万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

バイデン氏ではアメリカは纏まらない

2020年12月15日 12時23分03秒 | アメリカ

 アメリカでは、予定通りに12月14日に各州が選出した選挙人による投票が実施され、バイデン氏が過半数を獲得したそうです。マスメディアでは、‘事実上’という形容詞を付しながらも、バイデン氏の当選が確定したかのように報じています。トランプ大統領は法廷闘争の継続を表明しておりますので、同投票を以って確定したわけではないのですが、これと同時に、バイデン氏に対しては、大統領就任後においてアメリカを纏める役割を期待する声も聞かれます。‘分断したアメリカを一つに’という…。しかしながら、この期待は、望み薄なのではないかと思うのです。

 

 第一に、今般の選挙にあって不正が行われたことは、アメリカ国民の大半が事実であると認識している点です。バイデン氏の勝利は、いわば、‘Might is Right’あるいは‘勝てば官軍’であり、投票数において優っていたことを意味するに過ぎません。倫理が問われ、不正が完全に証明されれば結果が覆される性質のものであり、事実が明るみになれば、一夜にして崩れ去るほどに脆い勝利と言えましょう。この点に鑑みますと、アメリカ国民が、共和党支持者であれ、民主党支持者であれ、‘バイデン大統領’の下でこれまでの対立感情を捨て去って、一致団結するとは思えません。バイデン支持者の人々は、‘トランプ支持者は潔く負けを認めよ’と主張しますが、正義感の強い国民ほど、バイデン氏の勝利を易々と認めることに、悪魔に魂を売ったような、心に痛みを感じることでしょう。つまり、否定し得ない不正疑惑がある以上、自然な感情として拒絶反応が起きてしまうのです(むしろ、「自らの良心に照らして、バイデン氏は潔く不正を認めよ」とする共和党支持者の声は続くことになるのです)。

 

 第二の点は、今般の大統領選挙における不正選挙疑惑、並びに、バイデン親子のスキャンダルは、何れも、中国が絡んでいることです。目下、アメリカと中国との間には、抜き差しならない対立関係が生じています。与野党問わず、反中においてはアメリカ国民が団結しているとも指摘されています。おそらく、日本国と同様に、アメリカ国民の大多数が反中の状況下にあって、親中のバイデン氏の下でアメリカが纏まるはずもありません(昨今、バイデン氏は、反中政策を掲げておりますが、心中は親中である可能性も)。中国としては、国家のトップを押さえておけば、同国を操縦できると目論んでいるのでしょうが、反中派が大半を占めるアメリカにあっては、むしろ、政権と国民との間に分断が生じることとなりましょう(日本国の構図と類似…)。

 

 そして第三に指摘すべき点は、‘バイデン政権下’のアメリカは、むしろ‘分断’していた方が望ましいのではないか、ということです。今般の不正選挙疑惑は、政権の正当性さえも揺るがす大事件ですので、仮に‘バイデン政権’が発足するとすれば、さらなるネット規制の強化に乗り出すと共に(大手IT企業に検閲権を認める?)、マスメディアでも不都合な情報は徹底的に隠蔽されることしょう。そのノウハウは中国から伝授されるかもしれませんし、アメリカは、中国と同様に最先端のITを以って全体主義国化する怖れがあります。つまり、‘分断の解消’や‘団結’という掛け声は、全体主義への道を歩かされることを意味しかねないのです(批判すれば、中国のように、‘国家分裂’を煽ったとして処罰されるかもしれない…)。こうしたリスクを考慮すれば、アメリカ国内には、自由と民主主義の砦として‘抵抗勢力’が存在すべきということになりましょう。‘分断’は、必ずしも‘悪いこと’ではないのです。

 

 以上に述べた諸点から、仮に‘バイデン政権’が誕生したとしても、アメリカの分断は解消されることはなさそうですし、また、それが望ましいとも言えないように思えます。今後の展開については正確な予測はつかないのですが、少なくとも‘バイデン大統領’に対する民主党支持者は、現状を見ていないのではないかと思うのです。

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