017-09-28 11:18:43 | 配合論

凱旋門賞に出てくるユリシーズUlysses(今季はG1エクリプスSとG1英インタナショナルSに勝ちキングジョージ2着)とクロスオブスターズCloth of Stars(G1ガネー賞勝ち、前哨戦のG2フォア賞は2着)は、以下のように父が3/4同血の兄弟で母が全姉妹、つまり7/8同血ぐらいの関係になります



この配合のポイントの一つは(Urban Seaとランジェリーを通じる)Hopespringseternal≒Mill Reefのニアリークロスで、以下のようにPrincequillo、Nasrullah、Businesslike≒Be Faithful(Blue LarkspurとLa Troienne)が共通します

シャドーロールを付けたUlyssesが重厚なストライドで斬れる様は非常にMill Reef的で、Cloth of Starsも後方から斬れ味で差すレースぶりはよく似ていて、ただこちらはNever Bendのクロス6×5も持つせいかラトロ肩でちょっと重心が高い





そしてMr.Prospectorの母Gold DiggerはMill Reef同様ナスフリート(しなやかなNasrullahとCount Fleetの組み合わせ)ですから、この2頭はなかなかMill Reef的な斬れを増幅した配合になっていることがわかります

一方、大本命に推されている女傑エネイブルEnableも、父系がGalileoで母母父Shirley HeightsというのはUlyssesと同じで、Hopespringseternal≒Mill Reef5×4を持ちますが、こちらは何といってもSadler's Wells3×2のクロスが目を引く



この配合のポイントは、Sadler's WellsのクロスにRobertoとNijinskyが絡んでいる点で、RobertoとSadler's Wellsが出会うと、以下のようにHail to ReasonとNashua≒Nantallahのクロスになり、つまりRobertoの父と母父をクロスすることになる

しかもRobertoの母母RareleaとNijinskyの母父Bull Pageは7/8同血ぐらいの関係なので、EnableはRobertoの父と母父と母母をクロスしている、Robertoの血脈構成を全て増幅した配合をしていることがわかります







実際掻き込みの強い走法はSadler's WellsというよりもRoberto的で、斬れで差すUlyssesとCloth of Starsよりも、早め先頭からパワーでねじ伏せるEnableのほうが男性的な勝ち方をしますよね

そんなパワー自慢の女傑ですから道悪も実績十分、人気がかぶるのもわかりますが、前走ヨークシャーオークスは逃げ切り、キングジョージも英愛オークスも少頭数を2~3番手からの抜け出し

これまで馬群を割って勝つような競馬をしたことはないはずで、5代母Fleet Nobleの父がVaguely Nobleだけにそこが唯一の不安点ではないかと

コメント (2)
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