秘境という名の山村から(東祖谷)

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菜菜子の気ままにエッセイ(人差し指日記・後編)

2022年08月16日 | Weblog
夕飯のメニューを考えようとした時に、近所の方が手作りコロッケを持って来て下さった。
有り難く頂く。感謝!感謝!
一番喜んでいたのは、次女だった。
「キャベツの千切り切って」と次女にお願いする。一番簡単な作業だ。
「千切りって包丁で?」と不思議そうなお顔をする。
『うん、包丁!』

「母ちゃんは、キャベツのスライサーとか持ってないん?」と聞くので、
『そんなものはイランよー、包丁だけで全部切れるもん』
と応えると、次女はキャベツの半分を小動物の頭でも押さえるような手つきで左手で握り、右手で千切りを始めた。 
『千切りよ、千切り!』

と、念のために確認したら、包丁が切れないと何かしら文句を言う。
便利グッズに頼りっぱなしの、次女の生活が垣間見れる。
千切りは見事な5ミリ切りになった。

頂きもののトマトと、お揚げのたっぷり入った茄子のソーメン汁と、
レトルト食品の一品とキュウリの浅漬けと、ナスの煮浸しの残りで、夕飯は出来上がった。
経費にしたら何円だろう?

祖谷では、本当に食費は余りかからない。家族構成に寄っては一概に言えないのだろうけど、
夏野菜の頂き物で、色々なメニューが楽しめる。

それにしても、身体を特に動かさないのに、どうしてお腹が空くのか?が不思議だった。
自然とお腹が空いてくる。何か食べたくなる。
養護老人ホームの利用者さん達が、11時を過ぎると
集団で食堂になだれ込むのは、こういうことなのか? 
あれは規則に従う行為で無くて、単にお腹が空いたから、
確実に食物を得られる安全な場所に、本能のままに向かっていたのか?

お昼は何のおかず?夜は何が出る?
そんなことを考えながら、1日1日が過ぎて、下痢をすれば下痢止めを飲み、
便秘をすれば下剤を飲み、結局は口から入れた物を
普通の色と硬さで出す為に、毎日頑張っている。

その途中で転んで骨折したり、持病が悪化したりを繰り返し、やがて無事にお迎えがくる。
話は本題に戻し、もう一つ問題を抱えていた。人差し指以上に、私的には厄介な問題だった。
本日は長いエッセイになりそうだ。小まめな水分摂取と共に、休みながら読んで下さいませ。

数年ぶりにヴヴヴの空き家の軒下に、スズメバチが巣を作った。
私が怪我をする前に見つけた、5センチ程度の時に物干竿の先で必死で潰した巣が、復活していた。
位置をずらして10センチ以上に膨らんでいた。
この季節になると、蜂とハメが天敵だ。本当に憂鬱になっていた。
10センチ以上になった巣を、この右手だけで始末できる訳も無く、アレコレ思案していた。 

そこに登場したのが。次女の相方!
大工仕事に解体に、水道関係。オールマイティに熟す、優れ者!
手作りの蜂の巣取りアイテムを引っ提げて、やって来てくれた。
気になったのは、次女と相方の前日の電話での会話。

『わたしの手袋とカッパと帽子も持ってきてな』と頼んでいた。
「なんで?まさか、一緒に取ろうなんて考えてないだろうなあ!」と聞くと
『一緒にするよ、なんかあったら、心配じゃもん』
「いかんよ!邪魔になるだけじゃよ!」
『邪魔にはならんよ、前も一緒に蜂の巣取ったよ』

次女は、音読みのように、応える。
「なら、母さんも一緒にする」
『いかんよ!そんな手で危ないだけじゃよ』
あーでもない。こーでもない、無駄なやり取りをしながら、
あくる日の夕方、空き家に3人で向かう。夢見は最高に悪く、
悪い結果しか想像出来なくて、気分は最悪。

ワゴン車の中で装備を固める相方!
もそりもそりと、次女もカッパを着ている。気温は夕方に関わらず、高い!
蜂ジェットと必須アイテムを持ち、駐車場のすぐ横の軒下に向かう相方!

時間が長く感じた。
『母ちゃんは、絶対に出たらいかんよ!車のドアも開けたら危ないよ!
母ちゃん?なんでカッパ着よん?』
「もしもの為に」と言いながら、無駄に立ったり座ったりを繰り返す、後部座席の私。
私の制止を振り払い、次女が『ちょっと見てくるわ』
と出ようとした瞬間、前方に相方が、袋に入れた蜂の巣を翳して立っていた。
これはまさしく、取ったどー!のポーズ!

そして、袋の口目掛けて、素早く蜂ジェットを入れて、ポップコーンみたいに降っていた。
『母ちゃんは、絶対に出たらいかんよ!まだ蜂が残っとるけんな!』
と言いながら、次女が車の外に出た。

見たい!見たい!私も蜂のポップコーンみたい!
が、夢見が悪い!我慢!夢見だけで生きて来たから、
ひたすら我慢の無駄に立ったり座ったりを一人、繰り返す。

蜂のポップコーンは、潰されてサラサラの残骸になり、
コンクリートの上で、蜂のふりかけみたいになっていた。
それにしても、この手作りアイテムは、凄いっ!

したらいかんよ、したらいかんよ、をおまじないみたいに
繰り返され、みんな老人にされていくんだ。
したらいかんよの言葉は、相手への愛情からくるのだけど、
その度に小さな錘をつけられたみたいで、ちょっと悲しくなる。
歳をとるのではなくて、歳を取らされていくんだ。みんな。

次女と過ごした16年ぶりの10日余りが、毎日の夏野菜メニューと共に瞬く間に過ぎた。
明日の人差し指の抜糸と共に、全てのメニューと解放される。
久しぶりに気楽なお一人様生活に戻れる。母ちゃん食堂は暫く、長期休業致しますっ。
「ありがとう、ほんまに迷惑かけて、ごめんよ。後は大丈夫じゃけんな」
深々と次女に頭を下げた。入浴後のアイスを食べながら、次女がポツンと呟いた。

『明日から3日間、○美が、年休貰って帰るって言よったよ、ヘルパーさん、交代しまーす』
「え〜〜マジで〜!!」

      番外編に続く





























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