万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

沖ノ鳥島問題は日台で司法解決を

2016年05月02日 15時36分46秒 | アジア
漁船保護の巡視船派遣=沖ノ鳥島周辺へ出港―台湾
 日本国の沖ノ鳥島を、EEZを設定し得る島ではなく「岩」であると主張する台湾は、漁船保護を名目として巡視船の派遣を決定しました。既に高雄を出港したとのことですが、この問題、危機であると共にチャンスでもあります。

 台湾の馬政権は、国連海洋法条約を根拠として沖ノ鳥島の島としての地位を否定しておりますが、実のところ、台湾は、同条約の締約国ではありません。しかしながら、島か、岩か、という条約上の解釈や適用が争点となっているのですから、非締約国であっても、同条約が定める紛争の解決手段を利用できるはずです。第291条にも、「この部の定める紛争解決手続きは、この条約に定めるところによってのみ、締約国以外の主体に開放する」とあります。つまり、日台双方のどちらかが相手方を仲裁裁判に訴える、あるいは、日台両国が、紛争の解決を同条約に列挙されている裁判所に委託する道もないわけではないのです。両国間で平和的な司法解決が実現すれば、南シナ海等での紛争解決のモデル・ケースとなりますし、フィリピンが提訴している仲裁裁判の判断に対して拒否する構えを見せる中国に対しも、国際的な圧力となることは言うまでもないことです。また、台湾は、国際裁判の当事国になるのですから、独立国家としての地位を固める効果も期待できます。アジアにおける法の支配の確立は、力の支配を追求したい中国を除いて、全ての諸国に恩恵が及ぶはずです。

 何れにしましても、日本国政府は、台湾に司法解決案を打診してみてはどうでしょうか。馬政権の間は拒絶されるかもしれませんが、蔡政権に交代すれば、台湾側が柔軟姿勢に転じる可能性もないとは言えないように思えるのです。

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コメント (2)
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