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中国一、子供が誘拐される街5

2007-05-18 17:23:19 | Weblog
写真は雲南省北部のとある村。雲南北部はインド亜大陸とユーラシア大陸のぶつかりで生じた険しい山岳地帯がひだのように続く。ひだの間にある東西40キロほどの距離に長江、メコン河、サルウィン河といった大型河川の最上流部が接近して南北に流れている。そのため、村々は険しい山間にポツリポツリと天空の城のように作られる。

【誘拐村の存在】
 さて、子供は昆明で誘拐された後、どのようにして沿海地区へと売られていくのだろうか。そこには信じがたいことだが、誘拐村ともよぶべき強固な組織が関わっていた。

 その村の人々は「誘拐」を生業する。村ぐるみの組織は人さらい実行戸、養育戸、売りの専業戸などと細かな専門分野に分けられていて、3世代にわたって誘拐及び売買を生業とする家も珍しくない。周辺住民はその村の人達が丸ごと昆明で人身売買を行う専門集団であることを知っている。

 こういった誘拐村は一つではなく、摘発され実態があばかれたところでは省東北部の昭通市塩津県と曲靖市会澤県にあった。いずれも四川省と貴州省にはさまれた山岳地帯にあって雲南省都とを結ぶ、古くからの交通の要衝だ。誘拐村はひと目で分かるそうで、周囲の貧しい村々とは対称的に多年にわたる「経営」で新築された家や新車の購入など豪奢な暮らしぶりが目立つという。

 まず昆明で誘拐された子供は、いったん雲南の山奥に点在するそれらの「誘拐村」に集められる。そこで一定期間、女性の養育係が世話をする。子供を落ち着かせ、また素性が分からないように昆明なまりの口音を変化させるためである。

 ここで数カ月養育された後、乳母役の女性たちが子供を広東省や福建省に連れていく。子供達が運搬役の女性になついているため、道中、多くの人目に触れても、よもや誘拐された子供達とは周囲は気づかれない。そうして無事に、商談の成立した家へと売られていくのである。

 子供の価格は、0歳の男子が一番高く、最初の下手人の手取り100元が、人さらい村への手付け金3000元~5000元へと跳ね上がり、以後、転売に次ぐ転売で最終的には2万~3万元の売値に達するという。これは雲南では少なくとも公務員の年収に相当する。
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