写真はセブのマクタン島の雨上がりに出会った仲の良い(たぶん)兄弟。お兄ちゃんが弟の手を引いて、夕やみの迫る道を歩いていた。
【家族の範囲】
先生の話を聞いているとフィリピンでは一つの敷地に三世代暮らすのは普通で、他に同じ父母のもとに生まれた兄弟が結婚後もともに暮らし、さらに姉妹も近くに住んで親に子供の養育を任せることが多いようでした。このシステムがあるからこそ、フィリピン社会は遠方にも出稼ぎが可能なのでしょう。
そういうわけで教科書に頻出する日本にとっての遠い親戚は、彼らの日常。たとえば「sister-in-low(義理の姉」、「cousin(いとこ)」「niece(めい)」「 nephew(おい)」。私に覚えさせるために単語の練習なのかと思っていたら、お互いの日常風景の違いなのだと気づきました。上級クラスにいる方に聞くと、先生と親戚の話をはじめるとその親戚関係の濃さについていけなくなる、と驚いていました。
先生方とのトークで次に多いのが、「いつか日本に行ってみたい」。その際、若い男性は恋人と行きたい、といったわかりやすい話で落ち着くのですが、それ以外の先生は違いました。
旅行は家族・親族といくもの、となると10人以上分の費用が必要になるので、どれだけ稼げばいいかしら、と真剣に計算するのでした。
そして例文でやたらとでてくるのが、誕生パーティ。日本では友達同士、親子の範囲で年に数回行われるアニバーサリーです。ところが家族の範囲が広いフィリピンではおばあちゃん、おじいちゃんは言うに及ばず、親、自分の兄弟姉妹、その兄弟姉妹の結婚相手、その子供ら(つまりいとこ)さらに子供が結婚していたらその子供の子供と。ここまでが一緒の敷地に暮らしている、もしくは近くに住んでいるという家族の基本単位な上、それぞれに子供の数が日本より多い。
さらにパーティが大好きで、プレゼントを用意するのも、もらうのも楽しみな国民性、となると、しょっちゅう「家族」の誕生パーティが開かれることは自然の成り行きです。英語が上達したかどうかは不明なのですが、気にいい先生と毎日、数時間語る日々のなかでフィリピンの常識を知る、おもしろい体験でした。