また電王戦の話の続きです。
今年の電王戦についての記事はこちら。
<作戦間違い@電王戦>
<その2>
<その3>
<その4>
<その5>
<その6>
<その7>
<その8>
以下、勝手な妄想の“もしも”シリーズです。
〇年後、その頃電王戦はどうなっているかわからないけど、コンピュータソフトはどんどん目覚ましい進化を遂げ、トップ棋士が束になってかかってもかなわないほどの実力になっていた。
そして、そんなソフトが安価で手に入るようになって、我々将棋ファンのスマホにも簡単にインストールできるような時代になっていた。
さて、現在、H生名人とM内挑戦者の名人戦の対局が行われています。
大盤解説会の解説はF井九段。
局面はいよいよ終盤にかかろうかという勝負所に差し掛かっている。
F井九段の自虐ネタも含めた楽しいトークが続いています。
聞き手のF田女流初段が、『この後の展開はどうなりそうですか?
F井先生は現局面、どっち持ちですか?』などと聞く。
『そうですねえ。
ここからは先手の攻めがしばらくは続くでしょうけど、やはり玉型の差が大きいとみるので、後手優勢なんでしょうか。
さきほど控室でもそういう見方だという情報もありましたし、先手は辛いですかね?』
ここで一番前に座っていたベテランファンが、
『3三に銀を打ったら先手がいいんじゃないですか?』
F井九段、ちょっと考えて、
『あー、そうですね。その手は有効ですかね。
あれ?それいいかもしれませんね。
全然気づきませんでしたけど、そんな手もありましたか。
で、こうやってこうしてこうなると、
そうですね、先手勝勢な感じですね。。。。』
しばし手が進んで、
F井九段、
『これでもう先手の勝ちは動きませんね。
詰みを読み切ってる感じですか。
後手はもう手の打ちようがないです。』
後ろの方の若いファンから、
『後手玉が1四に早逃げしたら詰まないと思いますけど。』
F井九段、
『あっ、1四ですか、、、、、
ここで早逃げするんですか、、、
うーん、それ成り立ちますかね?』
若いファン、
『こう来たらこっち行けばいいし、ここで飛車打たれても桂合いすれば大丈夫ですし。』
F井九段、表情が曇りがちになって、
『えーと。。。
確かにそうですね。
今日は上級者の方が多いですね。(笑)
対局者にしかわからない難解な局面だと思っていましたが、そういう読み筋は気が付きませんでした。
今日はもう解説、要らないんじゃないですか。
すっかり自信なくなりましたよ。』
かなり深刻な表情になり、口数も少なくなってきました。
生徒の方がスマホで正解手順をしっかり把握している状況では、さすがのF井九段でも先生役は勤めにくい。
どんどんタジタジとなって、いつもの楽しい解説会の様相はどこかにいってしまいました。
一方、名人戦ニコ生中継の解説は切れ味鋭いギャグを飛ばしまくるT川七段です。
H生さん、M内さんとは奨励会の同期とのこと。
『同期は同期なんですけどね、この二人とはラベルが違います。
読みが高度過ぎて、私なんかついていけません。』
聞き手のN村M子女流初段もあきれる中、終盤に差し掛かる局面について、いくつかの予想する手順を紹介していく。
ニコ生の画面には視聴者から寄せられたコメントが何か言う度にどんどん流れる。
『それはありえない。』
『こう指すべき。』
『わかってないなあ。』
『ここは角を打ったら勝ちなのに。』
『気がつかないみたいだよね。』
などと、スマホのソフトを駆使しつつだろうけど、あまりにも鋭すぎる読み筋が表示される。
勝手に答え合わせをしてしまっているファンからの嵐のようなコメントに、
T川七段は、
『中盤の難所、ヒマラヤ山脈かと思っていたら、もう読み切っているんですか。
もう予想はヨソウ。
放っとけーキ。』
何とかギャグは続いているけど、もはや指し手の解説はできなくなっている。
すべてはソフトが、いや、一般将棋ファンがお見通し。
どっちが勝つのか。
どういう手が予想されるのか、という楽しみも味わえないまま、どんどん正解手がバラされていって、あっけなく詰みまでが提示されてしまう。
解説者とファンがうんうんもがいて苦しんで最善手を予想したりひねり出したりする必要はまるでない。
考える楽しみが奪われる。
正解主義。
タイトル保持者だろうがA級棋士だろうが、何人集まったってソフトの足元にも及ばない。
全く盛り上がらない観る将棋ファン。
僕らファンがちょっとスマホいじるだけで、プロ棋士よりも数倍深い読みができちゃうのであれば、解説するというのは酷だし、誰もやらないはず。
プロ棋士が真剣に戦っているそばから、
ニコ生でもtwitterでも、
『ソフトがこう言ってるから、もう詰みじゃん。』
『何を時間かけて考えてるんだろ?まだわからないのかな?』
とコメントが飛び交ってしまう。
これじゃ対局者だってやってられない。
人智では及ばない局面。
プライドがズタズタにされる。
すべて明らかにされる。丸裸にされてしまう。
そんな日が決して来ないことを願ってやみません。
マジでよろしくお願いします
今年の電王戦についての記事はこちら。
<作戦間違い@電王戦>
<その2>
<その3>
<その4>
<その5>
<その6>
<その7>
<その8>
以下、勝手な妄想の“もしも”シリーズです。
〇年後、その頃電王戦はどうなっているかわからないけど、コンピュータソフトはどんどん目覚ましい進化を遂げ、トップ棋士が束になってかかってもかなわないほどの実力になっていた。
そして、そんなソフトが安価で手に入るようになって、我々将棋ファンのスマホにも簡単にインストールできるような時代になっていた。
さて、現在、H生名人とM内挑戦者の名人戦の対局が行われています。
大盤解説会の解説はF井九段。
局面はいよいよ終盤にかかろうかという勝負所に差し掛かっている。
F井九段の自虐ネタも含めた楽しいトークが続いています。
聞き手のF田女流初段が、『この後の展開はどうなりそうですか?
