万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

広東省暴動―一党独裁体制は”たかり”の階層構造

2011年06月15日 15時25分35秒 | 国際政治
「地元当局はウソばかり」怒る民工…広東省暴動(読売新聞) - goo ニュース
 中国では、広東省で暴動が発生し、武装警察が出動した報じられています。事の発端は、治安当局者による露天商の妊婦暴行事件ということですが、この暴動、中国の現体制の構造的な問題に起因していると思うのです。

 被害を受けた露天商の女性は、治安当局者から要求された”所場代”を拒否したことから暴行を受けたそうです。この展開は、ジャスミン革命へと発展したチュニジアのケースに酷似しています。独裁体制では、得てして権力は、国民から絞り上げる”利得の権限”と化し、独裁者を頂点とたヒエラルヒーにおいて、下部に向かって分配される傾向にあります。このため、治安当局者は、さらに上の権限を持つ当局の役人に対して、”所場代”を支払っているのかもしれません。つまり、独裁体制は、”たかり”の階層構造として、国民の前に立ちはだかっているのです。

 中国の場合、”たかり”の構造は今に始まったことではなく、長期にわたる皇帝の支配よって、この体質が染みついているのかもしれません。しかしながら、市場経済を経験し、統制下にあっても、わずかなりとも外部の情報にも接することができる現代の中国国民が、これを黙って受け入れるとは考えられず、早晩、この構造は、国民の抵抗の前に変革を迫られるのではないでしょうか。

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自然エネルギー普及のジレンマ

2011年06月14日 15時35分37秒 | 日本政治
全原発停止なら…家庭の電気代1千円アップと試算(読売新聞) - goo ニュース
 確かに、危機をチャンスに変えことができれば、それに越したことはありません。福島原発の事故を契機に、原発議論が盛んになってきましたが、中には、脱原発を決断してこそ、我が国において、競争力のある新たなエネルギー産業が誕生する、とする意見もあるようです。

 本日の新聞でも、中谷巌氏がこうした見解を述べておりました。日本の自動車メーカーが、競争力を著しく高めたのは、自動車産業における環境規制の強化に対して、いち早く、技術力を総動員して対応したからである、と。しかしながら、この論理、もし、エネルギー分野に持ち込むならば、政府は、太陽光発電買い取り制度のような補助金制度を廃止すべきと思うのです。何故ならば、補助金制度が設けられている分野にあって、競争の活性化を期待することはできず、むしろ、技術開発へのインセンティブを鈍らせることになるからです。言い換えますと、この方法では、如何に低い技術レベル、かつ、高コストの発電であっても、自然エネルギーでさえあれば、淘汰されずに生き残ることになるのです。競争力強化と技術革新を促すならば、ハードルを高くする方が効果的です。また、企業には、より安い電気料金の国に、生産拠点を移すという選択肢があります。自然エネルギーを普及させた結果、製造拠点としての競争力を失い、産業そのものが空洞化しては、元も子もありません。

 ソフトバンクに続いて、三菱商事も熊本県と大規模太陽光発電の共同事業を検討しているそうですが、こうした発電施設は、一度建設されますと、長期に亘って高コスト体質のまま運営することになります。自然エネルギーの普及と国際競争力とのジレンマの解決法を見出す以前に、負担転嫁型であり、かつ、補助金制度を前提としたプロジェクトを推進することには、大いに疑問があると思うのです。

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疑問に満ちた外国人ポイント制

2011年06月13日 15時07分27秒 | 日本政治
能力高い外国人優遇へ、職歴や年収などを点数化(読売新聞) - goo ニュース

 政府は、能力の高い外国人を優遇するために、ポイント制を導入する方針と報じられています。しかしながら、この制度、疑問だらけなのです。

 第1に、様々な国の出身者が存在することを考えますと、学歴のポイント化は、簡単そうで難しいことです。国ごとに、教育方法、レベル、さらには、評価基準さえ違いますので、学士号、修士号、博士号といっても、相当のばらつきが予測されます。また、中国のように、政府が証明書を偽造することもありますので、信頼性を確保するための何らかの調査を要します(真に能力の高い人材であるのか分からない・・・)。

