秘境という名の山村から(東祖谷)

にちにちこれこうにち 秘境奥祖谷(東祖谷山)

奥祖谷春点描 暮らしの春 消えた集落

2013年03月22日 | Weblog
2007年に発表のSA-NE著 小説「天女花」のあとがきに著者は
この小説の構想を次のように書いている。

「ある夜、村おこし「てんごの会」のメンバー達と、定例会をしていた時
古い地図を拡げて、誰かが言いました。「里の江って在所、昔はあったんじゃー」
会話の記憶は曖昧ですが、消えた集落…?私の中で、一気にこの物語りが
浮かび上がりました。」

また小説のなかで最終章の最後のくだりに

「和尚が、手の平で涙を拭きながら、里の江の方向を指さして、ポツンと言った。
「今の時期なら、ケン坊の好きな白い花、咲いとる筈じゃあ。」
三人は、里の江に続く道を、降りた。彼方の山々に、霧が立ち上っていく。
小さな畝を、曲がる。
なだらかな、草の斜面が、悠々と拡がっていた。夢の中で見た白い花が、一面に咲いている。
一瞬、江美は幻を見た。大空に向けて、舞い上がった花は、天女に姿を変え
風に抱かれ、空に帰って行った。」


失われた集落、消えた集落の里の江を長年にわたって、一度は訪ねてみたいものと
思っていたが、なかなか実現に漕ぎ着けなかったのだがその願いが先日訪れた。

小説のヒロインを里の江に案内した、ヒデさんが時間が取れたから案内しようと
申し出てくれた。
山際に取り付いて細い道をしばらく登りだして間もなく「ヤマネ」がうずくまっているのを
見つけた、写真を撮ってから枯れ葉で隠れ家を作ってそっとそのままに。

冬枯れの木々や深い落ち葉の細い山道は所々崩れかけであったが、むかし盛んに利用したであろう
広い木馬道になり、石積みのところも出てきたりと変化に富んだ道を登ってゆく。

やがて、植林された杉林が広がってくると石積みをして平らにした畑が其処彼処に現れる
ここらあたりが、消えた集落「里の江」であろうか。

4,50年は経っているであろう杉が林立するなかに、小さな小屋を見付けて中を覗くと
五右衛門風呂が座っていた。
その上の方角に茅葺きが崩れかかった民家を見付けて、中の様子を見るに床がほとんど落ちて
残っている板も踏めそうになく、外から様子をカメラに収める。

そのはかに、柱が散乱した屋敷跡にドブロクを入れていたかもしれない瓶つぼがひとつポツンと
転がっている寂しい風景はやはり人々が消えた集落だ。

範囲を広げて方々探したが、お墓はおろか、跡も確かめられなかったし、10軒ぐらいの
集落であったそうであるから、まだ、屋敷跡や民家が残っていないかと探したが果たせなかった
時間も迫ってきたので再度の来訪を願って里の江を後にした。




















































































































































































































































































































































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