ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「ダブルバインド仮説──コンテキスト間の決定関係」(参)

2020-12-07 | 参照

 

──ベイトソン「精神分裂病を論ずるための最小条件」(1959年)佐藤訳

 第一の命題:「学習は形式的特性をもった何らかのコンテキストの中で起こる」

 ダブルバインド仮説は、こうした構造化されたコンテキストは、
 同時により広いコンテキスト──メタ・コンテキスト──の中で生まれており、
 しかもこのような諸コンテキストの連鎖は開かれた、
 そして概念上は無限に続く連続体であるとの考え方に基づいている。

 同時に、狭いコンテキスト……の中で起こることは、
 この狭いコンテキストを包含する大きなコンテキストの影響を受ける、
 というのがこの仮説の前提である。

 われわれは、精神分裂病コミュニケーションは学習されるものであり、
 この種の持続的外傷経験の結果、習慣化されたもの、という仮説を研究している。

 われわれの仮説は、……大小のコンテキスト間の決定関係こそ問題にするのである。

 観察された現象を説明するには、どんな場合にも、
 学習実験を超えたより広いコンテキストを考慮に入れなくてはならない。
 そして人間同士の交渉はすべてがひとつの学習のコンテキストなのである。

 より深くかつまた柔軟度の低いメカニズム、いわゆる「習慣」。
 (…deeper and less flexible mechanism、which we call 〝habit〟.)

 学習においては、ある問題の解決が習慣に委ねられると、……
 他の問題の解決に動員されてしまうのではないか。

 問題解決をあまりに容易に習慣に委ねてしまう人間こそ、
 問題解決を自らの習慣構造に組み込んだ途端に、
 その解決を無効にしてしまうようなコンテキストの変化に傷つきやすいのではあるまいか。

 

コメント