旅路(ON A JOURNEY)

風に吹かれて此処彼処。
好奇心の赴く儘、
気の向く儘。
男はやとよ、
何処へ行く。

大本営発表

2006年07月22日 01時54分49秒 | Weblog



「幻の大戦果 大本営発表の真相」(NHK取材班)を読んだ。

最近では、その成果を過大に評価することを大本営発表と茶化す。台湾沖航空戦こそが大本営の嚆矢的発表となった。1944年10月の3日間にわたる空襲によってアメリカ海軍の航空母艦19艘、戦艦3艘を含む米艦50有余艘を撃沈轟沈したと大本営は発表した。ところが実際には駆逐艦2艘に打撃を与えた程度の戦果しかなかった。どうしてこのような誤報がなされたのかをNHKの取材班が解明してゆく。この件については次回。

台湾沖航空戦に続いて一週間後、フィリッピン(レイテ)沖海戦にのぞんだ日本帝国陸海軍は、壊滅したはずの米海軍の艦艇・戦闘機に惨敗する。大本営はこの航空母艦を主力にした艦隊を、別の艦隊であると判断せざるを得なかった。この戦いを境に、性能の悪いアメリカの物量作戦に日本が敗れたのだという神話が確固としたものになってゆく。

ところが、日本は技術的にも劣勢だったのだ。台湾沖航空戦において雷撃機に搭載された日本機のレーダーは使い物にならなかった。ところがアメリカ艦隊のレーダーは、数キロ先から迫る日本機の姿をはっきりととらえていたし、レーダー付の高射砲の弾丸は、命中しなくても日本の雷撃機の近くで自動的に炸裂した。1分間に100万発以上の弾丸を発射できる機銃は弾幕(弾の幕である)を形作って雷撃機の空襲を悉く撃破した。

以降、神風特別攻撃隊による攻撃も恒常化していく。思うに、われわれの世代は、前の大戦について余りに知らない。知らされていない。この本を読んでいるうちに、そういう気がしてきた。