daichanの小部屋

ある平凡な将棋指しの日常

電王戦終わる

2014-04-13 17:34:49 | 日記・雑談
怒涛の5週間が終わりました。

昨日の最終局はなんと視聴者数70万人越え。
これは昨年の最終局を大きく上回る数字で、おそらくニコ生全体でも、めったにないのではないでしょうか。
すでにプロ側の負け越しが決まっているにも関わらずこの数字ですから、驚かされました。
ponanzaの指し手にも、何度も驚かされました。本当にすごい将棋でした。
長い一局、長い一日、長いイベントでした。

今回の電王戦、僕は担当理事として、棋士側の人選をはじめ連盟側の準備のほぼすべてに関わり、大阪の第3局を除く4つの対局に終日立ち合い、そしてそのすべてで棋士が負けました。
そこだけ考えると、つらい仕事でした。
それ以外にも苦労はたくさんありましたが、やっぱり僕も将棋指しですから、盤上の負けが、なによりもつらかったです。
第1局こそ完敗でしたが、2・4・5局に関しては、十分な勝機がありました。
それをことごとく負けてしまったというのは、それだけコンピュータが強いということです。

同時に、個人的には、おかげで非常に貴重な経験をさせてもらいました。
これだけ注目されるイベントにこんなに間近で関われたことは、本当に幸運なことだったと思っています。
人間誰しもそのとき、その立場でなければ経験できないことというのは必ずあるわけで、今回の巡り合わせにとても感謝しています。
僕自身もこの一年でニコ生をずいぶん観るようになりましたので、運営としてだけでなく一ファンとしても、感謝の念に堪えません。
将棋は奥深く、難しく、荘厳で、ときに残酷で、だからこそ面白くて、そしてニコニコ生放送は楽しいです。

終局後の会見で両会長から話があった通り、今後の電王戦については全くの未定です。
ですがもちろん、僕自身もいつも、今後のことは考えています。
コンピュータとどう付き合っていくか?が21世紀の人類の大きなテーマ、とは川上会長の言葉ですが、コンピュータ将棋とどう向き合うか、プロ棋士以上に、考えるべき人々はいません。

同時に、別に将棋の強い人だけが関心を持っているわけではないですので、本当にいろいろな人のさまざまな意見を日々目に、耳にしています。
でも、選択肢がどんなにたくさんあっても、その場、その場で指せる手はひとつしかありません。
どの手にも長所と短所が目につき、正解は進んでみないと分かりません。
なんだか将棋みたいだな、と思います。


さて、明日は月曜日、いつものように役員会。
勝負の結果に関わらず、必ず明日はやってきて、日常が待っています。
理事職の難しいところは(事務仕事全般に言えそうですが)常時頭を切り替えていかないところだと感じています。
コンピュータのこと以外にも、運営面での課題はたくさんありますので、ひとつひとつこなしていきたいと思います。

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5 コメント

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電王戦について (atog2_435)
2014-04-13 19:14:37
片上理事お疲れ様でした。
視聴者数がこれだけ多い理由ですが、ファンは皆、純粋に人間の力がコンピュータにどれだけ通用するのか、とかコンピュータが新たな定跡を発見するとか、それを期待しているのだと思っています。

なので人間が勝てないから面白くないとか、勝てるように盤駒が必要とかそういう事を望んでいる人は少ないと思います。

来年の電王戦ですがレギュレーションについては、いかが良いと思っています。
 ・マシンスペックは統一させる
 ・事前貸出しはOKとする。ただしソフトの改良は認める

ただし、これとは別に、森下九段の提唱する盤駒を使った対局については、電王戦とは別の企画で進めて頂ければ助かります。

あと、来年の人選については基本的には希望者で良いと思うのですが、タイトルホルダーの方でも出たいという方がいれば是非、出していただきたいです。

ゆくゆくは電王戦が名人戦や竜王戦のようなグレードの高い棋戦になってもらい、棋士側も挑戦者決定トーナメントになればもっと素晴らしいと思います。




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まさか計算通り? (おさかなダンス〓)
2014-04-14 00:41:09
人選も会場もアクシデントも
メチャクチャおもしろかったょ(。≧∇≦。)
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Unknown (たるく)
2014-04-14 02:32:52
>コンピュータ将棋とどう向き合うか、プロ棋士以上に、考えるべき人々はいません。

そのとおりなのでしょう。
ただ、コンピュータ将棋開発者の方々は、今後プロ棋士と付き合う意思があるのか。そこが分かりません。「プロ棋士なんて弱すぎて相手にならん」というのが開発者さんの本音かも知れないと思うのです。
共存共栄と思っているのはプロ棋士だけで、開発者の方々は「利用されるだけ」という感覚になっていてもおかしくないと感じます。

電王戦の今後を考えるにあたって、開発者の方々の意思を読み違えるとみっともないことになりかねない。なんとなく、そんなことを危惧する次第です。


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おつかれさまでした (通りすがり)
2014-04-14 11:20:29
まずはおつかれさまでした。
プロ棋士の一部の方も言っておられる通り、
単純な勝負としてはプロ棋士が負けてもやむを得ない、
という状況まで来たと思います。
各局を見ても中終盤で接戦になると、ソフトはかなりの強さになるのは間違い無いですし。
私個人としては来年も楽しみですが、今後どうしていくのか、なかなか難しいかもしれませんね。
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お疲れ様でした (初心)
2014-04-14 20:15:10
片上理事、今回の電王戦は多くの難題があり、とても困難な道のりだったと思います。本当にお疲れ様でした。

僕は普段は将棋の番組を見ないのですが、電王戦だけはとても楽しみながら拝見しました。将棋は初心者レベルなのでプロの方の将棋はよく分かりませんが、出場者のPV、解説の先生方の軽快なトーク、ゲスト出演された方のトークなど、とても楽しかったです。また、この電王戦を通して、棋士や開発者の方々の人間ドラマを感じ取ることが出来ました。

米長先生は数十年先のことを考えて、この電王戦をつくったと仰っていました。最後の全体記者会見を見ると、第4回の電王戦はなくなる可能性もあるように感じました。数年先を見れば、ここでコンピュータとの戦いを終わらせておいたほうがいいのかもしれません。しかし、数十年先のことを考えれば、この電王戦で爆発的に増えていく将棋ファンの子供たちが必ず未来の将棋界を発展させていくはずであると思います。どうか長期的な視野でこの電王戦を育てていってほしいです。
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