──信田さよ子編著『実践アディクションアプローチ』(2019、金剛出版)
「外在化」のナラティブは、それまでとは明らかに異なる物語を創造する。
自分のなかの病理や欠陥が「問題」を生み出してきたという物語から、
ある「問題」が自分を支配し振り回してきたという物語に変わる。
主語が「ひと」から「問題」へと変わるのである。
そして、こうした転換を経た後に、
「問題に対抗する私」という新しい主語をもつ物語が始まる。
「私が私のなかの病理と戦う物語」から、
「私が私を支配する問題と戦う物語」へと変わるのである。
ナラティブセラピーはこのように物語の書き換えを促す方法であるといえる。
それは、それまで繰り広げてきた「自分との戦い」をやめるという点である。
「自分との戦い」とはすなわち、自分を自分でコントロールするということである。
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「靴ひもをつかんで自分を持ち上げることはできない」(G・ベイトソン)