雲南、見たり聞いたり感じたり

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雲南めぐり●市場から3

2007-11-09 23:14:33 | Weblog
【はじける挽き肉】
 豚肉と牛肉、それと雲南では春節(旧正月)前にだけお目にかかる羊肉は、たいてい肉の解体専門市場で皮を剥ぎ、臓物を切り取ったものを、さらに部位ごとに500グラムぐらいの固まりに切り刻まれて売られていた。人々はそれを一つ一つ丁寧に見て吟味し、量り売りで買うのである。

 運搬の仕方もおおざっぱなもので、朝方に街を歩くと、皮を剥ぎ取られ、臓物を取り除かれた豚一頭がバランスよくバイクの後ろの台にくくりつけられて、排気ガスの多い通りを過ぎていく光景に出くわすこともあった。一頭買いした結果なのか、運搬途中だったのかは分からない。とにかくバスを待っていると、死んだはずの豚のほほえみ顔と目があってしまうのが、不可解だった。

 さて、昆明周辺にはいくつかの国営農場出身の大養豚場があるにはあるのだが、地方では、まだ豚を家ごとに大切に育てているほうが一般的だ。それらの豚は放し飼いされ、残飯をもらったり、そうでない場合は庭の回りをずっと下を向いて手当たり次第、口に入れたりして一日を過ごしていた。そのせいもあるのか、豚肉は何を食べてもおいしかった。味は濃厚、堅さもほどよく、牛肉のようにあごが痛くなってもなおかみ切れない、という事態にはならないのもうれしかった。

 挽き肉は機械で押し出される日本のものとは違って、人の腰ほどの高さの切り株でできたまな板の上で、刃渡り二〇センチ厚さ一〇センチはあろうかという重そうな包丁で「バンバン」と細かく切り刻んでつくり出す。炒めると小さな肉のかたまりが口の中でプチプチとはじけて、旨みがゆっくりと広がっていく。

 その、まな板のすり減り具合で店の信用が量られるのか、店の人が「うちの店はこのまな板だよ」と自慢していたこともあった。
 
コメント (5)
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