旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

篤胤国学

2010年09月28日 23時15分20秒 | Weblog
「古道大意」上巻を読んだ。彼は、契沖、賀茂真淵、本居宣長と伝承された国学を「まず第一に申しておかねばならぬことは、私どもの学風を古学といい、学ぶ道を古道と申す理由です。それは古く、儒仏の道がまだ御国に渡ってこない以前の、純粋な古のこころと古の言葉をもって、天地のはじめからの事実を素直に説き考え、その事実に真の道がそなわっていることを明らかにする学問であるから古学道と申すのであります。」と総括する。

彼の名は皇国史観の生みの親、平田篤胤その人である。


米国株式会社

2010年09月23日 10時33分23秒 | Weblog
プルデンシャル生命という米国資本の生命保険会社がある。外電が、このグループの持ち株会社が元「日本の保険会社」であった2社(東邦生命・千代田生命)を買収することに決まったと報じた。破綻に瀕した2社は10年ほど前にAIGに買収されその傘下に入った。リーマンショック後の昨年、2社の売却話が持ち上がってプルデンシャル・ファイナンシャルが買収する直前までいったが価額が折り合わなかったので破談になった。

今回の買収はその復縁ということになる。価額が折り合う可能性が出てきたにちがいない。AIGはメディアが報道したようにかっては世界最大の金融グループだった。リーマン破綻をきっかけに経営危機に陥って米国政府から資金注入を受けざるを得なった。現在に至るも米国政府の管理下にある。

政府から莫大な資金の注入を受けたAIGグループ傘下の2社が、米国以外の金融機関やファイナンシャルグループに売却されるとは考えにくかった。それでも当初は、アリコジャパンの売却先も含めて高く売れればどこの国の資本でも良いとされた。結局、アリコジャパンが米国のメットライフに、AIGエジソン生命(東邦生命)とAIGスター生命(千代田生命)が米国のプルデンシャル・ファイナンシャル・グループに売却されることになりそうだ。

米政府が体を張って破綻を防いだAIG傘下のアリコを含む3社は、破綻に瀕したAIGからの悪しき影響さえ排除すればそう悪い財務内容ではない。米国政府にとってはどうにか「トンビに油揚げ」状態を防ぐことができたということなのだ。エジソン生命、スター生命の2社について、私は在職中の一昨年前からプルデンシャル・ファイナンシャル・グループが買収するとみていた。

窮した米国はかっての日本株式会社に習って米国株式会社に向けて舵を切らざるをえなくなったようだ。

哲学

2010年09月18日 08時56分59秒 | Weblog
『岩波講座「哲学」全18巻+総索引1冊』を買い求めた。こんなに片っ端から哲学書を買い求めて、果たして死ぬまでに読み切れるのだろうか。それにしても、なぜここまで哲学(書)に渇きを覚えるのか、買った本人にも見当がつかない。

木田元著「哲学は人生に役に立つのか」を読んだ。文中に「私と同じように、どうしても哲学が気になって仕方がないという人間がいるものです。そういう人たちは、どう止めても哲学の本を読みたがる。ところが、読んでもなかなか分からない。私もそれで苦労しました。」とある。

どうやら私は『そういう人たちの内のひとり』のようだ。「そこに山があるから登りたくなる。」の類で「そこに哲学の本があるから読みたくなる。」のだ。だから木田元さんは、「せめてそういう人たちを少しでも楽に哲学に導き入れてあげたいと思って、哲学への入門書や入門書のたぐいを書いてきました。」

木田元さんといえば、30有余年前に2・3度、「哲学入門」の講義に出たことがある。岩波新書「現象学」も読んだ。今思えば、確かに初心者にも解り易く書いてあった。ところが、当時の私は読書に目覚めたばかりの身だった。浅薄な知識が災いして読んでも殆どその意味内容を理解できなかった。

哲学書の翻訳全般に言えることだが、翻訳のまずさに煩わされて頭が混乱することが多い。たまに、カントやサルトル、ニーチェを英文で読む。和訳よりも分りやすい。これで新旧の「岩波講座 哲学」の全巻が揃った。旧から新へ移行する約18年の間に日本語による哲学語表現がどうのように変遷したかに最も興味を抱いている。

