万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イランの行方は歴史を変えるのか

2009年07月26日 15時41分15秒 | 中近東
イラン大統領の首脳人事、最高指導者が「待った」(朝日新聞) - goo ニュース
 密かに核開発を計画していると噂されてきたイランに対して、好印象を持ってきた人はそう多くはなかったはずです。しかしながら、大統領選挙の不正疑惑から始まったイラン国内での強権体制成立阻止の動きを見ますと、この認識は改めるべきであるのかもしれません。

 イスラム革命を経て成立したイランのイスラム体制は、とかくに民主主義的な要素が薄く、また、国民の自由や権利の保障についても後ろ向きと理解されがちです。しかしながら、少なくともイラン憲法を読む限りでは、共産主義体制よりははるかに多くの民主的な要素を取り込んでいますし(普通選挙や国民投票・・・)、権力分立も認めています(むしろ、権力は諸機関の間でかなり分散している・・・)。宗教的な指導者会議、最高指導者、護憲評議会などが設置されているところは、イスラム体制と称される所以でもありますが、大統領による権力濫用や独裁化を阻止する役割を果たしているところをみますと、無碍には非難はできません。

 もし、現体制の枠内において、アハマディネジェド大統領の下で進行中の弾圧体制路線が是正され、しかも、軍事目的の核開発の見直しが行われるとしますと、イスラム国家に対する人々の認識は大きく好転するのではないかと思うのです。アフガニスタンの旧タリバン政権とも違うイスラム国家のあり方をイランが示すことができたならば、それは、宗教対立の緩和に大きく貢献することになるのではないでしょうか。

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