 第2に、この制度、70点以上を獲得した合格者の入国を許可するということなのか、それとも、優遇するということなのか、はっきりしていません。前者である場合には、日本企業が外国人を採用するに際し、合格者リストから選ぶということになります。一方、日本企業が、独自に採用したい外国人を見つけても、本人が、このポイント制の試験に合格できず、雇用できない事態も発生する可能性があります。さらに、後者となりますと、外国人を雇用しているのはあくまでも企業ですので、政府は、民間企業に対して、合格者に対する特別な優遇措置を求めることはできないはずです。それとも、入国に際して、点数の高い順から優先的に許可を与える、ということなのでしょうか。

 第3に、仮に、70点以上を獲得した外国人に対して無制限に入国を許可するとしますと、入国後に雇用する企業が現れなかった場合、その外国人は、どうなるのか、判然としません。近年、外国人に対する生活保護が増加傾向にありますが、ポイント制で入国した人々もその対象として認めますと、さらなる財政負担が重くのしかかることになります。

 この他にも、この制度が自動化されますと、自国の雇用事情を考慮せず、失業問題を悪化させる可能性も指摘できます。杜撰な制度設計のままで運営を始めますと、後になって問題が噴出し、対応に苦慮することになるのではないかと思うのです。

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アノニマスの正義とは何か

2011年06月12日 14時52分24秒 | 国際政治
楽しみにしていろ…国際ハッカー集団、報復予告(読売新聞) - goo ニュース
 正体不明の謎の国際ハッカー集団アノニマス。エジプトの民主化に際しては、ムバラク独裁体制のネット統制をサイバー攻撃で破壊したことで、一躍、その名が世界に知れ渡ることになりました。ネット上の”自由の闘志”として。

 エジプトの政変では、アノニマスは、確かに、自由と民主主義の側に立って活動しています。ところが、ソニーの顧客情報を盗み、流出させた事件については、何を目的とし、そうして、何処に正義があるのか、まったく分からないのです。ソニーの事件には関与していないとの報道もありますが、政府や企業に対する攻撃の意図も、いまひとつ、はっきりしません。スペイン警察に逮捕されたアノニマスのメンバーとされる3人は、”楽しみにしていろ”と、逆恨みによる報復まで示唆しているそうですが、その態度は、攻撃的、かつ、テロリスト的です。

 この逮捕された3人は、アノニマスに所属しているとはされてはいますが、一部の独立的なグループなのかもしれませんし、あるいは、”自由の闘志”としてのアノニマスの評価を落とすために、意図的にアノニマスを名乗っているのかもしれません。言論空間であるネットに相応しく、言葉による説明を怠りますと、アノニマスは、単なる悪質なハッカー集団に堕してしまうのではないでしょうか。これでは、誰も、”楽しく”ありません。

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脱原発派の人々は保守主義者なのか

2011年06月11日 14時36分41秒 | 日本政治
トヨタ社長「日本で物づくり、限界超えた」(読売新聞) - goo ニュース
 東日本大震災による電力不足は、ついに西日本にまで及び、我が国の産業を根底から揺さぶろうとしています。本日、脱原発を訴える大規模なデモも予定され、テレビ局の中にはその様子を生中継する局もあるそうですが、デモに参加する人々は、電力供給不足の結末を予測しての行動なのでしょうか。

 現状の技術レベルでは、自然エネルギーによって、原発の停止分の電力を補うことはできません。もし、それが実現するとしても、まだまだ先の将来ことなのです。このことは、脱原発政策を現時点で実行しますと、我が国の産業基盤が弱体化し、海外に製造拠点を移さざるを得なくなりことを意味しています。脱原発派の人々の中には、放射能に汚染されていない”きれいな日本国”を後世に残すことが、保守主義者としての務め、と主張している人もいるようですが(ドイツでは、左派の属する緑の党の主張・・・)、その半面、産業への打撃、つまり、我が国の弱体化については、無視を決め込んでいるようです。

 脱原発の結果、産業の空洞化と雇用の喪失を招くことは、誰もが理解するところです(深刻な失業問題の発生・・・)。これを知りながら、代案もなく脱原発を訴えている人々は、我が国の行く末を心から心配しているとも思えないのです。

