万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国連の死角

2007年07月09日 17時23分32秒 | 国際政治
 国連は、しばしば、全ての国際問題を解決する能力を持つ、全知全能の如き国際機関であると信じられています。第9条の規定を持つ日本国憲法もまた、この国連神話を前提としているといっても過言ではありません。

 ところで、国連は、果たして、本当にオールマイティなのでしょうか?実は、国連が、絶対解決できないケースが存在しているのです。それは、拒否権を持つ常任理事国が、侵略行為を行った場合です。中国によるチベット侵略、旧ソビエト連邦によるアフガン侵攻は、誰にも止めることはできませんでした。『ガリバー旅行記』の、リリパット国(小人国)に漂着したガリバーのように、常任理事国を、いくらまわりの諸国が抑えつけようとしても無理なのです。

 このように国連には、解決不可能なケースがありますので、国連を、唯一の国際法上の合法性付与機関として捉えるわけにはゆかないのです。 
 

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