即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

作戦間違い@電王戦・その5

2014年04月11日 23時18分27秒 | 将棋
電王戦について<作戦間違い@電王戦><その2><その3><その4>と書いてきました。
なかなかもやもやは消えないので今日はその5です。

まずはその3にいただいた九鬼さんのコメントです。
九鬼さん、お忙しいのにありがとうございました。
*****************************************************
つきあい方次第(続き)

nanaponさんは、プロ棋士より強いコンピューター将棋の出現がプロ棋戦に与える悪影響を心配していらっしゃいます。今回の記事ではその理由を3つ上げていて、1つ目はコンピューターによる「正解手」が示されることで、観戦しているファンが白けてしまう危険でした。これについては、前回のコメントである程度書きましたので、もう繰り返さないことにします。

2つ目はカンニング対策問題ですが、記事の書き方ではちょっと分かりにくいですが、nanaponさんとしてはカンニングが実際に起きるかどうか(もちろんそれも重要ですが)よりも、カンニングの可能性があるというだけでファンは白けてしまう、少なくともその危険があるのにプロ棋士の方々は危機感がないようである、とおっしゃりたかったのかなと思いました。確かに、この点は将来何らかの対策が必要な気がします。

3つ目は観戦記の問題ですが、nanaponさんとしてはプロより強いコンピューターの分析が導入されることで、観戦記がプロ棋士達の研究内容のネタばらしになってしまい、対局が「正解」発表会みたいになっちゃう(=ファンは白ける)ことを危惧していらっしゃるのかなと思いました。これはどうなんでしょうね? ライブ観戦の場面では、コンピューターの手が横に示されても、私は白けずに楽しめる(今の楽しみ方とは違ってしまうかもしれないけど)と思いますが、観戦記の問題はあまり考えたことがありませんでした。チェスの方でどうなっているか、知りたいところです。

という訳で、私は生来楽観的な性質だから本件についてもnanaponさんより楽観的なだけで、実は大した根拠があるわけじゃないのがよく分かりました。困った奴です。

いずれにしましても、「付き合い方次第」というnanaponさんのご意見には賛成です。建設的な付き合い方を模索していくのは重要ですよね。ただ、「付き合い方」の問題の前に「受け止め方」の問題があって、nanaponさんは違うと分かりましたが、多くの旧来のファンはまだプロ棋士(というか羽生先生)がコンピューターに打ち負かされるシーンを心のどこかで受け入れられないでいるんじゃないか、そう感じています。この点については、プロ棋士達自身の方が意外ととっくに覚悟はできているのかもしれません。紆余曲折はあっても、電王戦が将棋ファンにとって有意義な「学習」の時間になるといいのですが。そのためには、nanaponさんが指摘していらっしゃるように、演出過剰などの問題点について再検討しなくてはいけないでしょうね。
******************************************************

九鬼さんって緻密だし、きちんとものごとを整理して考える方ですね。
今までの流れだと、九鬼さんが楽観的で僕が悲観的な図式になってますが、僕の方こそおおざっぱでいい加減で勝手に思ったことほざいてるだけですよ。
そして何をどう言ったか、それが誰にどんな影響を与えたかとか、さらに突っ込んで掘り下げる前に忘れちゃってるんですよね。
すいません、情けないオジサンで。

どちらにしても九鬼さんも賛同してくれたように今後の付き合い方をどうしていくかだと思っています。
底辺拡大とか、棋士にとっての刺激や研究と言う意味では当然メリットもあるのだと思いますし、短絡的にこれ以上ソフトの開発を進めるべきではないというのも極論だと思います。
結局、どうやったって人間が決めることだし、まずは連盟が中心になって将棋のさらなる発展というテーマの中で3年後、5年後の将棋とコンピュータのあるべき姿を考えていくことだと思います。
ここ1年でソフトはかなり進化しているわけだし、この先どんどんトップ棋士を繰り出していけばいいというものでもないと思いますし、電王戦をどうしていくかと言うことにとどまらず、大局観に基づく正確な読みと判断力をもって両者の健全な発展のための最善手を早めに決断すべきだと思っています。

先日の名人戦第一局前夜祭でも棋士の方とお話させてもらいましたが、本当に皆腰も低いし魅力的な方々が多いです。
そんな棋士の方が皆かなりの覚悟を持って電王戦に出て来てくれています。

電王戦の開催について言えば、敬愛する棋士の方に対してあのトイレの場所(特に小田原城!)は筋が悪いどころでなく、完全に悪手だと思います。(いまだにあのシーン(和服の森下九段がかなりの敗勢で時間も無くなった終盤に、外に出て階段を下りてとぼとぼとトイレに行く様。)が悪夢のように思い出されます。)
あのトイレの場所を容認した形での会場設定というのは、イベンターとしては完全に失格。
あきれます。
プロ棋士に対するリスペクトが全くないと言わざるを得ません。
トイレを犠牲にしてまでも、あの会場設営をした意味は、話題性を盛り上げて新たなファン層を開拓することに特化したということなんでしょうか。
違和感を感じてしまう我々のような従来の将棋ファンはこの際どうでもいいんですよね。

どう見ても作戦間違いとしか思えないので、ちょっとしたことでも電王戦のスタンス自体につべこべ言いたくなってしまいます。
ドワンゴ側、コンピュータ側は、棋士に対するリスペクトとか将棋の伝統文化の側面など一切関係ないのかもしれません。
人間が勝つか、コンピュータが勝つか、という底の浅い異種格闘技イベントであるならばそんな場所に僕らの愛するプロ棋士の方々を引っ張り出さないでほしいのです。