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JAXAとソフトバンクの共同開発の問題点

2011年06月10日 11時12分44秒 | 日本政治
「ドコモの接続料こそ問題」ソフトバンク、根拠開示拒否(朝日新聞) - goo ニュース
 最近のソフトバンクの政府との癒着、あるいは、利権狙いとしか言いようのない露骨な行動には驚くばかりです。大規模太陽光発電計画にも呆れましたが、今度は、JAXAと共同で、災害時における気球基地局の研究開発を進めると報じられています。

 JAXAは、”はやぶさ”で名を馳せた宇宙航空に関する公的な研究機関であり、気球に関する研究も行ってはいるそうです。また、震災時にあって、携帯電話の通信を維持することも、公共性には適っています。しかしながら、JAXAの研究予算は、国民負担の税金から拠出されていますので、一民間事業者に便宜を供与する形で、公的な研究機関が利用されることには問題があります。この計画が実現するとしますと、JAXAの貴重な予算と時間を私的な目的のために割くとなり、公平性を著しく逸することになるからです(研究成果の私物化・・・)。もし、こうした共同研究を認めるならば、共同研究に関わる実費は全てソフトバンクが負担し、かつ、多額の研究機関の使用料を徴収する、あるいは、JAXAが単独で開発し、研究成果だけを全ての事業者に対して有料で提供するなど、何らかの公平性を確保する仕組みが必要です。

 国民の多くは、民間企業であるソフトバンク一社のために、公的な研究機関と税金が使われることには反対なはずです。ソフトバンクの手法とは、政府や公共の財産を自己の私的な利益ために利用することであり、あたかも、中国や韓国の公私混同の体質が、我が国を内側から蝕んでいるかのように見えるのです。

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脱原発のコストに耐えられるのか

2011年06月09日 17時35分42秒 | 日本政治
九電、夏の燃料追加分6割確保 節電要請を正式表明(朝日新聞) - goo ニュース
 最近、ネット上で、来たる6月11日に、大規模な脱原発デモが予定されているとの情報を目にします。ドイツに続いてスイスも脱原発を決定したそうですが、脱原発政策には、多大なコスト増が予測されます。

 特に、電力会社には、三重苦が待っていることになります。(1)火力発電の燃料コストの上昇、(2)廃炉コスト、(3)自然エネルギーの発電や買い取りコストの三者です。先日の新聞報道によりますと、(1)のコストは、全原発を廃炉とした場合、3兆円に上るそうです。放射性廃棄物の処理を伴う(2)のコストも莫大です。特に、近年新設した原発は、設備投資費を回収する以前に廃炉となりますので、これまでの投資は、全て水泡に帰します。(3)については、太陽光発電買い取り制度が既に存在していることに加えて、今後は、電力会社自身が、発電量の不足分を埋めるために、自然エネルギーへの投資を増やさざるを得なくなりますので、このコストも無視できません。

 脱原発の立場から、原子力発電のコストは、事故や安全対策を考慮すれば高い、とする主張がある反面、脱原発を実行しても、膨大なコストが発生します。こうしたコストは、最終的には、電力料金に上乗せされることになるのでしょうが、我が国の経済や家計が、この重い負担に耐えらるのか、よく考えてみる必要があると思うのです。

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放射性廃棄物問題の未来―オメガ計画は京大とJ-PARCへ

2011年06月08日 15時36分38秒 | 日本政治
1号機、地震5時間後に圧力容器破損…保安院(読売新聞) - goo ニュース
 原発反対の根拠として、しばしば、放射性廃棄物の処理問題が挙げられます。半減期が極めて長い放射性物質を処理・管理することは不可能であると。しかしながら、未来技術としては、この難問を越える方法があるそうなのです。

 我が国は、1988年から「オメガ計画」を開始し、世界に先駆けて、核変換技術の研究・技術開発に取り組んできました(大強度陽子加速器施設を用いて長寿命核種に陽子線を照射し、半減期の短い短寿命各種に変換してしまう・・・)。ところが、最近、ネット上の情報として、文部・科学省が「オメガ計画」のデータを紛失したということで、その行方が懸念されることになりました。しかしながら、どうやら、この研究、京都大学とJ-PARCで継続されているようなのです。もし、将来、核変換技術が確立するとしますと、大幅に核廃棄物を減らすことができると共に、核燃料の再利用も促進されます。しかも、短寿命化のため、廃棄物管理も数百年ほどで済むそうなのです。

