栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第62回安田記念回顧~サンデー的柔さから逃れるために(2)

2012-06-06 09:13:22 | 血統予想

東京11R 安田記念
◎16.ローズキングダム
○10.アパパネ
▲7.サダムパテック
△14.グロリアスデイズ
△18.ペルーサ
×4.ストロングリターン
◎はノーザンダンサーとミルリーフのクロスだから父キングカメハメハの母父ラストタイクーン(BCマイル勝ち馬)らしさがオンになっていて、中距離ではスローでしか好走しないし、超Hペースの秋天でも好位で押さえきれない手応え、そしてエイシンアポロンやガルボを相手にしなかった朝日杯を思い起こせば、本質はマイル近辺にあるのではないか…というところを狙ってみたい。もちろん良馬場が前提になるが、日曜の府中の予報は午前中に少し降る程度。稍重以上に渋るようなら○から入ってエイシンアポロンを▲としたいが、今年も傑出馬不在で馬場や展開一つというレースになりそうだ。

東京8R 3歳上500万下
狙15.マスクオフ
コイウタやアグネスアークの近親で母はスワンS勝ち馬。「サンデー×リファール×ハイインロー」「サンデー×ミスプロ×ヒッティングアウェー」のA級配合形を併せ持ち、この世代のディープ産駒のなかでPOG関連ではイチオシしてきた配合馬で、血統・配合のイメージどおりに“小さなコイウタ”というタイプに出ている。まだまだ上を狙える器だ。

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私が競馬を見はじめた1985年からもう30年近くが経つのですが、その間に安田記念とマイルCSを連覇した馬、もしくはどちらかを勝ちどちらかを2着した馬となると、ニホンピロウイナー、ニッポーテイオー、バンブーメモリー、オグリキャップ、ダイタクヘリオス、ヤマニンゼファー、ノースフライト、トロットサンダー、ジェニュイン、タイキブリザード、タイキシャトル、エアジハード、アグネスデジタル、アサクサデンエン、デュランダル、ダイワメジャー、ウオッカと17頭いますから、少なくとも2年に1頭以上のペースで「誰もが認めるマイル王」が出現していたことになります

馬券を買う側も、安田とマイルCSは「強い馬が強く勝つレース」という認識だったと思います

しかしこの「誰もが認めるマイル王」はウオッカ以降出ていなかっただけに、ストロングリターンが昨年2着→今年1着と安田記念連続連対を果たした意味は大きいのではないかと思うし、そのストロングリターンがサンデーサイレンスの血を引かないというのは非常に興味深いところでもあります

相手牝馬の持ち味を活かしながらも2000m近辺に適性を寄せてくるのがサンデーサイレンスやディープインパクトやアグネスタキオンで、それは伝えるスピードの質がしなやかで柔らかだからなのですが、私が肉眼で見た限りの独断でいうと、タイキシャトル以降、サクラバクシンオー以降、彼らを超えるマイラー・スプリンターは出ておらず、この「以降」とは「サンデーの血が浸透し拡散されて以降」と言い換えることも可能です

ヴィクトワールピサやナカヤマフェスタやブエナビスタなどの大活躍を見ての通り、サンデー系のしなやかさ柔らかさによって日本の競馬は中距離では世界のトップレベルに登りつめたといっていいと思いますが、その代償として近年の短距離~マイル路線の停滞・混迷があるのではなかろうかということは、以前から指摘してきました

上記マイル王たちのなかでサンデーの血を引くのはジェニュイン、デュランダル、ダイワメジャーの3頭だけですが、うち2頭の母父がノーザンテーストなのは偶然ではないはずで、Lady Angelaの頑健さをガンコに主張するテースト爺ちゃんの力を借りないと、大種牡馬サンデーといえども真のマイル王はなかなかつくれなかったのです

FrankelやGoldikovaなど世界の主要な芝マイル戦ではデインヒルやGreen DesertといったDanzig系の血が依然有力ですが、このラインはパワーが凄すぎて日本の高速馬場ではちょっと劣勢で、デインヒル-ロックオブジブラルタル親子も日本では期待ほどの成績を残せませんでした

そんななか、NHKマイルを圧勝したカレンブラックヒルのスカーレットブーケ≒Storm Catを軸にした配合などは、サンデー系がマイルでの頑健さを獲得するためのヒントがいろいろと隠されているようにも思いますが…

安田記念回顧~サンデー的柔さから逃れるために
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/c4a0f5a1c7fb515eb082cf3bc762aac6

コメント (5)
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