万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

自ら進んで中国の属国となった北朝鮮

2010年08月31日 15時24分44秒 | アジア
中朝首脳会談 権力継承へ支援要請 北「核放棄」は言及せず(産経新聞) - goo ニュース
 日頃から”自主独立”を大音響で言い立てていた北朝鮮ですが、三男への権力継承を中国に承認してもらうことを目的に、総書記が訪中したとなりますと、これは、自ら進んで中国の属国となったことの証しとなるのではないでしょうか。

 今日では、一国の政権の成立や権力の継承に際して、大国や宗主国から事前に承認を受けるという制度は過去のものとなりました。何故ならば、他国からの承認を要件とすることは、自国の自立的な決定権、すなわち主権を否定し、下位に位置づけることになるからです。民族自決と主権平等の原則あっての国民国家体系なのですが、北朝鮮は、ようやく第二次世界大戦後に確立したこの並立型の国際体系を、自ら壊そうとしているのです。北朝鮮の国家感覚は、清国に服属していた李朝時代に逆戻りしているのかもしれません。

 こうした属国容認の北朝鮮の態度は、国際社会にとりましても、看過できない脅威となります。中国が、北朝鮮と同様に、冊封体制よろしく、周辺諸国を属国化できると勘違いするかもしれないからです。北朝鮮の属国化は、間接的には、日本国にも、中国による介入という危機をもたらしているのです。

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