旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

アカシア

2006年07月08日 00時03分46秒 | Weblog
     ニセアカシア(針槐、ハリエンジュ)


アカシアの花の下で あの娘がそっと・・・
「赤いハンカチ」裕次郎

アカシアの雨に打たれて このまま死んでしまいたい・・・
「アカシアの雨が止む時」西田佐知子

「アカシアの大連」
清岡卓行

ロマンティックな歌詞や小説に親しんだせいか、アカシアの木や花にはかなりの夢や幻想を抱いている。いつの日からか、これこそが「アカシア」だと思い込んでいる木があって、先月も花をつけたその優雅さに酔い知れた。だから、雨でも降れば思わず「アカシアの雨が止む時」を口ずさんでいる。

その木がアカシアである証がないものだから見込み違いじゃないかと不安になって、Googleのイメージであたってみる。「アカシアの大連」で検索をかけた。案の定、肝心のたたずまいが「わたしのアカシア」と違っている。まさかニセアカシアじゃあるまいかと近接写真を見たら、予想は的中した。

関東以北では、ニセアカシアのことをふつーにアカシアと呼ぶそうだ。じゃ、本物のアカシアは?と、慌てて植物図鑑であたってみた。ミモザのことを俗にアカシアと呼ぶのだ。アカシアは南方系、ニセアカシアは北方系だから、「アカシアの大連」も「裕次郎のアカシア」も、ひょっとしたら「佐知子さんのアカシア」までもがニセアカシアらしい。

ニセアカシアならよく知っている。その昔、わが家の畑に大小取り混ぜて数十本は生えていた。畑が造成されることになって伐採を買って出たのがこのわたし。「ニセアカシアとはなんとも不憫な名前だなあ。しかし、ニセアカシアでもこれだけきれいな花と葉をつけるのだから、ほんもののアカシアは途方もなくきれいなたたづまいなんだろうな。」と感慨に耽りながら、甘酸っぱい香りを放つニセアカシアを白い花ごと容赦なく薪にしていった。

同僚や友人に、アカシアの木を知っているかどうかをたづねてみた。知る人はいなかった。だから、わたしがあの木のことをアカシアだと誤解しても責められることはないようだ。少なくともこの5年間、わたしはあの木がアカシアであると信じてきた。

実をいうと、「あれがアカシアだよ、ほら、佇まいがなんともいえないくらい優雅だろ、おれアカシアの花がいちばん好きなんだよ、清楚なうちにも気品があってさあ、だから君だけに見せたくって。」とかなんとかうまいこと言って、彼女をドライブに誘い出したはいいが、激しい雨のせいで花は散っていた。

だからKさん、二度と知ったかぶりはしません。あの木はどうやらアカシアじゃなかったようです。これからは、よく調べたうえて確認したうえで薀蓄を垂れることにします。

ところで・・・、
じゃ、
あの木、
何の木?