万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

伊勢志摩サミット-神話が語る日本の政治文化の原点

2016年05月26日 15時19分55秒 | 国際政治
【伊勢志摩サミット】「二拝二拍手一拝」は求めず、自由に拝礼…参加国首脳らが伊勢神宮を訪問
 本日、三重県の伊勢市でG7主要国首脳会議-伊勢志摩サミット-が開催されました。伊勢市と申しますと、垂仁天皇の御世より天照大神を祭る伊勢神宮が鎮座しており、サミットに参加された首脳の方々も揃って参拝されたそうです。

 日本国には、第二次世界大戦において枢軸国側として戦ったことから、軍国主義的傾向が強い国家という国際的イメージが付き纏いがちです。近年では、中国や韓国等の積極的なプロパガンダ活動により、残虐で非道な国としても喧伝されています。しかしながら、日本国の記紀神話を読み解いてみますと、日本の政治文化が国際的イメージとは必ずしも一致しないことが分かります。

 伊勢神宮に祀られている天照大御神は、上手に神田を管理して人々に恵みをもたらし、自らも神御衣の布を織って働いています。天照大御神が自ら武装するのは、弟神の素戔嗚尊が高天原を簒奪しようと企んでいると疑った時のみです。さらに、天照大御神の巧みな国家運営を見て、嫉妬に駆られた素戔嗚尊が田を壊し、狼藉を働いたため、天照大御神は天の岩屋戸にお隠れになるのですが、最後には、天の安の河原に集まった八百神々たちが素戔嗚尊を罰し、高天原から追放します。こうして再び日の光が日本の国を照らすのですが、この神話のストーリーからは、神であろうと良く働き、罪があれば罰せられ、悪しき為政者であれば合議によって追放される…という日本の政治文化、あるいは、政治倫理の原点を見出すことができます。決して独裁でもなければ非民主的でもなく、良き統治のために、天照大御神のみならず、他の八百万の神々たちも善悪をきちんと判断して行動しているのです。

 伊勢志摩サミットでは、参加された首脳の方々が、こうした古来から伝わる日本の政治文化の一端に触れる機会となることを願っております。そしてそれは、ややもすれば忘れられがちな良き統治のあり方を、現代の日本人にも改めて問うことになるのではないかと思うのです。

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コメント (6)
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