昭和ひとケタ樺太生まれ

70代の「じゃこしか(麝香鹿)爺さん」が日々の雑感や思い出話をマイペースで綴ります。

想い出日記(夜間高校:2)

2005-03-17 20:39:21 | じゃこしか爺さんの想い出話
  ☆入学試験
 入学試験は3月上旬の日曜日午前中に行われた。場所は仮り校舎となる中学校の教室が当てられた。一般の受験者は、現役中卒者とは別の場所で行われた。男女合わせて15人が集まっていた。見回したところ私が一番年嵩のようで、同じ年頃が4人ほどで他は1・2歳くらい年下のように見受けられた。
 
 試験科目は3科目で国語・社会・数学の順で、国語と社会は割り合い簡単にこなしたが、数学の段階では鉛筆を持つ手はしばしば固まったままだった。それは私だけで無く殆どの人が同じようだった。年頃から言っても、恐らく終戦前後のどさくさの最中に学業を終えたのだろうから、国語と社会はともかくとして数学などは毎日の生活に余り関係ないから、今まで覚えている訳も無くまさにチンプンカンプン状態だった。
 あたかも考えているような振りをしているが、実は頭の中は既に真っ白で、時折り顔を上げて辺りを見渡すが眼はあらぬ方向で彷徨よい時間ばかりが空しく過ぎて行った。

 試験会場の教官(理科担当の教師で2学年からHR担任)が、私の横で立ち止って答案用紙を覗き込んでいたが、見かねたように一つの問題のヒントを呉れた。
 それは私ばかりでなく、ところどころで立ち止っていたから私同様にそれぞれヒントを与えていたのだろう。

 兎にも角にも試験は終わった。国語と社会はそれなりに有る程度自信は持てたが、数学だけは全然駄目で何とかして半分ほど解いたが後は白紙で提出した。どうにかして書いた半分だって全部不正解かも知れなかった。

 しかしもうそんな事は如何でも良くなっていた。ある種の緊張感から開放され安らぎと、とにかく大きな事をやってのけたと言う満足感で一杯だった。

 後は試験の結果を待つばかりである。雪解けの道をのんびりと家路に着いた。

 ☆続く