旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

椎の実

2013年11月30日 23時40分27秒 | Weblog

山々が色づいて、灰褐色の里は枯れてゆく。黄金色の大空の下で11月が暮れた。無人の野菜販売所で大きくて白いカブをひとつと、小ぶりで赤いカブをふたつ買った。たまたま、近くで出会った販売所のオーナー農家の主にイチジクはもう取れないのかと問うと、販売所にイチジクを並べておくことを約束してくれた。

わが家の先にある高校の沿道が愛犬で老犬の「ごんた」との散歩道になっている。その林と校舎に挟まれた昼でも薄暗い隘路沿いに椎の大木が数本あって、道には黒い椎の実がたくさん落ちている。数日前の休暇の日に椎の実をふた握りほど拾い集めて日に数個ずつ口にしている。小さな実なので食べにくい。味は栗に似ている。

イチジクにザクロ、アケビに栗、とうとう椎の実まで満喫したわたしの心は小学生のころを思いだしている。


晩秋の暮れ方

2013年11月30日 20時17分09秒 | Weblog

気が緩んできたら、緩い本を読みたくなる。本日のお買い上げは角川歴彦著 「クラウド時代とクール革命」 (角川ONEテーマ21)、海老原嗣生著 「就職 絶望期 『若者はかわいそう論』 の失敗」 (扶桑社新書)、「三国志事典」 (岩波ジュニア新書)、占めて252円也。

漁るたびに思う。ブックオフからいい本が消えた。あの本たちはどこに移動したのだろうか。


天命

2013年11月28日 22時10分23秒 | Weblog

 楽正子は言いわけをして言った。「私が殿様におすすめし、殿様もここにきて先生にお会いになるばかりでしたのに、お気に入りの近臣蔵倉と申す者が邪魔をしたので、にわかにお取りやめになったのです。まことに残念でなりません。」

 すると、孟子は言われた。「いやいや、克(楽正子)よ。お前は魯の殿のお出ましも、お取りやめも、すべて人間わざとのみ考えているが、人が出かけるのも取りやめるのも、みなそうさせるものがあるので、人間の力の及ぶところではない。そうさせる目に見えない偉大な力、すなわち天命なるものが働いているのだ。わしが魯の殿に会えないのは天命なのじゃ。蔵氏の子倅などの力で、どうして遇わせたり遇わせなかったり自由にできようぞ。」(「孟子」十六 ごく一部を改竄)


孟子

2013年11月28日 19時43分28秒 | Weblog

ここ一週間の寝酒代わりは「孟子」だ。岩波文庫のワイド版の「上」を読み終えた。読み終えたといっても全文に目を通したわけではない。岩波文庫では「孟子」を、漢文、その読み下し文、注、口語訳の順で表記している。このうち口語訳(たまに注)を読み終えたということだ。「論語」が箴言なのに対して「孟子」は物語だから余分な想像力はいらない。本文を追ってゆけば孟子が言いたいことが明かになる。いよいよ今日から、「上」よりも倍ほど厚い「下」が寝酒になる。


神託

2013年11月26日 19時56分52秒 | Weblog

9時過ぎに医院に入ってしばらくしてから、視力、眼圧、眼底の検査に約20分。瞳孔を開いたままにする薬をかけられて効いてくるまでに約30分。瞳孔が開いた目の奥を医師からさんざん覗かれて約10分経過後、ついに審判が下った。11時を回っていた。

「単なる飛蚊症だからたいしたことはありません。それよりも血圧を下げるための降下剤は何百種類もある。だから降下剤を飲んでいないことの方が気がかりです。主治医の先生とよく相談してください。3か月経って症状が悪化していたら、またおいでください。」というご神託だった。

網膜剥離だ、網膜裂孔だと勝手に妄想した。診断によって呪縛は解かれた。寿司を腹いっぱい食べ、家でコーヒーを飲んで久しぶりの満腹感にひたった。そして昼下がり、軽い昼寝のつもりが目が覚めたら日が落ちていた。明日から生活習慣病との果てしない闘いが再び始まる。


