普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

NHKの慰安婦模擬裁判報道とBPO

2009-04-30 11:49:52 | 情報、マスコミ

 28日の読売新聞はNHKの慰安婦模擬裁判報道に対するBPOの見解を報道しています。 
NHK教育の改編問題「重大な疑念抱かせる」…BPO意見書 

・BPOの放送倫理検証委員会は28日、改編について「公共放送の自主・自律を危うくし、視聴者に重大な疑念を抱かせる行為」であると指摘、NHKの国会対策部門と放送・制作部門を明確に分離するよう求める意見書を公表した。
 ただ、改編に政治的圧力が実際に影響したかどうかの判断はしなかった
・この問題では、番組の取材に協力した民間団体(「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク)が、「政治介入によって番組の趣旨が変わった」と、01年7月にNHKなどを提訴。07年1月の高裁判決では、「NHKが国会議員などの意図を忖度し、番組を改編した」と認定したが、08年6月の最高裁判決では、番組の「編集の自由」を尊重して、取材を受けた対象者の期待権を認めず、NHKの逆転勝訴が確定した。
・川端和治(よしはる)委員長は記者会見で、「制作部門の幹部が政治家と会って番組を説明することは、自ら政治的関与を招く行為で、視聴者の疑念を招き、信頼を裏切る行為と言わざるを得ない」と語った。
・NHK広報部は、「番組が政治的圧力で改変されたり、国会議員の意図を忖度したりした事実はなく、放送・制作部門の担当者が個別の番組内容を国会議員に直接説明することは現在していません」とコメントした。

[どう考えてもうさん臭い慰安婦模擬裁判]
 慰安婦模擬裁判は Wikipedia
でも記されているように、色々の問題のあったイベントでした。
・主催者
  尹貞玉韓国挺身隊問題対策協議会
  松井やより 元・朝日新聞記者、 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク
・被告人:昭和天皇、東條英機ほか軍の幹部7名(欠席裁判)
・弁護人:なし(裁判では普通の反対尋問はなし)
・検事:北朝鮮の工作員2名を含む
・傍聴者:希望者に誓約書に署名させ、主催者側の了解が得られた者のみ傍聴が認める。
・取材したマスコミ: NHK・朝日新聞社・新華社・朝鮮中央放送・朝鮮新報その他  取材を拒否されたマスコミ 産経新聞社
NHKの放送の担当者:池田恵理子(NHKの子会社「NHKエンタープライズ21」のプロデューサーで、「戦争と女性への暴力」日本ネットワークの運営委員
 これだけを見ても、いかに大がかりな行事であり、世間の注目を引いたものでも、政治的な臭いの強い胡散臭い模擬裁判で公平・公正を旨とするNHKが報道に値するかどうかを問われているテーマだと思うし、実際の担当者の経歴から見ても、その内容について外部からの批判の有無に関わらず、編集し直すのも当然だと思います。

[政治家の関与]
 BPOが指摘する政治家の関与についても、17年1月の「サンデープロゼクト」での安倍さんの説明
によれば、
・(4年前の)1月29日にNHKが予算の説明に当時の副官房長官の安倍さんのところにきたとき、問題のある番組ができつつあると永田町で話題になっていた番組について説明があった。できている番組はバランスのとれたものになっています、との説明だったと思う。それに対して内容を「変えろ」とか番組を「止めろ」とか一言も言ってない。放送法は、問題がある番組については多角的に議論するようにとの規定になっており、法律に則って、「公平・公正にお願いします」、と至極真っ当な、当然のことを言ったに過ぎない。後で知ったが、NHK内部ですでに1月19日に修正作業を始めており、「模擬裁判」に批判的な専門家の意見も入れるべきだということになって、秦教授にインタビューを行い、それをどう入れるかも決まり、1月28日の段階で編集はほとんど終わっていた。
中川大臣 (当時は無役) にいたっては、放送の3日後の2月2日に会ったことが明らかになった。
と言うのが真相のようです。 
(*注1)

 実際は永田町でNHKが問題のある番組を作りつつあると話題になり、政府の要職にいた自民党の安倍さん、中川さん以外の誰かが、電話をしたかも知れませんが、本当のことは判りません。

[BPOの見解と台湾問題について]
  BPOは偏向報道や問題のある取材方法などや、政府の介入などの問題解決のために設立されてのだと思います。
 然し、BPOの見解によれば、悪いのはNHKが制作中に政府の人達と予定の番組について話したこと、それについてはっきり言わないまでも安倍さんがNHKに何らかの影響力を与えたことの批判をしているようですが、あのようなうさん臭い模擬裁判を報道と言う不公平、不公正な番組でも放送したことにな何も触れていないようです。
 私はBPOはひどい放送をすれば視聴率が落ち経営にも影響してくる民放ならともかく(民放も放送特権をもっているのでそれなりの責任はあると思いますが)、公共放送である、そしてどんな放送をしても受信料を取れるNHKに就いては特に厳正な態度でその不公平、不公正の報道したことも責めるべきだったと思います。

 私はNHKが一番に責められるべきなのは明らかに偏向した、胡散臭いテーマである慰安婦模擬裁を取り上げたことにあると思うのですが。
 
 最近のNHKの台湾問題の放送もネット上では非難のコメントが集中し、中にはBPOにも投書を呼びかけていますが、今回の報道を見ると、BPOの方針によれば、特定の考え方に偏っていても、自分の主張に沿うように編集しても、関係者の発言の一部を切り取っても、それらが正しければ、その報道することを認めるのではないかと心配になってきました。(*注2)
 果たしてどのような裁定が出るのでしょうか、それともパスしてしまうのでしょうか?

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*注1:これに関して朝日新聞の本田記者の誤報→安倍・中川さんとNHKの再三にわたる朝日へ抗議→朝日の頬被り→(これ以後は私の勘繰りですが)参院選中の絆創膏報道→安倍さん大敗→執拗な中川さんの朦朧会見報道などの場外乱闘となりました。

*注2:阿比留瑠比さん
がNHKの台湾問題報道に関して、「自民・歴史教育議連のNHKへの質問状全文」を紹介しておられます。