六年前の朝。
娘達のアパートの炬燵で、ほんの少しうたた寝をして、朝の光に目を醒ました。
キッチンカウンターの上に置いた、白い骨壺を見て、夢なのか現実なのか、把握出来なかった。
娘達は、それぞれに、炬燵布団を被りながら、まだ眠っていた。
病室…お通夜の葬儀場…お葬式…火葬場…そのままアパートで朝を迎えた。
数日間の出来事が、現実として、受け止められないまま、その白い骨壺が、視界に入り込み
ココロが瞬きさえ遮るように、スーと落ちて行くのを、感じた。
「父さん…いないんだ…いなくなったんだね…」
現実味を帯ながら、それでも、この光景を、もう一人の自分が眺めていて
言葉にならない、深い深い喪失感が、身体中を包んでいった。
あの朝から、
六年が過ぎ去った。
様々な出来事が、あった。
様々な葛藤が、あった。
全て、逃げないで、乗り越える事が、出来た。
あの朝の喪失感に比べたら、何とでも、向かい合える、あれ以上の、哀しみ等、存在しない。
六年…を越え、私は強くなった。
自然の中で、三人の仏様と暮らしながら、日々の営みを積んでいる内に、下手な哲学に、行き着いた。
「人は必ず死ぬ…何故…神は、この世界に人間を、造ったのだろうか…」
「殺害によって断たれた生命、災害や、事故によって断たれた生命、冤罪により断たれた生命…
戦争によって断たれた生命…理不尽なことが、この世には蔓延り過ぎている…」
お経で魂が、浄化されるのなら、この世の修業など、必要ない。
そんな下手な哲学を考えながら、七回忌。
お父さん ゴメンなさい。
貴男が大切にしていた、骨董品を風呂敷に包み、骨董品屋さんに、お見立てをして貰いました。
が…価値が無いと断られ、そのまま、持って帰りました。
お父さん ゴメンなさい。
貴男が大切にしていた、18金の腕時計。
ジュエ〇カフェに持って行って、査定して頂きました。
とりあえず、保留にしていますが、時間の問題です。
お父さん ゴメンなさい。
まだ、貴金属は眠ってないか、貴男の持ち物を、片っ端から、家捜ししました。
散らかったまま、とりあえず、箱の蓋は被せてます。
そして…
主人の親戚に泊まって頂いた祖谷八景。メインの法要よりも、昨夜の宿に感激した親戚は
主人を偲ぶ事を忘れて 次の予約の事ばかり 相談していた
合 掌
草 々
娘達のアパートの炬燵で、ほんの少しうたた寝をして、朝の光に目を醒ました。
キッチンカウンターの上に置いた、白い骨壺を見て、夢なのか現実なのか、把握出来なかった。
娘達は、それぞれに、炬燵布団を被りながら、まだ眠っていた。
病室…お通夜の葬儀場…お葬式…火葬場…そのままアパートで朝を迎えた。
数日間の出来事が、現実として、受け止められないまま、その白い骨壺が、視界に入り込み
ココロが瞬きさえ遮るように、スーと落ちて行くのを、感じた。
「父さん…いないんだ…いなくなったんだね…」
現実味を帯ながら、それでも、この光景を、もう一人の自分が眺めていて
言葉にならない、深い深い喪失感が、身体中を包んでいった。
あの朝から、
六年が過ぎ去った。
様々な出来事が、あった。
様々な葛藤が、あった。
全て、逃げないで、乗り越える事が、出来た。
あの朝の喪失感に比べたら、何とでも、向かい合える、あれ以上の、哀しみ等、存在しない。
六年…を越え、私は強くなった。
自然の中で、三人の仏様と暮らしながら、日々の営みを積んでいる内に、下手な哲学に、行き着いた。
「人は必ず死ぬ…何故…神は、この世界に人間を、造ったのだろうか…」
「殺害によって断たれた生命、災害や、事故によって断たれた生命、冤罪により断たれた生命…
戦争によって断たれた生命…理不尽なことが、この世には蔓延り過ぎている…」
お経で魂が、浄化されるのなら、この世の修業など、必要ない。
そんな下手な哲学を考えながら、七回忌。
お父さん ゴメンなさい。
貴男が大切にしていた、骨董品を風呂敷に包み、骨董品屋さんに、お見立てをして貰いました。
が…価値が無いと断られ、そのまま、持って帰りました。
お父さん ゴメンなさい。
貴男が大切にしていた、18金の腕時計。
ジュエ〇カフェに持って行って、査定して頂きました。
とりあえず、保留にしていますが、時間の問題です。
お父さん ゴメンなさい。
まだ、貴金属は眠ってないか、貴男の持ち物を、片っ端から、家捜ししました。
散らかったまま、とりあえず、箱の蓋は被せてます。
そして…
主人の親戚に泊まって頂いた祖谷八景。メインの法要よりも、昨夜の宿に感激した親戚は
主人を偲ぶ事を忘れて 次の予約の事ばかり 相談していた
合 掌
草 々