京男雑記帳

洛中で生まれ育った京男が地元視点で見た日常風景や話を雑記的に掲載

同じ狐でもちょっと怖いかも

2015年09月07日 05時06分14秒 | 社寺


ここは、建仁寺の境内の北西にある塔頭・興雲庵(こううんあん)です。
建仁寺の鎮守の意味で陀枳尼尊天(だきにそんてん、豊川稲荷)がお祀りしてあります。



狛犬ならぬ狛狐がありますね。
伏見稲荷と同じように思う人もいるでしょうね。
全然違います。
伏見稲荷は、宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)をお祀りしているのに対して、ここは、陀枳尼尊天をお祀りしています。
どちらも、女神さんなんですが、陀枳尼尊天の方が遙かに怖い神さんです。



姿は、白狐に乗る天女という姿。
豊川稲荷(とよかわいなり、愛知県豊川市にある曹洞宗の寺院)が有名です。
陀枳尼尊天は、元々ヒンドゥー教で血と破壊・殺戮を好むとされる戦いの女神カーリーの眷属で、敵を殺してその血肉を喰らうという恐ろしい鬼女なんです。
「陀枳尼天を崇めることによって、現世では富や権力などを思いのままにできるが、その代償として死後は自分の肝を陀枳尼天に喰われなければならい」なんて怖い一面もあります。
真言立川流なんかでも祀られていたらしい。



何人か、豊川稲荷を拝み成功した経営者を知っています。
ただこの豊川稲荷は、願いが叶ったら念入りに御礼を言わないといけない。また他の神仏に浮気をしてもいけない。そんなことをしたらエライ目に遇う怖い存在。不動明王なんかも同じだと聞いております。
伏見稲荷大社の宇迦之御魂大神さんの場合は、外宮の豊受大御神と同じように御饌都神(みけつかみ)つまり神々の食べ物や衣食住を司る神さんなんです。食べ物の象徴として稲穂の形をした動物ということで、神のお使いが狐なんです。
陀枳尼尊天の場合は、白狐に乗った女神とは性格が違います。



だから伏見稲荷大社と豊川稲荷をはしごしたら、えらいことになります。
両方共女神さんだしね。
辯才天や歓喜天、吉祥天といった神仏も禅宗のお寺によく祀ってありますね。
おまけに「神仏習合」や「神仏分離」なんかもあって、ややこしい状態になっています。
女神さんたちにお願いする時は、くれぐれも丁寧にお参りしてください。
デートで行ったりすると怒られるかもね。



「触らぬ神に祟りなし」かも。

和菓子
中村 肇
河出書房新社

↑これから暫くの間、京男の和菓子本のお知らせをさせてもらいます。説明は1月27日の記事をご覧ください。(色のかわっている部分をクリックすると表示されます)

Twitter→@kyo_otoko
コメント (6)
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