光視

2013年11月26日 06時01分05秒 | Weblog

先週末に、飛蚊と光視の症状がでていることに気が付いた。飛蚊は視界に糸くずのような黒い影が見える症状で、今回の糸くずはかなり大きい。光視は初めての体験だ。暗い所で瞼を動かすと光が走る症状をいう。少々慌ててこの日曜日に当番医の先生の医院を訪ねた。大事を取って近くの眼科で精密検査をしてみたほうがよいという診断だった。

薬で瞳孔を開かせて、その場で精密検査をすれば一定の診断ができたらしいのだが、瞳孔が開いたままの状態で車の運転をするのは危険だ。検査をすることができなかった。昨日、学校に事情を話して今日は休暇をとった。早めに検査を済ませて午後は休養する。網膜裂孔や網膜剥離の主な原因は目の老化であり、ストレスが起爆剤になりうるというのが通説のようだから・・・。とほほ。


彗星

2013年11月22日 05時45分11秒 | Weblog

自宅の100メートルほど先にある駐車場で車から降りた。いつものように夜空を見上げていたら街路樹越しに大きな彗星が見えた。ちょうど金星の右下あたりだ。何ともでかい彗星だ。飛行機かヘリコプターの灯りじゃないのか確認した。見つめ続けても動かな。夜空に滲んだような彗星をこころに焼き付けてから自宅に向かった。

いつもは街路灯に照らされた街路樹が妙に暗い。見上げてみたら、そこには先ほどこころに焼き付けた、消え入りそうな侘しい彗星の姿があった。彗星の正体は消えかかった街路刀灯だった。

 


イシュメール

2013年11月19日 20時58分32秒 | Weblog

 「白鯨」の第一人称の語り手であるイシュメールの名は、旧約聖書に出てくるイシュマエルに由来する。「聖書のイシュマエルはイスラエル人の祖とされるアブラハムが、その正妻サライの一時的な不妊のゆえに、サライの同意を得て奴隷女ハガルに子を生ませようとした。にもかかわらずサライが嫉妬して、ハガルにつらくあたるようになったので、それに耐えかねたハゼルが砂漠に逃亡して生んだのが、このイシュマエルである。サライが100歳になった時に、神のおぼしめしによって、アブラハムとの間にイサクという男の子が生まれたので、イシュマエルとハガルは再びアブラハムの家から追放された。そして、イシュマエルがアラブ人の祖に、イサクがユダヤ人の祖になった。」(「白鯨」 (八木敏雄訳)の訳注を読みやすいように改竄した。)


黄昏

2013年11月17日 18時56分14秒 | Weblog

晩秋の西中国山地を歩いた。賑わう大型のスーパーストアーを歩いた。陽が傾くころ、庭の雑草を削って整地したら、懐かしい香りがたちこめた。そして、夜が明けたら私は戦場に戻る。

         おのが身の 闇より吠えて 夜半の秋      与謝蕪村                                 

 

 


旧約聖書の世界

2013年11月16日 23時18分28秒 | Weblog

岩波文庫の「白鯨」は上・中・下の3冊だ。上を「読んでから」中を読み始めた。上を「読み終えてから」とならないのは、気ままな読み方をしているからだ。部分によっては読み飛ばしたままになっている。過去に数度読んだことがあるし映画も見ているのでストーリーはわかっている。今回は、メルビルが「Moby-Dick」という作品を書きあげたその真相に迫っている。最近、糧としての読書に目覚めた。小説の読み方がずいぶん変わってきたように思う。この作品を精読すると、旧約聖書の世界を探索しているような気分になる。


紅葉

2013年11月15日 07時36分14秒 | Weblog

かなりあてにならない天気予報が、明日は晴れだと報じている。絶好の紅葉観賞日和になる可能性があると知らされるだけで心が弾む。臥竜山(苅尾)のブナ原生林、三段峡を見下ろす水越峠、道後山、比婆山、県境を越えて大山、仏通寺、三段峡、最寄りでは宮島の紅葉谷。紅葉、黄葉の気配に胸が躍っている。