万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

世界平和統一家庭連合の‘政治資金’の流れの解明を

2022年09月30日 11時36分06秒 | 国際政治
先日27日に日本武道館で行なわれた安部元首相の国葬については、マスメディア並びに政府は、国民の関心を管前首相の弔辞に向けたいようです。この弔辞、事前の反対多数の世論を覆すほどの‘感動’を呼んだのかどうかは怪しい限りなのですが(私の心が冷たいのでしょうか?)、安部元首相をはじめ、日本の政党・政治家と世界平和統一家庭連合(元統一教会)との関係に関する疑惑解明に向けた機運がしぼむとしますと、弔辞礼賛報道は、国民の感情に訴える世論誘導作戦の一環なのかもしれません。

いずれにせよ国葬が終わっても、政治と宗教との癒着が重大な日本国の政治問題であることには変わりはありません。世界平和統一家庭連合であれ、創価学会であれ、これらの団体が内外にあって政治活動を行なっているところに、この問題の根源があります。日本国の伝統を重んじ、国際社会にあって戦後レジームを脱して日本国を守ろうとした保守派の政治家という安部元首相に対する保守層を中心とした高い評価も、‘相互依存関係’にあった宗教団体が反日的、あるいは、売国的な政治活動を行なっていたのでは、一瞬にして反転してしまうのです。政府並びに新興宗教団体は、‘宗教団体の政治活動は日本国憲法において認められている’と解釈しておりますが、政治活動が認められている、すなわち、宗教団体が同時に政治団体なればこそ、その活動の内容次第では、政治家も教団と一蓮托生となって政治生命を失いかねないのです。

世界平和統一家庭連合の常軌を逸したカルト的な反日極右思想については、既に日本国民の大多数に知れ渡っています。それにも拘わらず、国葬の演出効果によって反対から賛成に転じた国民が多かれ少なかれ存在することに危惧を覚えるのですが(新興宗教団体の洗脳技術の凄さ・・・)、宗教団体の政治活動は、政党や政治家と結びつくことで民主主義の迂回ルートとなり、一部の私的集団による権力や利権の私物化をもたらす高いリスクがあります。さらには、これらの教団が、外国、あるいは、世界権力の利益のために活動するとなれば、国をも傾けかねないのです。国葬賛成派の人々は、国葬に反対する人々を反日勢力と罵っていますが、実相はその逆なのかもしれません(もっとも、国葬反対デモを行なった極左組織も、外国や世界権力の走狗であるのかもしれない・・・)。

この観点から日本国を取り巻く国際情勢を振り返りますと、世界平和統一家庭連合や創価学会の影響が伺える事例は枚挙にいとまがありません。例えば、世界平和統一家庭連合は、冷戦期には反共組織として米CIAや日本国の政党と連携してきましたが、冷戦構造が崩壊した後には、新たな役割を求めて北朝鮮へも接近を図ったそうです。冷戦の終焉を機に、世界平和統一家庭連合は、グローバル時代における朝鮮半島の二国の橋渡し役への衣替えを試みたのでしょう。このため、韓国にも対北宥和政策に積極的な政権が誕生し、北朝鮮に対して財政面を含めて支援を行なっています。こうした対北支援の流れにあって、世界平和統一家庭連合が日本の信者から吸い上げた資金が含まれていた可能性も否定はできません。そして、韓国から北朝鮮に渡った資金は核やミサイル開発に投じられ、日本国の安全のみならず、国際社会の平和を脅かしているかもしれないのです。北朝鮮の核・ミサイル開発が急速に進展したのは、冷戦崩壊後のことです。

また、北朝鮮による日本人拉致事件についても、小泉純一郎元首相の‘サプライズ外交’の背後では表には出せない巨額のお金が動いたとされています。資金の提供元については、朝鮮半島と繋がりがある創価学会などの名も囁かれていましたが、世界平和統一家庭連合も関与していた疑いがあります。これらの教団と関係のある政党・政治家が、政府調達等に際して同教団の関連事業者に利益誘導を行ない、日本国民の納めた税金からキックバックを受け取る形で教団に資金を流す仕組みも創られているのかもしれません。こうした仕組みが存在するとすれば、教団の資金の問題は、教団の被害者とされる信者やその家族のみならず、全国民に関わる重大な政治問題となりましょう。

世論の批判を受けて、自民党は自党に属する政治家個人と教団との関係の調査のみでお茶を濁そうとしておりますが、その先の教団側内部の‘政治資金’の流れを解明することこそ、政治と宗教の癒着問題の深刻さを理解し、有効な対策を講じる上で必要不可欠な作業となりましょう。北朝鮮の核・ミサイル開発のみならず、韓国が国際社会を舞台に繰り広げてきてきた反日プロパガンダの資金源も、日本国内にあるのかもしれないのですから。また、日本国内におきましても、同教団から政党や政治家への金脈の解明は、慰安婦、元徴用工、竹島等の問題に関する対韓政策のみならず、対北政策における日本国政府の融和的な政策や不可解な譲歩を説明するかもしれません。そして、同作業は、世界権力、政界、新興宗教団体、マスメディア等を国境を越えて繋ぐ闇のネットワークの存在をも浮き彫りにするかもしれないと思うのです。

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