原子力安全委員会後の記者会見を見ておきます。
この記者会見では、小児の甲状腺被ばくについて質疑されています。
あくまで、スクリーニングであり、福島県の健康影響調査を待って、ひとりひとりを見ていくという旨の回答がなされていました。
また、もんじゅもストレステストの対象になることの確認がされています。
****原子力安全委員会ホームページより****
http://www.nsc.go.jp/info/20110905.pdf
原子力安全委員会記者ブリーフィング
日時:平成23年9月5日(月)14:55~15:14
場所:合同庁舎4号館6階643号室
参加者:班目委員長、久住委員、加藤審議官、水間課長
○朝日新聞大岩記者 朝日新聞社の大岩と申します。 小児の甲状腺被ばくのことでお伺いしたいんですけれども、久住先生が最後におっしゃったコメントで、今回の検査というのは、スクリーニングで実施したものであって、測定値から線量を換算したり、健康影響を云々するものではないという、そういうことを確認しましたとおっしゃるコメントだったんですが、これはどういう意味でおっしゃったのか。これでもうよし、という意味でおっしゃったのか。今回、おっしゃるように、測定値で毎時のどれ ぐらいのシーベルトかということが分からずに、個々のお子さんの健康影響がどれくらいか ということが、今回のこれでは分からないかと思うんですけれども、そこはもういたし方な いというご判断なのでしょうか。
○久住原子力安全委員 今回の測定目的そのものは、今、おっしゃいましたように、先ほど も申しましたけれども、私どもがSPEEDIで予測した線量分布と、実際に─ それはS PEEDIの場合は、24時間外にいるという仮定で吸入したとしていますけれども、実際に 生活していらっしゃる方々、あるいは、お子さんがどの程度の線量を実態としては受けてい るだろうか、ということのスクリーニングという目的での測定方法であるということで、こ れをもって、その人の線量が幾らだとか、それから、それと線量によるリスクがどれぐらい かということを言うのは、ちょっと乱暴だなという気がいたします。もちろん、今後、非常 にお子さんたちの影響というものは大事なお話ですので、これでよしということではなくて、 今、福島県で実際に原災本部が支援をしながら、福島県の方で計画しておられる県民全体の 健康影響調査ということで、線量の推定及び健康影響も評価していくべきであると思ってお ります。これでよしということでは思っておりません。
ただ、ちょっと付け加えますと、福島の場合は、早くからいろいろな対応がされたという こと、それからチェルノブイリの場合は、あの地域そのものがヨウ素欠乏地域であったとい うことで、ヨウ素が非常に甲状腺にたまりやすい状況にあったと思いますので、今回の状況 は、それに比べまして若干状況が違うということはあるのかな、と思いますが、とはいえど も、やはり慎重にそこは、今後、見ていくべきものであると考えています。
○朝日新聞大岩記者 ヨウ素がちゃんと服用されていたかどうかというのは、最近のお子さ んでも、何か調べられているんでしょうか。以前の日本のそういう食品のいろいろな調査で は、ある程度ヨウ素がちゃんと摂取できているということですけれども、最近の若い方とか お子さんというのも、ちゃんと取れているんでしょうか。
○久住原子力安全委員 私ども、そのもののデータを持っているわけではありませんけれども、最近、よく若い人たちは、海藻類を食べなくなったということを言われておりますので、 確実なデータとしては持っておりませんけれども、尐なくとも、日本はチェルノブイリのよ うな内陸地域で全くそういう海藻類を食べない地域とは、随分違うんではないかなという感 覚を持っております。そこのところは、今後、多分、厚労省の方の食品衛生調査、そういう 状況で正確なデータは出るんだと思いますけれども、現在、私はそういう核心的なデータを 持っているというわけではありません。
○NHK岡本記者 NHKの岡本です。 今の質問に関連して伺いたいんですが、先ほど、報告いただいた内閣府原子力被災者生活支援チームの方が、その後おっしゃっていたんですが、久住委員から今日の委員会の中でも ありました分布ですね。実際に、被ばくされた方がどのような地域に分布されているのかと か、年齢との分布、こういったものは、原子力安全委員会からそういった指示があれば、分 析しなければならないという話があったんですが、原子力安全委員としてはどういったお考 えでしょうか。
○久住原子力安全委員 先ほど、委員会の場でも申しましたように、今日、一応全体として 報告いただきましたのは初めてですけれども、では、実際に、その場所によって分布の仕方 が違うのか、年齢構成がどうであったか等々詳細につきましては、さらなる検討と、それか ら、これから最大限どういうことが言え、どういうことは気を付けていかなきゃいけないか、 ということも含めて詳細に検討させていただきたいと思っておりますので、その辺は、原災 本部の方へ要請していきたいと思います。
○NHK岡本記者 SPEEDIの結果との照らし合わせなんですが、これについては、ま た改めて報告されるような機会というのはあるんでしょうか。今回のこの結果とSPEED Iとの評価についてですが。
