万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

香港の指名委民主化案-北京政府は香港の決定を尊重すべき

2014年10月22日 15時58分18秒 | アジア
「指名委」を民主化=選挙改革で譲歩案―香港長官(時事通信) - goo ニュース
 報じられるところによりますと、香港の梁行政長官は、民主派の一部からの提案を受けて、指名委の選出を民主化する案を検討する方針を示したそうです。先日の対話は物別れに終わったものの、今後、両者が正式に合意するとすれば、香港の危機は峠を越える兆しが見えてきたことになります。

 合意の下で香港が纏まったとしますと、注目されるのは、北京政府の反応です。梁行政長官は、もとより親中派の立場にありますので、あるいは、既に裏で何らかの意見交換がなされている可能性はありますが、これまでのところ、北京政府は、この件については沈黙しています。しかしながら、返還時での英中共同声明にあっても、香港基本法にあっても一国二制度を約束し、高度な自治を承認しているのですから、北京政府は、香港が独自に下した決定を拒否できないはずです。仮に、香港の指名委民主化案を潰そうとするならば、香港内部の対立は、今度は、香港対北京政府の対立に転じる可能性も否定はできません。

 先日も、北京政府は、ポーズであれ、香港の問題は香港で解決すべきとする立場を表明しておりましたので、自らの言葉に忠実に従って、香港の決定を尊重すべきです。一方、民主派デモ側も、指名委民主化案を再度”骨抜き”にされないよう、改革案の具体化の過程にあって、細心の注意を払うべきと思うのです。

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コメント (2)
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