いや、勝手な意見ですみません。つべこべ言いたくなる年頃です。
あー、もう何も言いません。お願いなのでバランスよくうまくやってください。

ということでもうおしまいにしようと思ったら、先ほど前回の記事(その4)に九鬼さんからコメントいただきました。
山本一成さん「コンピュータとラッダイト運動」という記事についてです。
この話もいろいろ考えさせられ長くなってしまうのでまた次回にします。
それとssayさんも先ほどまた書いてますね。<・・・もう、やめたら?(その3)>、そして<(その4)>

どちらにしてもいよいよ明日が今回の電王戦最終局。
屋敷九段の登場です。
さあ、どんな結末になって、全国の将棋ファンがどのように受け止め、今後の電王戦はどうなっていくのでしょうか。
そして将棋とコンピュータの関係はこの先一体どのようになっていくのでしょうか?
コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 名人戦第一局 | トップ | 吉野桜 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
御礼 (九鬼)
2014-04-14 04:02:54
 私のコメントに向き合ってくださって、ありがとうございます。私の方は、言いたいことは言い尽くした感じでして、何だかnanaponさんのブログを借りて意見発信してしまったような、妙な気分です。
 トイレも問題、小さいようで、大きな問題なのかもしれませんね。
 これで本当にお終いにしますが、私はコンピューターがどれだけ進化しても、「人間より賢くなる」「人間の頭脳を上回る」ことはない、と思っています。きっとnanaponさんも同じご意見だろうと確信しています。その点、前回の記事でnanaponさんが紹介してくださったドワンゴの川上会長の意見には賛成できないです。だったらコンピューターに小説を書かせてみろ、新聞を編集させてみろ、病気を治させてみろ、と言いたい。チェスや将棋は所詮ゲーム(私は大好きですが)です。それで上回ったくらいでいい気になるな!人間をなんだと思っているんだ、です。
 最後に思いっきり本音を書きました。恥ずかしいので、これだけは記事で取り上げないでくださいね。
返信する
会場設定 (たまも)
2014-04-14 11:04:01
今回の5局の舞台設定について、評価値風に

第1局 有明コロシアム  -300
醜悪な絵(とくに暗く無人のスタンド)、対局環境の劣悪さ
 
第2局 両国国技館    -200
あまり変わっていないが、こっちが慣れた

第3局 あべのハルカス  +200
(おそらく偶然の産物かと思うが)絵はよかった。対局環境もよさげ。関西棋士がであふれる控室の雰囲気も良かった。

第4局 小田原城  -250
トイレ環境がひどすぎ。余談ながら、番組で紹介された「富山のブラックおでん」なるものは地元には実在しない。

第5局 将棋会館  +100
正常な絵と対局環境。ただし、対局中にフラッシュをたきまくる将棋に慣れないメディアに対して寛大である必要なはかった。

将来的には、マシンスペックを落として、短い対局時間の将棋祭り的なものに移行するのも一案かと思います。


返信する
こちらこそありがとうございました。 (nanapon)
2014-04-20 17:22:02
九鬼さん、こんばんは。

>私のコメントに向き合ってくださって、ありがとうございます。私の方は、言いたいことは言い尽くした感じでして、何だかnanaponさんのブログを借りて意見発信してしまったような、妙な気分です。
 
いえいえ、こちらこそ前のコメントにもまだ返事できていなくて申し訳ないです。結構長い旅行に行ってました。
九鬼さんのようにしっかり自分の意見を発信される方は自分のブログを持てばいいと思いますが、それはそれとして僕のブログを使っていただくのはいつでもご自由にどうぞ。(長文のコメントを何度もいただいていたssayさん、英さんには同じように言ってお二人ともブログ開設されました。そそのかし屋の異名をとってます。(笑))

>トイレも問題、小さいようで、大きな問題なのかもしれませんね。

はい、不利とか言う前に棋士をリスペクトする気持ちがあれば、いくらいい会場でもその一点で僕だったらやめにしますね。

>これで本当にお終いにしますが、私はコンピューターがどれだけ進化しても、「人間より賢くなる」「人間の頭脳を上回る」ことはない、と思っています。きっとnanaponさんも同じご意見だろうと確信しています。その点、前回の記事でnanaponさんが紹介してくださったドワンゴの川上会長の意見には賛成できないです。だったらコンピューターに小説を書かせてみろ、新聞を編集させてみろ、病気を治させてみろ、と言いたい。チェスや将棋は所詮ゲーム(私は大好きですが)です。それで上回ったくらいでいい気になるな!人間をなんだと思っているんだ、です。

先ほどのトイレの話と同じように、コンピュータはどんどん進化したり、人間に代わって任せる部分もふえるのはいいのだけれど、あくまでも人間が作るものだし、人間に対するリスペクトや人間に良かれと思う気持ちがないといけないと思ってます。

>最後に思いっきり本音を書きました。恥ずかしいので、これだけは記事で取り上げないでくださいね。

恥ずかしいなんて全然そんなことないけれど、了解しました。ありがとうございました。
返信する
会場の件 (nanapon)
2014-04-20 17:30:42
たまもさん、こんばんは。

たまもさんの会場評価値とコメント、さすがです。
ありがとうございました。
おっしゃるようにあべのハルカスと将棋会館以外は、なんかあざとさ、というか、不気味なセンスを感じます。
品がない、というか。

こういう企画に乗らざるを得ない連盟の姿勢に違和感を感じてしまいます。
やるのであれば連盟が認める棋士は勝手に出場してもいい、ただし、連盟は関係しない、というくらいでしょうか。
まあ、メリットとデメリットをどう秤にかけるかでしょうけどね。
返信する

コメントを投稿

将棋」カテゴリの最新記事