落第

2010年09月13日 21時29分44秒 | Weblog
そこそこの自信が木っ端微塵に砕け散った。求職者の皆さんにかなりのレベルのコンサルティングを提供してきたという甘い自負は苦い後悔に取って代わられた。この2・3日は検定を振り返ることすら億劫だった。へし折られた鼻を癒すのは開き直りのような「人間、自分が劣っていると思う時がもっとも進歩しているのだ。」という誰かの言葉だった。

この9日にキャリコン国家検定の結果発表があった。悲惨な結果が待っていた。手応えを感じていただけに意気消沈した。前回合格点に達した面接試験では半分以下の点数しか取れていない。100点満点で3割を切っていた。大いに手応えがあった論述試験すら合格点に達していなかった。合格ラインもしくはラインのわずか下辺りかと自己採点していたので虚脱状態に陥った。

昨日になって面接試験を冷静に振り返えることができるようになった。問題集や参考書を頼りに悲惨な結末の分析を始めた。かなり自己本位な点検ではあるが大きな失敗はなかったようだ。ただ、面接試験の制限時間を超過してしまったらしいという危惧が残る。

私の耳は一定の高音を聞き取ることができない。終了のベル音がその音域だった。全く聞こえなかった。少し慌てた様子で試験官がベルを鳴らしているのに気がついたので慌てて面接を終えた。机上に置かれた時計の目測では余裕があるとみていた。その目測が誤っていたのではないかと思う。参考書には「面接時間20分を超過した場合は不合格になる可能性が高い。」とある。

生まれ落ちてこの方、あらゆる種類の試験に弱い。苦手だ。本気で受験対策をすればよいのだろう。ところが、対策をやり始めると大上段に構えてしまって多くの関連図書を買い込んでしまう。そして興味深いもののみを読む。気がつくと受験対策からは大きく脱線している。この繰り返しだった。改めなければならないと思う。「3度目の正直」は叶わなかった。次回で4回目の挑戦になる。「たかが試験、されど試験」なんだか不合格の言い訳のようになってしまった。

イデア論 無知の知

2010年09月03日 22時37分36秒 | Weblog
「新・岩波講座 哲学」全16巻が届いた。正確にいうと、第16巻が欠けているので15巻が手元にある。近いうちに第16巻を入手する予定だ。第14巻「哲学の原型と発展」から読み始めた。 

強靭な肉体を備えた軍人であったソクラテスの風貌が、魁偉ではあるが醜怪ではないところから意思の不屈を強く印象づけている。また、憑依的な体質をもった人で、しばしば硬直的なトランス状態がかれを襲った。しかし憑依状態を知とみなすことを徹底的に拒否した。私は、ソクラテスがこういう個性をもつ人物であることに興味を覚えた。

「ソクラテスにまさる知者はなし。」という神託の謎は、ソクラテスという無知なる者を引き合いに選びだして、神が最高の知者であることを示す逆説であり、ソクラテスに無知の自覚を命じるものであった。ところが、神託を反駁するための遍歴は神託どおりの結末を招いてしまう。人々は知らないのに知っていると思う無知を患っていたのだ。ソクラテスは神託が幻想の上に築かれたアテナイの破滅をささやく衝撃を秘めていることを悟ってしまうのだ。

またプラトンのイデア(原範型)についても解り易く説明している。高校時代に学んだ倫理社会の教師が特に熱くこのイデア論について語った。われら高校生を相手の授業だから解り易く説明することを旨としていたのだろう。興味深かった。「イデアは、それ自身は知覚を超えてありながら、われわれの知覚的判別の中に、ある規範的な働きとして機能しているのであり、われわれの知り方に応じて濃淡さまざまに現れるのである。」

浪費

2010年09月01日 20時23分42秒 | Weblog
心のバランスをとるために、ではない、頭のバランスをとるために「新・岩波講座 哲学」全15巻を買った。今週中に届く予定だ。読みたいのはごく一部だ。考えかたが偏らないようにするために、いつでも手にとれるように全巻を身近に置いておくことにした。

頭のバランスは保ちやすい。目下、ブレッド&バターのために拾い読みをしている心理学、特にメンタルケアに関していうと、心のバランスが取れなくなると「どえらい」ことになる。私は正常な心理状態という考え方自体が怪しいと考えている。だから、話をかなり割り引いて考えるにしても、「心の病」はどこまでが事実でどこからが専門家たちの想像力なのか判然としない。