万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

脱原発=正義の構図はペテンか

2011年06月18日 15時52分53秒 | 日本政治
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明 卓袱台返して菅笠ひとり旅 (日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 薬害エイズで名が知られるようになった菅首相は、悪役を仕立て、自らをこの悪役と闘う正義の味方であると演出することで、世論の支持を集める戦略には長けているようです。辞任の瀬戸際まで追いつめられている菅首相は、今度は、原発に、この悪役の役回りをさせたいようです。

 脱原発路線に疑問を呈してきた筆者もまた、菅首相から見ますと、”悪役”となるのでしょうが、果たして、脱原発を主張する人々は、本当に正義の味方なのでしょうか。脱原発を主張する人々は、原発利権を悪の権化のように糾弾しますが、脱原発派にも、何らかの背景や利権がある可能性があります。例えば、我が国の脱原発は、中国や韓国にとって、願ってもない政策です。電気料金が値上がれば、日本企業の製造拠点を誘致できますし、我が国で蓄積されてきた原発技術をそっくり手にするチャンスともなります。同時に、潜在的な核武装の芽を摘むこともできると考えているかもしれません(もちろん、TPP体制にありますので、我が国は核武装はしていませんが・・・)。あるいは、孫氏のように、太陽光発電利権を目論む人々のために、国民世論を煽動している可能性も否定できないのです。

 脱原発派の”胡散臭さ”を含めて、原発問題は、あらゆるメリットとデメリットを比較考量した慎重な検討と議論が必要であり、簡単に廃止の結論を出せるほど単純な問題でもありません(筆者は、原子力の可能性を放棄すべきではないし、産業への打撃は回避すべきと考えている・・・)。にもかかわらず、菅首相は、この問題を正義対悪の単純な構図に当て嵌めることで、反原発の世論を煽り、延命を図ろうとしているようなのです。

 こうした場合には、菅首相の提案には、最初から疑ってかかったほうがよさそうです。先日、鳩山前首相は、菅首相をペテン師と評しましたが、蓋を開けてみますと、正義の味方が、悪党に変身するという”どんでん返し”が待っているかもしれないのですから。
 
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コメント (4)
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