 現段階では、実用化には至っていませんが、こうした核廃棄物の処理技術の発展が、原子力をより安全なエネルギーとする可能性があります。福島第一原発の事故により、原子力に対しては、心理的な拒絶反応を起こしがちですが、その未来を冷静に見据えることも大事なのではないかと思うのです。

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ドイツの脱原発政策―マイナス影響への不安

2011年06月07日 16時24分58秒 | 国際政治
ドイツ「2022年までに脱原発」 全17基閉鎖決定(朝日新聞) - goo ニュース
 福島第一原発の事故は、ドイツに思わぬ影響が及ぶことになりました。当の日本では、原発全廃を支持する比率は10%台に過ぎないのですが、ドイツでは、大規模な原発反対運動が発生し、メルケル政権は、ついに、2022年までに脱原発を実現させる方針を閣議決定したそうです。閣議決定の段階ですので、議会での法案の行方はまだ分かりませんが、脱原発政策には、幾つかの問題点もあるようです。

 第1に、ヨーロッパ経済を牽引してきたドイツの産業界からは、不満の声が上がっているそうです。自然エネルギーに転換するとしますと、電力料金が10%程上昇し、産業界にとっては、国際競争力にもマイナス影響を与えるコスト高となるからです。脱原発を決定した会議では、産業界の声は、ほとんど無視されたと伝わります。

 第2に、ドイツ国内における原発技術の喪失が懸念されます。昨日、早速、中国が、ドイツの原発技術者との接触を図っているとの報道がありました。一度、ある産業分野を放棄しますと、後から再建することは極めて困難になりますので、今回の決定は、将来においてドイツに如何なる影響を与えるのか、未知数でもあります。特に、原子力は発展途上の先端技術ですので、衰退産業や旧式の技術の放棄とは事情が違うからです。

 第3に、ドイツの場合、電力不足が発生しても、フランスやチェコなど、隣国から電力を自由に購入することができますので、それほど、深刻化はしないかもしれません。しかしながら、原子炉閉鎖による発電量の不足分を他のエネルギーで埋められないとしますと、電力不足やコスト上昇の問題が、隣国にも波及するおそれがあります(この電力不足に対応するために、他の国では、原発を増設するかもしれない・・・)。また、ドイツにおいて、石油が天然ガスといったエネルギー資源の需要が大幅に増えますと、これらの国際市場価格も上昇することになります。

 反原発の立場からは、ドイツの決定は評価されることなのでしょうが、マイナス要因については、充分に考慮されているとも思えないのです。もちろん、ドイツの決定ですので、他国はこれを尊重すべきなのですが、福島の原発事故がそもそもの原因であることを考えますと、いささか心配にもなるのです。
 
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天安門事件に及び腰のマスコミ

2011年06月06日 15時22分28秒 | アジア
内モンゴル、リーダーなき反抗 ネット・携帯でデモ拡大(朝日新聞) - goo ニュース
 中国当局は、22年前の6月4日という日に起きた事件の記憶を、どうにか消し去ろうと必死のようです。しかしながら、あの日、人民解放軍の戦車の前に立ちはだかった青年の姿を、中国人の多くは、決して忘れることはできないのではないでしょうか。

 残念なことに、我が国においても、今年は中東諸国で民主化運動が起きているにも拘らず、何故か、天安門事件に関する報道が少ないように感じます。香港では、大規模な追悼集会が開かれたようですが、中国国内の一般的な国民の反応や行動については、詳しい報道はありません。その一方で、比較的大きく報じられたことは、中国当局が、犠牲となった学生の母親達の会に対して、買収工作を行っているという記事でした。こうした情報から垣間見える中国政府の方針とは、天安門事件が人々の意識に上るのをネット規制やお金の力で抑え込み、民主化運動を徹底的に封じ込めようというものです。

 グーグル・ニュースでも、”天安門事件”という言葉の付くニュース記事は見当たらず、日本国内でも、中国当局の意向が働いているのか、心配になります。このままでは、中国が”密室”と化し(密室化されると残虐行為が隠される・・・)、中国国内で何が起きても、外国では誰も知らない、という事態になりかねません。マスコミは、中国の民主化を支援するためにも、中国国内の状況を、務めてオープンに報道すべきと思うのです。

