万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

オスカー賞の改革-実力主義がベターでは?

2016年01月24日 14時55分10秒 | 社会
 今年の「第88回アカデミー賞演技部門」の候補者20人全てが白人であったことから、マイノリティーの映画人等から怒りの声が上がり、アカデミー賞の主催者「映画芸術科学アカデミー」側も対応に追われているようです。改革案では、候補者を選ぶアカデミー会員にマイノリティーや女性を増やす方針なそうですが、この方法でこの問題は上手に解決するのでしょうか。

 オスカー賞の基本的な意義は、毎年、各部門で最も優れた活動を行った人物を選び、その功績を表彰することにあるはずです。演技部門であれは、当然に、卓越した演技力が受賞の基準となります。基準が演技の力量であるならば、実のところ、選ぶ側の人的構成の変化によって、受賞者が変わることは、本来、あってはならないことです。人種や民族に関係なく、誰が評価しても優れた演技を行った人物こそ、オスカー賞に相応しいのです。この原点立ち帰りますと、この問題は、アカデミー会員の人的構成に手を加えただけで一件落着するとは思えません。人口比からすれば、マイノリティーがマジョリティーを数において越えることはできませんし、仮に、マイノリティーが人為的に優遇されますと、逆差別問題という新たな問題が発生します。となりますと、この問題において最も有効な方法は、選考基準の明確化と公平な選出方法の考案なのではないかと思うのです。例えば、観客動員数、観客やネット上の一般的な評価、専門家による評価などをポイント化し、誰もが納得する評価を得た人物が受賞者となれば、誰からも文句は出ないはずですし、誰からも祝福されるはずです。

 ”賞”である限り、実力主義が最も相応しい選出の方法です。 オスカー賞は、妥協の産物ではなく、名実共にその実力を評価する賞であってこそ、人材を育て、映画界の発展に寄与することになるのではないでしょうか。

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