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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ゼレンスキー大統領の日本での演説の意味とは?

2022年03月16日 15時17分50秒 | 国際政治

 ロシアからの侵攻を受け、国家存亡の危機に直面しているウクライナのゼレンスキー大統領は、自国への支援を訴えるべく、各国の議会において演説を行っています。オンライン形式ではありますが、8日はイギリス、15日にはカナダ、そして、本日16日には、アメリカの上下両院と続き、日本国政府に対しても、在日ウクライナ大使館を通して国会での演説を提案しているそうです。果たして、日本国でのゼレンスキー大統領の演説は、何を意味しているのでしょうか。

 

 報道によりますと、日本国政府は、同大統領の演説の実現に積極的な姿勢を示しているようです。もっとも、演説の内容を見ますと、ロシアの非道な行動への批判、並びに、同行為を止めさせるために飛行禁止区域の設定の呼びかけですので、同区域設定の実行力を有するNATOの加盟諸国において訴えるのは理解に難くはありません。ウクライナは非加盟国とはいえ、イギリスも、カナダも、そしてアメリカも、NATO加盟国であるからです。ところが、何故、日本なのか、という日本国が演説地に選ばれた理由を探しますと、少なくとも軍事上の理由は見当たらないのです。

 

 日本国は、アメリカの同盟国ではありますが、ウクライナとの間には直接的な同盟関係は存在していません。アメリカでさえ法的にはウクライナの同盟国ではありませんので、ましてや日本国に対して軍事支援を要請する根拠は一層薄いと言えましょう。

 

加えて、日本国には、今日、中国や北朝鮮などの周辺諸国からの軍事的脅威の高まりを受けて国民の意識に変化が見られるとはいえ、戦後の長きにわたって憲法第9条の精神が染み付いております。言い換えますと、防衛政策の基本方針として専守防衛を旨としてきましたので、日本国政府が、ウクライナからの軍事的支援の要請に応える可能性は高くはありません。戦争に巻き込まれる、あるいは、第三次世界大戦に参戦する事態も予測されますので、世論も必ずしも歓迎一色とはならないことでしょう(日本国民には、ウクライナのために自らの血を流す覚悟があるのでしょうか…)。

 

また、グローバリズムに伴う移民の増加もあって、イギリス、カナダ、アメリカといった諸国には、ウクライナ出身、あるいは、祖先をウクライナに遡る国民が少なくありません。一方、日本国の場合、今般の危機にあって政府がウクライナ難民の受け入れを表明してはいるものの、一般の国民については、ウクライナに対して特別の繋がりや同朋意識があるわけではありません。ウクライナは、大多数の国民にとりましては、馴染みの薄い国であったことでしょう。地縁のみならず、血縁においてもウクライナは遠方の国ですので、ゼレンスキー大統領の演説に賛同し、ロシアに対する敵意を燃え上がらせるという状況には至らないとも予測されるのです。

 

以上の諸点を考慮しますと、ゼレンスキー大統領の演説は、たとえ演説が実現したとしても、その内容において他の三つの国とは違う可能性が高いように思えます。ロシアの孤立化や対ロ制裁への協力とったより一般的な要請となるのかもしれませんが、敢えて日本国が演説地として選ばれた理由について、一つの推測があるとすれば、それは、グローバルレベルで全世界に構築されてきたユダヤ・ネットワークにあって、日本国がその重要拠点の一つであることに依るのかもしれません。’重要拠点’という表現は聞こえは良いのですが、近現代史をつぶさに観察しますと、日本国は、とりわけ明治維新を機にユダヤ・ネットワークに取り込まれており、今日にあっても、同ネットワークの中枢である超国家権力体の強いコントロール下にある疑いは濃厚なのです(いわば、ユダヤ人の’植民地’?)。

 

ウクライナとは、ハザール系ユダヤ人の故地であり、イスラエルと並んでユダヤ色の強い国です。そして、上述したようにハザール系ユダヤ人は、イギリス、カナダ、アメリカも多数移り住んでおり、これらの諸国は、同ネットワークの中心拠点でもあったと言えましょう。ポーランド系ユダヤ人とされるかのヤコブ・フランク(本ブログの1月11日並びに1月19日付記事参照…)も、現ウクライナ領のコロリヴカにおいて生誕しています(当時はポーランド領)。ウクライナとユダヤ・ネットワークとの関係を考慮しますと、今般のウクライナ危機は、日本史を含めた知られざる世界史を語り始めるかもしれません。


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