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ユダヤ人は人類の教訓のために選ばれた民か

2011年06月05日 15時26分37秒 | 中近東
オバマ大統領の中東政策演説 “踏み込んだ提案”と評価も(産経新聞) - goo ニュース
 古来、読み継がれてきた神聖なる書物である聖書に対して、新たな解釈を付すことは、いささか気後れすることなのですが、最近、あるテレビ番組で、モーゼは、エジプトの傭兵隊長であったとする仮説を目にしました。この番組によりますと、約束の地、カナンを手にするために、モーゼは、40年もかけて大軍隊を鍛錬・育成し、その地に住んでいた他の部族を尽く虐殺したそうです。このテレビを見て、ふと、ユダヤ人とは、人類に歴史の教訓を示すためにこそ、神に選ばれた民なのではないか、と思えてきたのです。

 モーゼは、結局、自らはカナンの地を踏むことなく、謎の死を遂げます。この番組では、あまりに残虐な行為を民に命じたため、反感を抱いた民から殺害されたのではないか、と憶測していました。モーゼは、シナイ山で十戒を授けられながら、実のところ、自らはこの十戒を守らず、殺人と略奪をもってカナンの地を手に入れようとしたのです。モーゼが長年の願望の実現を間近にして世を去ったのも、そうして、最後には、イスラエルの民が国を失い、世界各地に離散する運命を辿ったことも、あるいは、十戒を破ったことに原因あるのかもしれません。神は、十戒に示したような、より友好的な方法でイスラエルの民がカナンに住むことを望んだかもしれないのです。神は、ユダヤ人を試した、ということなのかもしれません。そうして、このディアスポラの教訓は、聖書として人類に語り継がれることになったのです。

 出エジプトから3200年以上の時が過ぎた今日、ユダヤ人は、再び、神から試されているのかもしれません。今度こそ、イスラエルは、カナンの地に永遠に住むためにも、法を守り、パレスチナと共存する道を選ぶべきなのではないかと思うのです。

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騙された方が悪いのか―永田町の論理は非常識

2011年06月04日 15時25分42秒 | 日本政治
鳩山氏、菅首相に「約束守れ」 「党規約変えてでも交代」(産経新聞) - goo ニュース
 一昨日に起きた内閣不信任案をめぐる一連の事件は、前首相が現職の首相を”ペテン師”呼ばわりして痛烈に批判するという、前代未聞の展開となりました。この一件を通して明らかとなったことは、永田町の常識は、世間の非常識であることです。

 新聞紙上のコラムによりますと、永田町では、”ペテンにかけるよりも、かかる方が悪い”、という信じがたい常識があるそうです。この論理に従えば、マニフェストにバラ色の政策を並べて選挙に臨み、首尾よく有権者の心を捉えて政権の座についた後に、この公約を反故にしても、”ペテンにかかった国民が悪い”、ということになります。もしかしますと、”マニフェスト詐欺”と呼ばれる現象は、この永田町の論理を国民にまで広げた結果なのかもしれません。特に、情報公開が不十分ですと、国民は、騙されやすい立場に置かれますので、政治家サイドに倫理観が備わっていませんと、常に政治家のペテンの被害者になる可能性があるのです。

 刑法における詐欺罪は、詐欺を働いた側を罰しています。つまり、常識では、騙した方が悪いに決まっているのです。政治家が国民に対して正直であって、はじめて民主主義は実現するのですから、政治家の方々には、国民を騙してもよしとする論理は、きっぱり、捨てていただきたいと思うのです。

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アフリカ諸国は人道を高く掲げよ

2011年06月03日 11時18分49秒 | 国際政治
子ども売買目的、少女32人を妊娠させる ナイジェリア(朝日新聞) - goo ニュース
 大航海時代の到来は、新たに開かれた航路を通して世界が繋がると共に、その航路を奴隷船が行き来するという、暗い一面を持つ時代でもありました。奴隷の多くは、西欧諸国の植民地において、プランテーションの労働力として使役されたため、アフリカ諸国は、今でも、西欧諸国に対して、奴隷売買を過去の汚点として厳しく批判しています。

