写真はメキシコの西海岸にあるアカプルコの歴史博物館にて。ここの海から引き上げられるのが中国製の陶器。フィリピン経由で運ばれていた。使う人はメキシコを征服したスペイン人だった。
【デブーの由来】
そもそも「debut」はフランス語が語源で、デブーという発音はスペイン語です
(正確にはスペイン語では「デブット」 フランス語は「デビュ」)。
スペインでも18歳の女性がロングドレスを着てお披露目パーティをする「La puesta de largo」という習慣があり、現代でも上流階級では18歳女性の誕生日に開いているようです。
https://www.youtube.com/watch?v=CAyW9Y3jdi0 https://www.youtube.com/watch?v=jhLS0QYMsAg
ちなみに「La puesta de largo」は、スペイン語で社交界へのデビューのこと。
スペインがフィリピンを統治したのが1571年から1898年まで。
当時、スペインも含めたヨーロッパでは年ごろの子供を、他の貴族たちに紹介する社交の「デビュー」が重要視されていました。イギリスのテレビドラマ「ダウントンアビー」でも社交界デビューが描かれていますね。
【スペインとメキシコの融合?】
上の写真はアカプルコの海に突き出たサンディエゴ要塞。1616年ごろにメキシコーフィリピン間のスペイン船を守るために建てられた。形が函館の五稜郭にそっくり(当然ながら五稜郭のほうが後に建てられています)
つまり「デブー」はそこからきているのかなあと考えていると、別の表現が目に入りました。
メキシコの「キンセアニェーラ」(スペイン語でquinceañera=15歳の少女、の意味)です。
同じくスペイン統治下だった同国で花嫁修業の総仕上げとして15歳になった女性のお祝いを意味します。スペイン統治下のラテンアメリカ圏ではこの習慣からパーティにまで発展していったらしいのです。
そもそもスペインがなぜフィリピンを目指したのかというと、メキシコの産物をスペインへ送る航路の開拓にありました。今よりもずっとフィリピンとメキシコは直接につながっていました。当然、この習慣もフィリピンにもたらされた可能性はあります。
ウィキペディア「キンセアニェーラ」の項目には、さらに見落とせない点として「同様の習慣がイベリア半島とフランスにもあった」と書かれています。
成人の儀式をパーティと絡めたい、というところがラテン民族のフランス、スペイン、そしてスペイン統治下のラテンアメリカ圏に共通していたのかもしれません。
このパーティを教えてくれた先生の家には様々な問題を抱えてはいましたが、大学を出してもらったことから考えると中流階級なのでしょう。先生は今や子供もいる20代後半でしたが、今でもとびきりの思い出になっているのでした。
※現在もデブーパーティをフィリピンのホテルやレストランの一部では受付ていましたが、この状況下では、なかなか集まれないことでしょう。
ただ英語で「cancell」で調べると、アメリカでは中止または延期になったコンサートのチケットを払い戻さない場合、寄付金控除の対象になるという話がヒット。これはいい政策だと思ったら、日本でも4月30日に同様の法律が国会を通過していました。毎日、日本の新聞を見てるのですが、気づかなかった! 使い勝手のいい政策でありますように。
※次回から、食事編になる予定です。