memories on the sea 海の記録

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アラスカ漁師を痛めつける・・・キングサーモン不足 (3)

2009-10-24 06:08:20 | 水産・海洋
「我々の資源はひとつしかない」とこの会社のジェネラル・マネジャーのJack Schultheis はいった。「我々には油田も、森林資源もない。これだけが我々のもつものだ」1980年代から90年代初頭には河下の漁業者たちは8000ドルから1万2000ドルの収入を得ていた。また、ときにはそれ以上もあった。しかし、2000年以降その収入がおよそ4000ドルとな、今年は2000ドルちょっとという水準になった。「何かほかの仕事を見つけないと」とエマノックの漁師Paul Andrws はいう。「ここでは、本当に、ほんとうに厳しい」 ユーコン・デルタではAndrewsのような人々が漁労のほかに、ムース狩、アザラシ狩り、渡り鳥類などによって成型を維持している。

パイロット・ステーション集落で小さな店を経営するArthur Heckman氏によればより多くの人がツケでの買い物をするようになったという。「ある日など、クラッカー一箱がほしいとか、パンパースを少し分けてくれという」いうような買い物になったという。河の上流の離れた集落に住む人々はパートタイムの仕事と、政府の援助によって生活を立てている。もちろん漁業にも頼ってはいる。河岸からの網の仕掛けや魚捕獲のための水車が河の流れの渦の近くで回転している。簡素な燻製小屋がどの集落や漁労のキャンプにもある。

キングサーモンはときに30ポンドにも達し、 細長い帯状に裂いたものがハンノキかポプラなどで数週間にわたって燻製にされる。キャンデイのようなひも状のそれはここではどこにも見られるし、パイロット・ビスケットと呼ばれる硬いクラッカーとともに食される。サケはまた缶詰にも、冷凍品や塩蔵にもされる。今年、漁業会社のマネジャーははじめて、キングサーモンの第1波の生計維持のための漁労を止め、その後の溯上についても半分の量に制限した。ここに生きる人々は一週間に2度だけ18時間以内の操業を行なった。河の中流で漁を行なうただ一人のZeta Cleaverは人からはるか遠くのアンカレジが魚を買いたがっていると聞いた。彼女は昔、一日に1ダース以上のキングサーモンをとり、彼女の子供や孫のために燻製小屋を一杯にしたというが、今年はわずかに数尾に過ぎなかった。

今に至るまで、多くの居住者たちは家族が集まり、河沿いの漁労キャンプで漁をし、冬場には狩猟や罠による狩を続けてきた。今年は、漁業規制と燃料費の高騰、社会の変革などによって多くのキャンプが空っぽになった。あるレポーターによるユーコン河とタナナ河のカヌーによる900マイルの河下りの観察では、数え切れないキャンプが閉ざされあるいは廃棄されていたという。複数の家族が数を競い合ったキャンプは今は静かな退却をしてしまったようだ。

暖をとるための燃料の高騰、かぎられた漁業収入は下流域の住民を昨年冬には恐ろしいほどの苦境に陥れ、食料やその他の援助の緊急支給を必要とした。今年は更に悪い状況で、アラスカ州知事のSean Parnellはこの8月に, ユーコン河住民に対する連邦災害支援を要請した。しかしこの要請の結論はいまだ出ていない。マーシャルでは長い冬のための準備を始めた。暖房用の燃油は1ガロン当たり7ドル上昇、コンデンスミルクの缶は4ドルとなった。住民たちはガソリンのコストのためにグループでムース狩に向かう。「集落全体が痛みを受けている」と漁師であり重機のオペレーターであるMike Petersはいう。「人々はみんな魚で生きている。でも今それがいない」

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