万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

誰も教えてくれない新型コロナウイルスの毒性

2020年02月18日 15時07分25秒 | 国際政治

 武漢をはじめとした主要都市を封鎖しても、新型コロナウイルスの感染者、並びに、死亡者数の増加に歯止めがかからない中国では、新たな治療方法として回復者の血液から採取した血漿を投与するという方法が注目を集めているそうです。上海公衆衛生臨床センターが同方法を試みた結果、呼吸困難等に陥っていた重症患者も速やかなる回復を見せており、この結果に自信を得た中国当局は、回復者に対して献血を呼び掛けているのです。

 これまで、同ウイルスが引き起こす症状に対しては、SARSやエイズ等の治療に用いられてきた抗ウイルス薬の併用が有効とされてはきたもの、専用の治療薬や治療法は存在しない状態が続いてきました。先が見えない中、全世界の研究機関や製薬会社等が予防ワクチンや治療薬の開発に乗り出した矢先、画期的な治療法が発見されたのですから、人類にとりましては歓迎すべき喜ばしいニュースかもしれません。加えて、マラリアの治療薬であるリン酸クロロキンにも効果が確認されたとの報告も続いていますが、これまで報じられてきた情報と照らし合わせますと、疑問点がないわけではないのです。

 第一の疑問点は、新型コロナウイルスと抗体との関係です。血漿によって感染者が回復するのは、血漿に回復者の体内で造られた同ウイルスに対する抗体が含まれているからなのでしょう。狂犬病やジフテリアといった他の病気でも、抗体の活動が活発な回復期にある患者の血漿の投与は有効な治療法の一つなそうです。同治療法に効果があるとすれば、人には、新型コロナウイルスに対する抗体を生成する能力が自然に備わっていることを意味します。他のウイルスによる感染病と同様に新たに造られた抗体が体内の全ウイルスを除去できるのであれば、新型コロナウイルスに感染した患者は完全に治癒されることとなりましょう。その一方で、中国発の情報によりますと、同ウイルスでは一旦は回復したとしても再度感染し、重篤化するケースが存在しているとのことです。

再感染のケースから提起される疑問点は、(1)同ウイルスには、HIVウイルスのような潜伏感染の性質があるのか(因みに赤血球にとりつくマラリア原虫も休眠状態で長期間潜伏…)、(2)あるとすれば、回復者もまた、数年後には再発するのではないか、(3)一旦、生成された抗体は長期的に維持されるのか、(4)血漿治療を受けた感染者は自ら抗体を生成する能力がないため、血漿の投与を停止した場合、その後、何が起こるのか…といった諸点を挙げることができます。これらの諸点が明らかになりませんと、抗体治療という方法にも限界が生じます。

第二の疑問点は、ワクチンによる予防の効果に関するものです。抗新型コロナウイルスの抗体が確認されたとしますと、予防薬としてのワクチンの開発も加速されましょう。その一方で、緊急性を要するため、安全性を十分に確認せずに投与される可能性も高く、薬害が発生するリスクも否めません。上述したように潜伏型のウイルスである場合には、接種後に発症する可能性もありますし、数年後、あるいは、数十年後の長期的な影響についても全く以って不明です。また、抗体が短期間で体内から消滅するならば、ワクチンの効果も期待薄となりましょう。

第3に挙げられる疑問点は、血漿投与による治療法は誰が優先されるのか、という問題です。当然に重症者が優先されることとなるのでしょうが、それでも献血による血漿供給が必要量に追いつかない場合には、共産党幹部といった一部の特権者に優先的に配給されるかもしれません。共産党員や富裕層が優遇されるとしますと、一般国民の不満はさらに高まることでしょう。

WHOは、人々の不安を和らげるために、新型コロナウイルスに関する情報として、中国が提供したデータに基づいて’致死率は凡そ2%であり、8割は軽症である’といった点を強調しています。しかしながら、日本人を含め、全人類が知りたい情報は、政治的バイアスのかかった不正確な情報に基づく大雑把な‘気休め情報’ではなく、新型コロナウイルスの毒性に関する詳細、かつ、正確な科学的な情報です。同ウイルスは人工ウイルスである可能性が極めて高く、それ故に人々は、同ウイルスが長期的に免疫メカニズムを破壊するのではないかと疑っているのです。この懸念が事実であれば、その予防法や治療法も、新型コロナウイルスの遺伝子情報の徹底的な分析に基づく必要があり、凶暴化した同ウイルスに対しては、高度な遺伝子工学を以って対峙しなければならないかもしれないのです(新型コロナウイルスという悪玉ウイルスを退治するために、同ウイルスの作用を無効化する、あるいは、免疫力を回復させる善玉ウイルスや遺伝子標的薬を開発しなければならないかもしれない…)。新型コロナウイルスは免疫不全を引き起こすHIVとの関連性が指摘されているだけに、情報の全面的な開示こそ急がれるのではないかと思うのです。

コメント (2)
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