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米主導の核管理体制の中でビジネス
ゴールデンウイークに大勢の財界人を引き連れて海外歴訪した安倍首相は、トルコでは原発2基を受注、UAEでも受注への下工作を行った。日本は既にヨルダンとも原子力技術協定を結んでいる。この地域は核開発疑惑が問題になっているイランの周辺国だ。原発建設は表向きは平和利用だが、核開発への転用が可能であることから深謀遠慮が渦巻いている。
日本が原発に力を注ぐのは、いつでも核兵器を製造できる核燃料プルトニウムと原子力技術を持つ「潜在的核保有国」であることに狙いがある、ともいわれている。
かつてシリアが建設中の原発をイスラエルが空爆して破壊したのも、原発技術が核に転用されることを怖れたからだ。緊張が増す中東でUAE、ヨルダン、トルコまでも原発に頼るのは「潜在的核保有」と無縁ではない。イスラム国家に核技術が流れることを米国は警戒している。放置すればロシアや中国が核技術を提供しかねない。そこで日本に出番が回ってきた。日立・東芝・三菱はGEやWHの現場監督のような役回りである。日本勢は米主導の核管理体制の中でビジネスをしているのが現状だ。
核技術や核物質の監督はIAEA(国際原子力機関)の仕事だが、国家が意図的に隠そうとすれば完璧な調査はままならない。日本勢が建設から運転までを担えば情報管理はやりやすい。日本が成長戦略として原発輸出に励む背後には、米国が望む核不拡散=世界核支配体制の堅持という大きな絵があるということだ。
あっけらかんとしたセールスマンぶり
田畑も山も川も海も汚され、作物は売れず、健康まで脅かされ、暮らしは破壊された。原発はもうこりごりと思う人は少なくないが、首相は「日本の原発は世界で一番安全」と売り歩いている。「原発被害なんて早く忘れて」といわんばかりのあっけらかんとしたセールスマンぶりだ。
原発の電気が一番安い」という幻想が崩れ、「原発を止めると電気が足らなくなる」というプロパガンダも、人々は信じなくなった。今度はアベノミクスの成長戦略にのせて「景気をよくする原発輸出」という宣伝だ。脱原発への流れを押しとどめようと、まず海外から外堀を埋める。よその国がこんなに頼りにする原発を、なぜ日本の皆さんはダメだというのですか、というキャンペーンである。
原発を早く再稼働したい電力会社。投資を回収するため原発を作り続けたいメーカー、資材や部品を供給する関連企業群、原発事業を職場とする労働組合、原発産業に寄生する政治家や政党、原発を推進し天下り先を頼ってきた官僚組織、核戦略に日本の政府とメーカーを組み込んだ米国……。
どれも半端ではない力を持った勢力が、フクシマを忘却の彼方に押しやろうとしている。
首相は好調な支持率に乗って、ここぞとばかり時計の針を戻そうとしている。参議院選挙までは慎重に、当分は景気回復に邁進、と自らに言い聞かせているらしいが、予想外に好調な滑り出しで、憲法改正ばかりか原発復活まで持ち出してきた。
.......ところで
福島第一原発の地下水の海洋投棄について、福島県漁連は組合長会議でいったん了承したとされたが、会議終了後に一転して結論を先送りにした。
円安で恩恵に与れるのは精々大企業のみ、特に中小企業は輸入エネルギー、資源の高騰に悩まされる事となる。
底辺に近い人々の賃上げや雇用状況が改善するのはとても困難な事であり、物価もデフレ商品(中間層以下向け)とインフレ商品(富裕層向け)の2極に更に分化し、中小企業は一部を除いて引き続きコストカットに苦しむ事となる… 何れにしても「アベノミクスの恩恵」は大部分の人にとって“瞬間的なもの”となるだろう。
真の解決策は「資本(金)と物欲」から少しでも離れる事だと思うのだがどう見ても現況は「逆行している」としか見えないのである。 おそらくこの先には“厳しいハードランディング”が待っている事であろう、回避策をとれば間に合う…
実は軍事、経済、政治よりもっと大きな根本的な問題が奥に横たわっているのだ。