11日のNHKスペシャル「アメリカ発 世界金融危機」で世界中から巨額の資金を集め、リスクの高い金融商品で運用していたアメリカのビジネスモデルの崩壊で、世界は深刻な経済危機に陥った背景と今後の行方について解説していました。
私は自分の勉強の意味でその内容の概略と私の感想を書いてみました。
然しそれにしても文章が長くなるので一部の詳細は注記に回しましたので、もしご興味があ有りの方はそちらもご覧下さい。
[今までの流れ]
住宅ブーム
・ブッシュ大統領は経済発展のための一つの手段として「低所得者層へも住宅へ」のスローガンで当時から起こりかた住宅建設ブームを支援した。
・住宅ブームが起こった原因は当時、年に10%近く上昇していたは米国の住宅価格が、そのまま上昇し続けるという前提にたった、いかがわしい低所得者向きのサブプライムローンの採用だった。(*注1)
・債権の証券化
住宅ローン会社はその保有する、本来借りることの出来ない層からの債権を持つリスク回避のために、優良債権と組み合わせたものを証券して売り出した。
そのため格付け会社の格付けを利用して、ハイリスク・ハイリターンを目指すものからローリスク・ローリターンの種々様々な組み合わせをした証券化商品が売りだされた。
しかもその商品を受け入れた会社はさらにそれを種々組み合わせて金融商品を売り出したので、末端の商品のリスクの程度が判らなくなってしまった。
・債権証券化商品のブーム
世界的な経済の停滞で新たな投資先を探していた、各種の投資機関、年金基金、個人の投資家達やオイルマネーがハイリターンの期待出来る証券化商品に飛びついた。
投資機関にとって都合が良かったのは各国、特にゼロ%に近い日本の低金利政策だった。
彼等はそれを利用して自分の資本の何倍もの金を借り(レバレッジを掛けて)投資した。
そのために世界での金融資産は2京2000兆円と言う天文学的数字に登った。
そしてその膨大なマネーが世界各国のコントロールの外で動いているのだ。
・バブルの崩壊
然し米国の住宅価格は06年から低下に転じた。
その結果は低所得者層のローン返済の停滞→住宅ローンー会社の不振→銀行の貸し渋り→投資機関の撤退など現在の状態になっている。
しかも、金融機関や投資機関は自分たちの持つ証券が優良なものか否かも判らない不安を抱えており、それで確実な現金化の動きとなり、株式価格の暴落にも繋がっている。
それが現在の金融収縮に繋がっていると言われている。
またその住宅バブルから逃げた金は原油、食糧の先物市場での投機に廻りガソリンや食糧価格急騰を引き起こした。
・米国の経済
今までの米国の経済は金融と国内消費で支えられていた。
詰まり金融の自由化、デリバフィブ、金融の手法や商品などの開発→外国からの投資を呼び込む→経済成長の政策だ。
具体的には、輸出国、新興国→(輸出)→米国→(ドル)→輸出国、新興国→金融商品の購入だが、その図式はほぼ完全に壊れかかっている。
金融危機は実体経済にも影響を与え金融機関やGMなどのリストラにより、失業率は6%にも達するなど、米国経済のもう一つの柱の国内消費さえ怪しくなっている。
・G7は10日金融危機に対処する行動計画を発表(*注2)
・14日、各国の株式市場の急反発
[日本として出来ることとやらねばならぬこと]
・低金利政策の見直し
NHKの番組に参加しいてた人が「長期の低金利政策は有害だ」と言っていたが、2京2000兆もの膨大な金融資産が世界や日本に取って必要か否か。
もしそれが不要もしくは害を及ぼすのなら、それを産む手助けをする低金利政策のやり方を見直す必要がないのか。
日本銀行が低金利政策を行って銀行を援助してその自主性に任せた結果、銀行は低金利政策の基本的な目的を無視して、相変わらずの貸し渋りをし、その低金利の金を外国の金融機関や投機筋に回してサププライムへの投資(円キャリー)や、原油、食糧の投機によりガソリンや食糧価格の高騰など、日本に大きな被害を与える結果になった施策は見直す必要があると思う。
やはり法律を変えてでも、今回の英国の資金注入の例(*注3)の様にその資金の流れをトレースし、ある程度のコントロールをする必要がいると思うのだが。
・米国型の自由主義、市場中心主義経済一本槍の見直し
G7の提案で株式市場が反発したが、それでもその提案が現実性に乏しく見えるのも、世界の経済のリーダー自認する米国に遠慮した提案だからだ。
世界経済も自由主義、市場中心主義でも良いがその負の部分の修正を思い切ってやる必要があると思う。
詰まり米国流の完全自由でなくて、一定の規制を加えることだ。
その点日本は「理想的共産主義社会」、「一億総中流意識を持つ社会」形成など現行の経済方式の果実を味わう一方、中国の台頭や資源の枯渇問題で、多分世界で一番先にその方式の被害を被っている国だと思う。
その日本が今までの世界経済のやり方の見直し、提案する資格と責任があると思う。
・経済でも主張する日本
前にも書いたが、日本は不動産バブルの崩壊、そして失われた十年を経験した国だ。
米国が住宅建設を経済の柱にしたとき、それからいかがわしい住宅ローンの実体が知り始めたとき、日本の経験から米国に忠告すべきだった。
NHKの番組の識者は今までの米国一国集中の経済の体制が崩れるが多極化でなくて極が無くなるのではないかと言っていた。
今こそ日本は経済面でも米国にぶら下がる体制から、「ものを言う日本」に変わるチャンスだと思う。
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*注1:住宅ブームの原因
・当初数年間の金利を抑えたり、金利のみの支払いを許すなどの方法で、当初の返済負担を軽減する米国で一般に行われていた住宅ローンの返済方法。
・当初は住宅価格が上がり続けていたので、債務者が自分の返済能力を無視した借入をしても、当初の優遇手段の期限が切れて債務の返済が困難になってとき、債務者は値上がりした住宅を担保にして新たな追加借入をして、金利の支払いなどに当てることができることで、本来なら借りることが出来ない層までが、住宅を建設をし始めた。
なおそのほか住宅ローン会社が契約の内容などろくに説明しないまま勧誘するなど詐欺紛いのことしていた。
*注2:G7の行動計画
・重要な金融機関の破綻回避のためあらゆる手段を活用
・短期金融市場の機能回復と金融機関の資金調達・流動性の確保へすべての必要な手段を実施
・必要に応じ公的資金、民間資金双方で金融機関の資本を増強
・各国の預金保険・保証制度を強化、証券化商品の流通市場の再開へ向け、資産の正確な評価、透明性の高い開示
・質の高い会計基準を実施
*注3:英国の資金注入
新聞の報道やNHKの放送を総合して見ると、英国は国内の3つの大手銀行に総額370億ポンド、日本円で6兆3000億円のを注入することが決定されたが、各行は、政府の支援を受ける代わりに経営トップが交代、政府から役員派遣、経営陣のボーナスカットするほか、向こう3年間は住宅ローンや中小企業への貸し出しを、少なくとも去年と同じ水準で行うとしていることが判る。
特に最後の中小企業への貸し渋りの制限など、日本として見習うべき政策だと思う。