普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

K駅前商店街の衰退と最低賃金アップ

2009-08-05 14:52:47 | 民主党

 民主党など野党の公約は、最低賃金で働いて得た収入が、標準のが生活保護水準による収入より下回るケースが12の県もあるとことを取り上げ、「時給1000円」の最低賃金を掲げています。
 中でも民主党はこのアップに耐えられない小企業に対しては補助金まで出すことをマニフェストに入れているそうです。
参照:最低賃金 まだ残る生活保護との逆転

 
これに関連して私が昔近くに住んでいた北九州市のK駅前商店街のことを思い出しました。
[K駅前商店街の衰退]
 私が住んでいたころはK駅は九州の中で、博多、小倉についでJRの乗降客数で3番目の多数を誇っていました。
 丁度そのころ駅前の開発計画でデパートの「そごう」の出店が発表されて、当然のように駅前商店街から猛反発がありましたが、結局出店が決まりました。
 そのころはまだ景気が良かったので、私が9時頃まで残業して帰るころでもアーケードをそぞろ歩く多くの若い人達を見かけました。
 驚いたのは、そのような多くの人達がまだいるのに、多くの店がシャッターを降ろしているのです。
 7時に閉店するデパートに対抗するためには、7時以後の時間に商店街は頑張らなくてはならぬと言うのに。
 後で聞くと商店街では経費節約の為に早めに店を閉めることを申し合わせていたそうです。
 当時の通産省出身の市長は国の補助金を分捕るのが上手で、今で言う箱ものを多く建てましたが、その中にK駅周辺も副都心にする計画もあり、前述のデパートの他、第三セクターで商業ビルの建設、駅前の地上デッキ建設などやって来ました。
 然し周辺の(現)三菱化学などの大工場では合理化が進み、工場規模は大きくなっても、従業員数は減って来ましたし、飲酒運転の禁止などで工場帰り一杯やろうと言う人達も減って来たことと、デパートの影響もあり、商店街もかっての勢いが無くなってきました。
 そのころある飲み屋で末端の商店街の寂れの酷いことを嘆いていると、そこおやじさんが「実は商店街の横にある小学校の運動場の地下を大駐車場にする計画があったのを地もとの業者の反対で立ち消えになり、車で来る客が減ったのが大きな原因だ」と教えてくれました。
 そして、一番大きな打撃は北九州市の台所を潤していた新日鉄が、その中心を千葉県の君津市に移したことです。 
 それと癌の様にじわじわと効いて来たのは、商店街の入り口に何店もできた大型のパチンコ店です。彼らが商店街の一番の客層である若い女性の足を遠ざけて仕舞ったのです。 北九州市は何度も都市計画の提案を地もとに要請したのに、商店街の玄関口にパチンコ屋の定着を許すとは
 そして現状はK駅前商店街は北九州市内一番寂れたシャッター街です。
 先の第三セクターも商業ビルも駅前商店街のように、これと言ったポリシーのないバラバラの運営で2~3年で破産してまだ後継の店が現れません。
 そして、商店街のあちこちにまだら模様に駐車場が拡がり続けています。
 大きな店は前に書いたデパートしかないのに、大型のスーパーもバスの駅から百円区間内に無いのに。
 そしてK駅の乗降数は減ったと言ってもまだ九州で6位前後をキープしているのに。
 市内では、離れ小島状態の若松商店街はそのどまん中に大きなスーパーを抱えているのに、K駅前商店街より遥かに活気と賑やかさがあり、シャッターの降りた店は僅か2~3軒です。
 このK駅前商店街の衰退の原因は、地もとでは商店主のやる気のなさ、次世代を担う若い人が少ないこと、 (ちっぽけな)過去のプライドをまだ引きずっていること、地域や他人のことより自分のこと優先、そして(路線価の下がり続けている今手放すのは損と)閉店した店を手放さない こと、商店主の団結の無さ など色々言われています。
 最近でも政府の地方振興の方針で、K駅周辺の第二次再開発計画が進行中ですが、肝心の駅の真っ正面の商店街の復興計画には何も触れてられて居ません。

{民主党のマニフェスト}
 民主党の提唱する最低賃金引上げで困る小企業に補助金を払うと言う政策の対象に、やる気満々で頑張っている企業も多いと思いますが、私が例に上げたK駅前商店街の店主のような人がー率いる企業はいないのでしょうか。
 やる気もなく、従業員に生活保護以下の賃金を支払っている企業に金をつぎ込むことは、無駄と言うより害の方が大きいと思います。 (上記の様なK駅前商店街のやる気のない店に金をつぎ込んでどれだけの効果があるか直ぐ判ることです。)
 そうかと言って企業主のやる気とかその他の条件を考えて支給するか否かを個々に決定することは事実上困難でしょう。
 それで金を出すにしてもせいぜい無利子での貸し付けで、それより経営改善指導とか、経営に支障きたしている(銀行融資など)ことへの援助などに金をつぎ込むべきだと思います。
  K駅商店街の例で言えば、若手人材の育成、株式会社化など店同志の協力体制の確立・強化、そのための経営コンサルタントの導入、地もとの大学との復興への共同研究と復興へ向けての実践などなどの指導、実施とそのための資金援助です。
 
(今の北九州市市長は民主党出身の北橋さんですし、K駅周辺は衆議院議員時代の彼の選挙区だったので、民主党は小企業支援のために金をばら蒔く前に、彼にK駅前商店街の問題点を訊いて見てはどうでしょうか。)

 民主党は選挙を前にして、耳触りの良いばら蒔き政策を並べています。
 自民党も農村の窮状を救うために各種の補助金を出して来ましたが、現実は農村の過疎化、若者離れ→高齢化等、金のばら蒔きが必ずしも対象者を救うことにならないこともあることを示しています。
 最低賃金のアップ自体に反対する人はいませんが、これには企業競争力の低下など厳しい現実も待っています。
 社会格差の解消→最低賃金アップ→これで困る企業への補助金など余りにも単純過ぎると思います。
 企業の生産効率の向上とか、大企業の下請けイジメの解消、銀行融資の円滑化などなど金を出す以外に政治家がやらねばならないことが多くあるような気がします
 与党も野党もどうすれば最低賃金アッフ゜の本質的な解決策になるか、もっと慎重に考えるべきだと思うのですが。

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