旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

オーパ!

2008年02月29日 23時05分49秒 | Weblog
一昨日はホテルグランヴィア広島の21階で紹興酒となぜか賀茂鶴をかなり飲んだ。根がお調子者であるから、麦のジュースで酔いをさますとかなんとか粋がって、結局ビールもしこたま飲んだ。淡白な料理には酒類のカロリーで対抗するしかない。空腹感を酒で満たした。テンションの高いジョークの数々は奇麗どころにも大いに受けた、と思う。もっとも奇麗どころといものは酔っ払いの扱い方をよく知っているので、遊ばれたのはこちらの方じゃなかったのかと少々不安になる。

昨日は三越裏の日本料理店でビールに始まって岩国の銘酒「五橋」、寝酒に良いという米焼酎(名は忘れたがアルコール55度で、まるで玉蜀黍酒テキーラのような味だった。)をしっかりといただいた。刺身が新鮮で、味噌をベースにした鍋もいけた。

幹事を仰せつかったものの、またもや幹事が暴走してしまった。皆さんを盛り上げることなんて性に合わない。互いにいい歳をしているのだから各々が盛り上がればそれで良いのだ。人選ミスは明らかである。最後まで料理に手を伸ばし、銘酒「五橋」の冷めた熱燗をコップでガブガブ飲んでいたのは幹事さんそのひとであった。幹事さんが店を出るときには誰もいなくなっていた、とほほ。

こういうことが二日も続いたので、おかげさまで久しぶりにアルコールが抜けてゆく際の、あの倦怠感と眠気をいやというほど味わうことができた。そういえばこの22日は「あわび」をいただいた。連れのドクターが高齢のため刺身に歯が立たない。遠慮なく2人分いただいた。情けは無用なのである。アワビのフルコースを肴にさんざん飲んだ。

一週間に3度もウンザリするような倦怠感とどうしようもない眠気を味わうことができたのは、なんといっても至福の極みである。この二日酔というありがたい苦痛があればこそ飲酒のひと時はさらに燦然と輝きを増す。心おきなく酔える。額に手を当てて倦怠感に苛まれながらブログを書いてみると、酒と美食でこころを滅ぼすことはなかったが、ついに身を滅ぼしてしまった開高健のような文章になってゆく。文豪にオーパ!である。



編集会議

2008年02月29日 05時18分19秒 | Weblog
よく働いている。「よく働く」とは、通常よりもよく働いているという意味であって、労働に励んでいるとか傍を楽にさせるために奮闘しているとか、そういう意味ではない。そういう働き方はわたしの労働観に反している。わたしは根が遊び人なのだ。

仕事とは縁もゆかりもない某クラブの50周年記念誌の編集に携わっている。昨日、第2回目の編集会議があった。最末端の庶務に携わる編集委員である。いい加減な性格が災いして偉くなれない。もっとも、偉くなって気苦労ばかり増えることも望むところではない。

メンバーはドクターが2名、建築設計士、仏壇店の社長、印刷業の社長とわたしの総計6名である。委員長のドクターは、あと2~3名の委員を要望している。

「会議は踊る。されど決まらず。」を絵に描いたような編集会議であった。予算と編集方針に若干ふれたのちは、まさしくフリートーキングである。各委員が言いたいことを言う。

ここの鍋の味噌は秘伝で云々、今日は銘酒「五橋」を持参した、いやあ今日の予算はいくらである、倉橋町の町民がどうだこうだ、終いには最長老がバイアグラがどうだこうだ。

瞬く間に予定時間の2時間が過ぎた。遅い新年会を兼ねているのであるからやむをえない。それにしても2週間をかけてお忙しい皆さんの時間調整をしたというのに、と少々ぼやいてみる。

経済

2008年02月21日 01時31分04秒 | Weblog
先日の講演会で、政策研究大学院大学の橋本教授が興味深い見解を述べた。『中国は3分の1のコストで日本製の半分の性能の製品を造ることができる。ところが、日本の製品と同等の製品を造ろうとすれば1.2倍から1.3倍のコストがかかる。したがって最近、日本の製造業には明らかな日本国回帰が認められる。』

因みに中国のGDPはドル評価で日本のGDPの約2分の1である。昔から株価の動向には興味がある。興味があっても実際に株の売買はやったことがない。最近、日本売りだなんだとマスコミが騒ぎたてる。日経や毎日ならまだしも、朝日、読売までもが株価の大きな下落があると、「日本経済の破綻が近い」だ「日本経済は長期停滞に陥った。」なんだと騒がしい。