○久住原子力安全委員 今のところ、SPEEDIの分布図がこうで、実際に実測値をしま した分布図はこうであるということは、なかなか、この調査だけでは言えませんので、どの ように、今後、報告させていただくかは、今のところ考えておりませんけれども、尐なくと も確認できたことは、SPEEDIの分布図で100mSv等価線量という地域においても、 かなり低い線量であるということは言えると、ちょっと、この検査だけでそれ以上のことは なかなか言えないかなと思います。
○班目原子力安全委員長 ちょっと補足しますと、例えば、SPEEDIか何かをこれから 活用して、何とか当時どういうことが起こっていたか、ということを確認できないかという 趣旨だろうと思うんですけれども、やはり、この辺りについては、相当な誤差が大きいとい うことから、むしろやはり福島県の方で主導してやっていただいている健康影響調査の方を しっかり充実させるということの方が、むしろ重要だというふうに考えている次第です。
○NHK岡本記者 今回、このスクリーニングの対象地域ではなかったところの子供たちに ついても、結局は健康調査を継続して見ていくということになるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 もちろんというか、この3箇所で測定していただいていますけれ ども、それも全員というわけではなくて、サンプリング調査で、大体こんなところだという ことが分かったということですので、当然、これは、まさにスクリーニングというか、全体 はどんな感じかなというのを把握するのが目的です。一方、健康となりますと、健康の問題 は個々人について、一人一人が大切ですから、これは全員を対象にやるということになって いると聞いておりますので、それをしっかりやっていただきたいと思っております。
ゼロから13歳までの方......18歳ですね、ごめんなさい。18歳までの方全員というふうに、 今日の資料にもございますけれども、しっかりやっていただきたいと思っております。
○NHK岡本記者 ありがとうございました。
○木野記者 フリーの木野ですけれども、今日の議題と外れてしまうんですが、今回、福島 の事故が実際にああいう形で起こったことで、例えば、1964年の原子力委員会の原子炉の立 地指針の中で、災害側の立地の場所として、過去に大きな災害がなくて、今後も大きな災害 がない場所というのが規定されているんですが、それに照らし合わせると、立地指針に合っ ていなかったんではないか、という判断もできるようには思うんですが、この辺、委員長の 見解というのはいかがでしょうか。
○班目原子力安全委員長 かなり、その文面をどう解釈するかということは、必ずしもきち んとした合意ができているわけではございませんけれども、どちらかというと、立地指針で 述べていることというのは、明らかに、立地上ふさわしくないところは作っては絶対いけま せんよ、という趣旨だというふうに解釈するのが普通だと思っております。今回、災害が起 こったということから、今後、どういうふうに判断されるかは、また別のものだとは思って おりますけれども、これはこれで、またしっかり議論していきたいと思っております。
○木野記者 例えば、今回の中で女川辺りも被災地になっているわけですけれども、仮にで すけれども、今すぐ再稼働はないと思いますが、仮に検討される場合に、こういった女川の 場所が立地指針に合っていない、という判断が出た場合は、なかなか、その再稼働というの も一段壁があるというか、そういう認識になるんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 立地指針ということよりは、これはむしろ耐震設計審査指針の問 題であって、耐震設計審査指針、これが今、地震・津波検討の小委員会か何かの方でも問題 になっていますけれども、その結果を待って判断されるべきものというふうに考えておりま す。
○木野記者 基本的には立地指針の規定に合っているかいないかよりも、立地指針には合っ ていなくても耐震設計指針でカバーできていればいいと、そういう認識なんですか。
○班目原子力安全委員長 立地指針に合っているかというよりは、立地指針の言うことをよ り具体的に書き下したものが、例えば、耐震設計審査指針等々であるというふうにご理解い ただければと思います。
○NHK宮川記者 NHKの宮川と申します。 ちょっと細かい話かもしれませんが、今日、最後にあった原子力安全基準・指針専門部会の構成員として入倉先生、谷岡先生が追加されたというのは、これはどういう判断の下であ ったんでしょうか。
○班目原子力安全委員長 実は今、耐震......何小委員会でしたっけ。
○水間課長 地震・津波関連指針等検討小委員会です。
○班目原子力安全委員長 その関連指針等検討小委員会というのを、この専門部会の下で走 らせているわけでございます。その関係者が、その親の部会の方に入っていないというのは おかしいということで入っていただくようお願いし、了承いただいているということでござ います。
○NHK宮川記者 今まで小委員会には入っていて、今度、親部会に新たに入るというふう な。
○班目原子力安全委員長 その通りでございます。
○NHK宮川記者 それはどういうことになるんでしょうか、小委員会のメンバーだけとい う人も多数いらっしゃると思うんですが。