F井先生は現局面、どっち持ちですか?』などと聞く。
『そうですねえ。
ここからは先手の攻めがしばらくは続くでしょうけど、やはり玉型の差が大きいとみるので、後手優勢なんでしょうか。
さきほど控室でもそういう見方だという情報もありましたし、先手は辛いですかね?』
ここで一番前に座っていたベテランファンが、
『3三に銀を打ったら先手がいいんじゃないですか?』
F井九段、ちょっと考えて、
『あー、そうですね。その手は有効ですかね。
あれ?それいいかもしれませんね。
全然気づきませんでしたけど、そんな手もありましたか。
で、こうやってこうしてこうなると、
そうですね、先手勝勢な感じですね。。。。』
しばし手が進んで、
F井九段、
『これでもう先手の勝ちは動きませんね。
詰みを読み切ってる感じですか。
後手はもう手の打ちようがないです。』
後ろの方の若いファンから、
『後手玉が1四に早逃げしたら詰まないと思いますけど。』
F井九段、
『あっ、1四ですか、、、、、
ここで早逃げするんですか、、、
うーん、それ成り立ちますかね?』
若いファン、
『こう来たらこっち行けばいいし、ここで飛車打たれても桂合いすれば大丈夫ですし。』
F井九段、表情が曇りがちになって、
『えーと。。。
確かにそうですね。
今日は上級者の方が多いですね。(笑)
対局者にしかわからない難解な局面だと思っていましたが、そういう読み筋は気が付きませんでした。
今日はもう解説、要らないんじゃないですか。
すっかり自信なくなりましたよ。』
かなり深刻な表情になり、口数も少なくなってきました。
生徒の方がスマホで正解手順をしっかり把握している状況では、さすがのF井九段でも先生役は勤めにくい。
どんどんタジタジとなって、いつもの楽しい解説会の様相はどこかにいってしまいました。
一方、名人戦ニコ生中継の解説は切れ味鋭いギャグを飛ばしまくるT川七段です。
H生さん、M内さんとは奨励会の同期とのこと。
『同期は同期なんですけどね、この二人とはラベルが違います。
読みが高度過ぎて、私なんかついていけません。』
聞き手のN村M子女流初段もあきれる中、終盤に差し掛かる局面について、いくつかの予想する手順を紹介していく。
ニコ生の画面には視聴者から寄せられたコメントが何か言う度にどんどん流れる。
『それはありえない。』
『こう指すべき。』
『わかってないなあ。』
『ここは角を打ったら勝ちなのに。』
『気がつかないみたいだよね。』
などと、スマホのソフトを駆使しつつだろうけど、あまりにも鋭すぎる読み筋が表示される。
勝手に答え合わせをしてしまっているファンからの嵐のようなコメントに、
T川七段は、
『中盤の難所、ヒマラヤ山脈かと思っていたら、もう読み切っているんですか。
もう予想はヨソウ。
放っとけーキ。』
何とかギャグは続いているけど、もはや指し手の解説はできなくなっている。
すべてはソフトが、いや、一般将棋ファンがお見通し。
どっちが勝つのか。
どういう手が予想されるのか、という楽しみも味わえないまま、どんどん正解手がバラされていって、あっけなく詰みまでが提示されてしまう。
解説者とファンがうんうんもがいて苦しんで最善手を予想したりひねり出したりする必要はまるでない。
考える楽しみが奪われる。
正解主義。
タイトル保持者だろうがA級棋士だろうが、何人集まったってソフトの足元にも及ばない。
全く盛り上がらない観る将棋ファン。
僕らファンがちょっとスマホいじるだけで、プロ棋士よりも数倍深い読みができちゃうのであれば、解説するというのは酷だし、誰もやらないはず。
プロ棋士が真剣に戦っているそばから、
ニコ生でもtwitterでも、
『ソフトがこう言ってるから、もう詰みじゃん。』
『何を時間かけて考えてるんだろ?まだわからないのかな?』
とコメントが飛び交ってしまう。
これじゃ対局者だってやってられない。
人智では及ばない局面。
プライドがズタズタにされる。
すべて明らかにされる。丸裸にされてしまう。
そんな日が決して来ないことを願ってやみません。
マジでよろしくお願いします