外国人投資家が日本売りなら、よし、おれが日本を買ってやろうという気になった。株をやってみることにした。まさしく大河の一滴ではあるが、食い逃げが得意な外国人投資家に日本の株式市場を蹂躙されてたまるかという意気込みだけが支えだ。中国もアメリカ合衆国も経済的には「張り子の虎」であるとみている。両国の経済は怪しいことだらけである。



卓話

2008年02月21日 00時46分26秒 | Weblog
特攻帰りのご老体が、「『ひとから受けた温情は石に刻んででも忘れるな。ひとに与えた温情は水に流せ。』と若いころから母親に言われてきたできの悪い息子が、皆さんの前で能書きを垂れました。」と所属するクラブでの卓話を締め括った。

「日本人は思想したか」

2008年02月15日 01時53分26秒 | Weblog
吉本隆明は「共同幻想論」で一世を風靡した。理系に固有の確かさをもっているが、文系の想像力を欠いている。梅原猛は、マニアックに語るが、想像力が過ぎて歴史を情念の住み家にしてしまっている。とんでもない話だ。中沢新一は難解である。自分が言っていることを、読者の解釈に委ねるような無責任と軽薄さが認められる。

この3人が「日本の思想」について語る。客観性もへったくれもあったものではない。本帯では「現代代表する三大知性が日本思想の意義を総括する」とまで持ち上げているのでついつい手にしたのが、そもそものこの本とのご縁だ。

ところが・・・、活字が著しく小さい。この種の本に興味を示すのが、かなりいい歳をした読者であろうことを察したなら、編集者は、この本を、もっと大きな活字で印刷にかけるべきでだった。この3人とて売文で飯を食っているからには、読む身になった本づくりに注意を払うべきであろう。要は、業界の皆さんには読者というものが見えていないのだ。

かなり版を重ねているようである。立ち読みをしたのは重版であった。正直、このメンバーの対談で1900円は高いと思う。さっそくamazonで検索をかけてみた。中古本が300円で売りに出ていた。市場価格はこの程度であろう。送料込みでも知れているので迷わず注文した。この中古本が週明けに届いた。初版本である。

だがしかし、立ち読みをした範囲で想像したよりは、はるかに興味深い内容である。3人は博識であるし、思想というものに対する切り口を多々持っている。目をしょぼしょぼさせながら読み進んでいる。やはり先入観はいけないと、少々の反省。

美川ムーバレー

2008年02月03日 02時26分00秒 | Weblog
所用で山口県の防府市まで出かけることになった。廿日市のインターから山陽自動車道に入った。ところが、進路を間違えて、山口県とは逆方向の広島・大阪方面に進まざるを得なくなった。五日市のインターで降りて(あるいは、ズルをして)進行方向を変えればよかったのであるが、中国自動車道という手もある。そのまま広島北インターに進路をとって中国自動車道を山口県方面に向かった。

河内のインターあたりから雲行きが怪しくなってきた。次の吉和インターを過ぎる頃にはすっかり雪模様である。吉和のサービスエリヤで「吉和天丼」という「茸の天丼」を食べて時間稼ぎをしても、一向に雪は降り止みそうにない。むしろ激しさを増してくる。サービスエリアで待つこと1時間余、恐る恐るサービスエリアを出て高速道路に向かった。道路はうっすらと雪化粧である。六日市インターの手前にはタイヤ規制の看板が立てられていた。仕方がないので六日市で高速を降りることにした。向かうは岩国・徳山方面である。ちょうど昼過ぎであるし、車は中国山地を下って行くことになるので降雪の心配はないであろうと考えた。予想通り雪はなかった。

美川町に入ったころから、わざわざ岩国経由で防府まで行くのが煩わしくなってきた。ここまで遠回りをしてしまったので、たぶん広島に着くのは日が落ちたあとになると思うと余計嫌気がさす。防府に行くのを止めた。美川町には「美川ムーバレー」がある。寄ってみることにした。現地について案内板を見てみると、ひとりで楽しむような場所ではないようだ。奥に1キロほど行くと直径が12mの水車があるという案内があったので、即刻、観光をそっちに切り替えた。そば屋の幟が目印だ。大きな水車が見えた。ここで蕎麦でもと思いきや、あたりには人っ子ひとりもいない。しかも駐車禁止だ。そば屋は閉まっている。「おい、土曜日の午後だぜ。」とひとり舌打ちをしてもむなしい。帰りに車中から眺めた「美川ムーバレー」に人影はなかった。「ムーバレーレストラン」の明かりの下に客の姿はなかった。

昨夜は上田宗箇について書かれた本を深夜まで読んだ。そして「防府の毛利庭園に安い茶釜があるから見てみなさい。」と師匠から言われたことを思い出して、遠路はるばる茶釜鑑定の気ままなドライブに出たのだ。宵闇迫る帰路にひとり思った。「それにしても、一人旅はつまらない。」と。