○班目原子力安全委員長 もちろんそうです。これは決まり上、入っていなければいけない というものではないんですが、入っていないと非常に連絡が悪くなるということから、当然、 入っていただいた方がよろしいというふうに判断したというものでございます。
○NHK宮川記者 それは親部会での判断にもこのお2人が参加された方がいいというふう なこと。
○班目原子力安全委員長 親部会で、例えば、ご報告いただく時等に、当然、参加していた だくべきものだと思っております。
○NHK宮川記者 はい、分かりました。
○東京新聞榊原記者 東京新聞の榊原です。 細野原発事故担当大臣が、原発の寿命に新しい基準を導入したい。それは科学的な判断に基づいてしたいんだという発言がありましたが、現在、保安院の方で40年超、30年超ですか ─ の老朽化した、高経年化した原発に対しては審査をして許可をしているということです が、新たな基準を設けるとなると、どういったことが考えられるのか、何かそういうのを委 員長のご感想と、今までの高経年化の審査に問題点があるとしたら、どういったところに問 題点があって、今後はどういった評価が必要になってくるのか、お考えがあればお聞かせく ださい。
○班目原子力安全委員長 細野大臣のおっしゃっている意味をちゃんと理解しているわけで はないので、ちょっと違うことを言ってしまうかもしれませんけれども、ややもすると、今 までの高経年化対策ということからの評価というのは、視点が、これまでの許可基準と照ら して十分かどうかというところだけに絞られていたような感じがします。それに対して、現 実問題として、例えば、ストレステストなんかを実施するようになったということは、許可 の時の水準から比べても、どれだけさらに余裕があるかどうかということも調べてもらうと いうような、これ多分、一部行政指導だし、ちょっと省令改正なんかもやっているみたいで すけれども、そういうことになってきていますので、当然、それも含めた意味での総合的な 判断ということが加わってくる。これは、多分、従来の考え方とは、ちょっと進んだという か、広げた考え方になっているんだろうというふうに理解しています。
○東京新聞榊原記者 分かりました。 あと、新しい文科省大臣の中川大臣が、「もんじゅ」のリスク、冷却材にナトリウムを使っていることのリスクを再検証したいというふうに発言されました。今まで、高速増殖炉は ナトリウムを使っていても安全だという政府の立場だったと思うのですが、改めてリスクを 再検証するということを大臣が発言したことについての委員長のご見解というか、ご所見な どがあれば。
○班目原子力安全委員長 実は、原子力安全委員会は「ストレステスト」という言葉は必ず しも使っていませんで、緊急安全対策の総合的評価をやってくださいというふうなお願いを しているのですけれども、「もんじゅ」も対象になってございます。そういう意味からいく と、「もんじゅ」についても、ただ単に許可基準を満たしているからとかというだけではな い、一種のストレステスト的なものが行われるというふうに承知していまして、その結果を しっかり見ていきたい。その辺りが、多分、中川大臣の趣旨ではないかというふうに想像し ます。
○東京新聞榊原記者 分かりました。ありがとうございます。
○木野記者 たびたびすみません。フリーの木野と申しますが、先週、保安院の方から、事 故直後のERSSのデータが公表されているのですけれども、5月の委員会の折に班目委員 長は、ERSSは動いていないので、SPEEDIの評価ができなかったという発言をされ ているのですが、その「動いていない」というのは、どういう認識で「動いていない」とお っしゃられているのかということと、実際に、保安院の方からどういう形で情報が伝わって いたのか、あるいはいなかったのかというのをお聞かせいただければと思います。
○班目原子力安全委員長 5月だったかもしれませんけれども、ERSSというのは、本来 は、実は、この安全委員会の事務局でも見ることができるのですが、実機のデータがそのま ま取り込まれて表示されるというものです。そういう意味では、もう現地と回線が繋がって おりませんから、全く、本来のERSSの使い方では機能していなかった、この認識は間違 っていないと思います。
ただ、ERSSにはいろいろなデータベース機能等々がありますから、それを使って別途 動かすこと、これはあるかもしれません。私が申し上げたのは、あくまでもERSSの本来 の使い方はできない状態になっていたという意味でございます。
○木野記者 そうすると、事故直後にERSSの解析結果で、2号機、3号機で割合早い時 期に炉心溶融というのも、保安院の方では認識していたということなのですが、班目委員長 としても早い時期、例えば、水素爆発があった時期には、もう既に、メルトダウンしていた という認識があったということでよろしいでしょうか。
○班目原子力安全委員長 ええ。これは、別に、ERSSを回さなくても、ある程度、原子 炉の特性というものを知っている人間ですと、原子炉は炉心が露出したら数時間でメルトダ ウンに至るであろうということは容易に想像がつくものですから、そういう認識は、もうか なり最初のころから持っておりました。
以上
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