 こうした歴史を振り返れば、アフリカ諸国は、心底から奴隷制を嫌悪し、とうに撲滅しているはずなのですが、驚くべきことに、ナイジェリアにおいて、人身売買を目的とした”赤ちゃん工場”が摘発されたというのです。これは、まさに現代版の奴隷売買に他なりません。19世紀以降、各国において漸次に奴隷制が廃止され、ようやく地球上から消えたものと思われた矢先に、奴隷貿易の被害者であったはずのアフリカ諸国から奴隷制が再び出現するとしますと、これは、人道の危機であり、忌まわしい事件です。

 当時にあっても、アフリカの現地にも奴隷制があり、その売買には首長やイスラム商人が関わっていたとも指摘されています。アフリカ諸国は、他者を批難しても、自らの内部にもあった奴隷の問題を直視してこなかったことが、こうした事件の土壌となっているのかもしれません。二度とこうした事件が起きないよう、アフリカ諸国は、自国民のために、人道を高く掲げるべきであると思うのです。

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民族紛争と民主化運動が中国を揺さぶる

2011年06月02日 17時42分07秒 | アジア
中国新聞趣聞~チャイナ・ゴシップス デモ騒動、内モンゴルで何が起こっているのか 「私たちの人権は、血を流して戦う覚悟がなければ守れない」(日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 世界第二位の経済大国に成長した中国は、超大国への道を順調に歩み続けているように見えます。しかしながら、民族紛争と民主化運動の二つの潮流が、やがて、中国の現体制を根底から揺るがすのではないかと思うのです。

 それは、中国が、政治において、時代に逆行した”つけ”であるかもしれません。現代という時代は、民族自決の原則のもとで、異民族支配を否定してきました。この原則は、分離・独立ばかりではなく、国家内部の少数民族に対しても、その固有性を尊重する根拠となってきました。民主主義もまた、現代という時代において、あらゆる国民が追求してきた価値です。今年に入り、中東諸国で連鎖的に起きた民主化ドミノが示すように、民主主義は、今や普遍化したといっても過言ではありません。一方的な異民族支配や独裁体制は、時代遅れとなっているのです。これらが廃れた根本的な理由は、人間性に反しているからの他なりません。

 中国は、暴力や謀略でこれらの問題を解決しようとしてるようですが、この方法もまた、時代に逆行しています。中国政府が、時代感覚の”ずれ”を自ら自覚しない限り、中国の共産主義体制は、その時代感覚に相応しく、かつての歴代王朝の多くがそうあったように、内部崩壊の運命を辿るのではないかと思うのです。

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日本海呼称問題―”朝鮮海峡”との矛盾

2011年06月01日 15時30分55秒 | 国際政治
北方領土、韓国議員が初訪問 竹島問題、日本に圧力(産経新聞) - goo ニュース
 先日、韓国の国会議員が北方領土を訪問した狙いには、竹島問題のみならず、日本海の呼称問題でもロシアと共闘することがあったとも指摘されています。ところで、日本海の呼称を”東海”に変更するよう、執拗に要求している韓国は、対馬海峡の西水道については、”朝鮮海峡(高麗海峡?)”と呼ぶ国があることを、どのように考えているのでしょうか(国際通用名としては対馬海峡と朝鮮海峡の両名併記らしい・・・)。

 韓国が日本海の呼称に反対する主たる理由は、海域の呼称に特定の国の名が付いていることは、国際的に相応しくないからなそうです。しかしながら、もし、国名を問題とするならば、韓国政府は、国際社会に対して、日本海と同時に”朝鮮海峡”の名称の変更を申し出なくては、一貫性のある態度とは言えません。ましてや、日本海という呼称が、我が国が植民地政策として押し付けた結果であるとしますと、”朝鮮海峡”という名称が、現在使用されていることの説明もつかないのです。

 韓国は、対馬海峡(朝鮮海峡)でさえ、日本海に含まれることが不満なそうです。自国の認識と一致しない記述や報道に対しては、政府の支援を受けているVANKという団体が、国際的なサイバー攻撃を仕掛けており、その粘着質で暴力的な抗議活動は常軌を逸しています。韓国は、国際ルールとマナーを守り、国際社会では、常に無理が通るとは限らないことを悟るべきではないかと思うのです。

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