万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

変質する英王室-英国国王から英連邦元首へ?

2018年04月22日 15時47分49秒 | 国際政治
英 エリザベス女王92歳に 人気歌手らが祝賀コンサート
今月21日、イギリスのエリザベス女王が92歳の誕生日を迎えられたのを祝して、ロンドンでは、人気歌手等による祝賀コンサートが催されたそうです。伝統と格式を誇ってきた英王室のイメージは、日本国の皇室と同様、ここ数年、急速に変化しております。

 おそらく、この変化の地下水脈は大英帝国の時代に遡るのでしょうが、ウィリアム王子のユダヤ系女性との結婚に加え、ハリー王子のアフリカ・ユダヤ系女性との婚姻によって、誰の目にも分かる形でその変質ぶりが表面化しているように思えます。それは、七王国時代を経て統一されたイングランド王国の後継者としての正統性を曲がりなりにも保ってきた英国王、あるいは、同君連合としての連合王国から英連邦元首へのシフトでもあるのかもしれません。

 英連邦とは、かつての大英帝国を継承して1931年に結成された国家連合です。現在、53ヶ国によって構成されており、その元首(Head of the Commonwealth)は、慣習として中心国である英国国王が務めてきました。つまり、英国国王の立場には、連合王国の君主であって、かつ、英連邦の元首という二重性が見られるのです。

この二重性は、大英帝国形成期におけるユダヤ人勢力の活動とも関連しています。大航海時代が幕開けした頃には、ポルトガルなどもユダヤ人勢力の取り込みを図った例があり、ディアスポラ以来、全世界に広まったユダヤ・ネットワークは、世界支配を試みる諸国にとりましては、是が非でも取り込みたい“プラットフォーム”でした。イギリスも例外ではなく、東インド会社による植民地の拡大を経て、19世紀のヴィクトリア女王の時代こそ、歴史上初めてユダヤ人であり、保守党の政治家であったベンジャミン・ディズレーリが首相に就任し、ネイサン・ロスチャイルドが貴族の称号を許されるなど、ユダヤ人が英国史の表舞台に躍り出た時代でもあったのです(ただし、一般の英国民は、貧困、都市犯罪、公害等に苦しんだ時代…)。乃ち、大英帝国とは、イギリス一国の国力では難しく、内外に張り巡らされたユダヤ人ネットワークあってこそ構築され得たのであり、今日のウィリアム王子とヘンリー王子のユダヤ系女性との婚姻は、イギリスと大英帝国建設の立役者であったユダヤ人との融合の象徴でもあるとともに、むしろユダヤ系による英国支配といった主客逆転の構図の象徴にも見えてきます(もっとも、既に英皇室にはユダヤ人の血脈が流れているとする説もある…)。

そして、ユダヤ・ネットワークの世界大の広がりは、特に大英帝国をしてアフリカからアジアに至るまでその版図に収めることに貢献します。現在、英連邦には18ものアフリカ諸国が加盟していることに加えて、奴隷貿易の結果として南北アメリカ大陸の13の加盟国にも、アフリカ系住民が多数居住しています。インドやパキスタンといったアジア諸国や南太平洋諸国も非白人系であり、英連邦とは、圧倒的に非ヨーロッパ諸国で構成されているのです。このことは、ヘンリー王子とアフリカ系であり、かつ、ユダヤ系であるメーガン・マークル氏のとの婚姻が、英国ではなく、英連邦を強く意識していることを示唆しているように思えます。特にEU離脱の決定後は、英国の英連邦重視の傾向を強めたとも指摘されております。

お誕生日に先立って、エリザベス女王は、英連邦首脳会議にも出席しており、同連邦元首の地位は世襲ではないため、敢えてチャールス皇太子への継承に対する支持を求めたと報じられております。こうした動きも、英王室が連邦元首の地位を維持する、あるいは、ユダヤ色の強いウィリアム王子へのスキップを阻止するためのものとも推測されますが(“君臨すれども統治せず”を原則とする英国では、国王の政治的発言は異例ですが、ユダヤの一部勢力は、案外、独裁を好む傾向にある…)、英国国王と連邦元首との間の乖離が著しくなり、英王室が英国民からの支持を失う事態に至った場合、英連邦の元首の地位もまた危うくなるはずです。あるいは、英連邦の元首の地位はネットワークを束ねてきたユダヤ系を要件とする方向に向かう可能性もありますが、このケースでも、全ての加盟国の国民の支持を得られるとも思えないのです(元首不要や瓦解の可能性も…)。

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