マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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白土の大人の念仏講

2012年10月11日 06時45分40秒 | 大和郡山市へ
夜8時、子供の念仏講が行われた浄福寺の山門前に集まってくる男性たちは大人の念仏講である。

子供の念仏講とは別に組織されている大人の念仏講は、三つの組で組織されている。

かつては子供の念仏講と同じように7日から14日まで毎日行われていたという。

「子どものころだったから、随分と前のことだ」と話す講中のU氏。

「20年ぐらい前までは、子供の念仏講と同じように7日から毎日していた」とT婦人はオンドサンを勤めた父の娘だ。

「毎夜するにはたいへんだと7日と中日と13日になった。その中日がなくなり、いつの日か13日も止められた」という。

一日、一日と減っていき7日だけのお勤めになったという大人の念仏講には文書が残されている。

それによれば昭和57年5月3日の申し合わせで、その年より「たな念仏」を8月7日の一日にされた。

また、8月14日も行われていた門念仏も廃止するとあった。

大人の念仏講には太鼓が見られない。集まった人たちは太い紐で繋げられた六斎鉦を肩にかけて撞木を手に持つ。

カセットテープが唱える念仏に合わせて鉦を叩く。

お念仏のカセットテープは平成23年にCDへ変換されたが音色は変わることない。

オンドサン(音頭さん)と呼ばれていた長老が生前に残された生声のお念仏に合わせて、チャ、チャ、チャンと何度も繰り返す鉦叩き。

「ガーンニーシ クーン」のお念仏の声が聞こえたらチャ、チャ、チャの連打で終える。

願似批功徳(がんにしくどく)回向と思われるお念仏である。

新仏の家に参る前、始めに浄福寺の山門をくぐった寺墓の前で一曲のお念仏をされる。

その直後にもう一曲される。

それを済ませばと、新仏の家に参って鉦を叩く。



子供の念仏講と同じように新仏の家の前庭で行われるが、お勤めをするのは大人の念仏講の講中の家である。

新仏の家は子供の念仏講ではなく、大人の念仏講であって講中は交わることない。

この年は白土特有の形をした吊り燈籠が祭られている3軒のタナ参りを済ませた。

大人の念仏講は浄福寺及び新仏の家のタナ参りでそれぞれ2回行われるが、最後のセセンボ(先祖墓が訛った)では1回のお勤め。



ジャンガラガン或いはチャンガラカンとも呼ばれる大人の念仏講はこうして一日限りのお勤めを終えた。

大人の念仏講はセセンボで解散する。

一年間、鉦を預かるそれぞれの組の家に戻っていく。

(H24. 8. 7 EOS40D撮影)


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