確かに政権は自民党が奪取した。が、これほど露骨な人事介入は異常である。さすがに経団連の米倉会長も、「株主横暴との批判が出る可能性がある」と指摘した。
菅官房長官は「民営化を円滑に進めていくため」と強調したが、ちょっかいを出す理由はハッキリしている。郵貯170兆円と簡保90兆円で合計260兆円。いまだに高く積み上げられている郵政マネーを本体から引き剥がしたいのだろう。
「もともと郵政民営化は米国が強く求めてきたものです。日本への『年次改革要望書』にも記載されていました。民営化で国の保証がなくなれば、優位性は失われる。・・・・・当時の小泉首相が郵政民営化に取り組んだのも、庶民から集めたカネを米国に差し出すため。“改革の第一歩”みたいなことを言っていましたが、単なる方便です。ただ、政権交代で民営化の歩みは止まり、郵貯残高も2年連続で増加に転じている。シビレを切らした自民党が強硬手段に出た格好です」(政界関係者)
米国に媚(こび)を売りながら、足下はガッチリ――。このままでは安倍自民党の思い通り になってしまう。
以上
しかし、ゆうちょ銀行の預金高というのは、3大メガバンクを足したよりも多いことを忘れてはならない。本当に万が一、ゆうちょ銀行が経営破綻したら、預金保険機構が支払いに耐えられるかどうか、わたしは疑問に思わざるを得ない。
かんぽ生命が破綻したときの影響はもっと大きい。生命保険会社が破綻すると、過去にさかのぼって予定利率が引き下げられるからだ。となると、年金をもらえると期待して積み立ててきた人が、実際に手にできる金額は、予測の3分の2から半分程度に減ってしまう恐れが十分にあるのだ。実際に、これまでの生保の破綻では、そうした事態が発生している。
ドルが暴落する可能性は、長期でみれば100%だとわたしは思っている。新しい経営者がどれだけ米国債の運用を認めるかは分からないが、そうしたリスクを念頭に置いているかどうか、わたしは心配なのである。
そして、ゆうちょ銀行やかんぼ生命の株を売却することは、国民の大切な資産をそうしたリスクにさらすことになる のだが、政府はこれまで国民に対してそのことを一言も説明していないのだ。