万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

東京五輪の開催条件はワクチンの強制接種?

2020年04月30日 11時55分56秒 | 国際政治

 昨日、毎年恒例の春の叙勲が発表されましたが、「旭日大綬章」の外国人叙勲としてマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏の名が挙がっておりました。現時点にあっては、同氏は特別に日本国に貢献してきたわけではありませんので、授与の根拠となる功績は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団による慈善活動ということなのでしょう。

 ビル・ゲイツ氏の「旭日大綬章」の授与は、近年、頓に傾斜を強めてきた日本国政府の‘グローバル化’の表れなのかもしれず、外国人叙勲の選考基準についても今後は議論を要するのでしょう。その一方で、安倍首相が延期となった東京五輪の開催に関連してワクチンに言及し始めた点はいささか気にかかるところです。その理由は、仮にワクチンの開発の成功を東京オリンピックの開催条件に位置づけるとすれば、日本国民、在日本外国人、全世界のオリンピック参加選手と同関係者、並びに、入国者の全員に抗新型コロナウイルス・ワクチンの接種を強制しなければならなくなるからです。

 何故、強制接種でなければならないのかと申しますと、日本国政府は、来夏の東京五輪において感染者ゼロを目標に設定していると推測されるからです。今夏に予定されていた東京五輪が延期となった理由は新型コロナウイルスの感染リスクにありますので、同大会を開催させるには、まずは、同リスクを完全に排除しなければならないのです。感染者ゼロ、あるいは、少なくとも一桁程度に抑えるための道筋として政府が想定し日本国内の集団免疫の獲得なのでしょう。全人口の60%以上程が抗体を有する状態を集団免疫と呼びますが、抗体の保有率が高ければ高いほど感染リスクは低下します。感染者ゼロを絶対目標に設定するならば、当然に、100%の抗体保有率を達成しなければならないのです。言い換えますと、2021年の夏までに集団免疫を何としても獲得しようとするならば、自然感染に任せては間に合いませんので(医療崩壊が起きてしまう…)、抗新型コロナウイルス・ワクチンに頼らざるを得ないのです。

 そこで、日本国政府が期待?を寄せたのが、ビル・ゲイツ氏のワクチン開発なのかもしれません。真偽は不明ながらネット上には、同氏は、新型コロナウイルスの登場以前にあって既に同様の型の抗コロナウイルス・ワクチンの特許を取得していたとする情報が流れています。同氏が中国と結託して新型コロナウイルスを散布したとする陰謀論が流布され、ネット上にあって批判を浴びる事態に至った理由も、この噂にあります。同情報については事実確認が待たれるところなのですが、唐突に同氏が日本国政府から叙勲されるとしますと、同氏との間に大量のワクチン提供の密約が結ばれている可能性もないわけではありません。

 もっとも、新型コロナウイルスについてはワクチンの効力について疑問があり、抗体を有していたとしても短期間で再感染したケースも見られます(もっとも、体内に残っていたウイルスの再活性化の可能性も…)。また、インフルエンザといった変異性の高いRNAウイルスでは、一度目の感染で抗体ができても、二度目に変異したウイルスに感染すると同抗体が上手に反応できず(同現象は「抗原原罪」あるいは、「ンプリンティング」というらしい…)、重症化するそうです。新型コロナウイルスは既に少なくとも3つの型に変異しているとされますので、全ての型のコロナウイルスに対して抗体を産生し得るユニバーサルワクチンを開発しない限り、ワクチン接種はむしろ重篤化や死亡リスクを高めてしまうかもしれません。

 そして、何よりも疑問に感じるのが、東京五輪の開催を理由としたワクチンの強制接種に国民が応じるのか、という問題です。確かに、ワクチンは天然痘、ポリオ、ジフテリア、結核といった様々な感染病から人々の命を救ってきました。ワクチンの人類に対する貢献は計り知れません。自然界に存在してきた既知のウイルスや細菌に対してはワクチン接種を恐れることはないのでしょうが、新型コロナウイルスは遺伝子を操作された人工ウイルスである可能性が高い上に、その有毒性も不明な部分が多すぎます。こうした混沌とした状況下にあってワクチン接種を強制されるとなりますと、リスクの高さから不安を覚える国民も少なくないはずです。

しかも、巨額のワクチン・ビジネスや利権も絡んでいるとしますと(日本国政府は、せめてワクチン開発については、官民を含めた国内の研究を支援すべきでは…)、ビル・ゲイツ氏との政治的な癒着も疑われましょう。それとも、日本国政府は、東京五輪の開催の断念を間接的に示唆するために、敢えて殆ど不可能に近いワクチン開発を条件に挙げたのでしょうか。何れにしましても、日本国政府にとりまして何が一番大切であるのか、日に日に疑問が増してゆくのです。

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