goo blog サービス終了のお知らせ 

「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

自分で使わず他人に譲渡するために自己名義の預金口座をつくることは詐欺罪に当たります。

2013-04-30 23:00:00 | シチズンシップ教育
 預金通帳を誰かに譲渡する意図を隠して銀行員に自己名義の預金口座開設をする行為は、詐欺罪か。

 詐欺罪に当たるとしても、意図なるものは、客観的に見えないから、実際に詐欺罪として犯人を捕まえることは、難しいのではないかと感じます。

 難しいけれど、この段階で防がねば、振り込め詐欺を根絶できないと思います。

 最高裁がどのような見解か、見てみます。


*****最高裁ホームページより****
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070718144217.pdf

判決文全文

主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中140日を本刑に算入する。

理由

弁護人近藤広明の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,事案を異にする判例を
引用するものであって,本件に適切でなく,その余は,憲法違反をいう点を含め,
実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上
告理由に当たらない。

所論にかんがみ,本件各詐欺罪の成否について検討する。

1 原判決及びその是認する第1審判決の認定並びに記録によれば,本件の事実
関係は次のとおりである。
(1) 被告人は,第三者に譲渡する預金通帳及びキャッシュカードを入手するた
め,友人のAと意思を通じ,平成15年12月9日から平成16年1月7日までの
間,前後5回にわたり,いずれも,Aにおいて,五つの銀行支店の行員らに対し,
真実は,自己名義の預金口座開設後,同口座に係る自己名義の預金通帳及びキャッ
シュカードを第三者に譲渡する意図であるのにこれを秘し,自己名義の普通預金口
座の開設並びに同口座開設に伴う自己名義の預金通帳及びキャッシュカードの交付
方を申し込み,上記行員らをして,Aが,各銀行の総合口座取引規定ないし普通預
金規定等に従い,上記預金通帳等を第三者に譲渡することなく利用するものと誤信
させ,各銀行の行員らから,それぞれ,A名義の預金口座開設に伴う同人名義の普
通預金通帳1通及びキャッシュカード1枚の交付を受けた。
(2) 被告人は,A及びBと意思を通じ,平成17年2月17日,Bにおいて,
- 2 -
上記(1)と同様に,銀行支店の行員に対し,自己名義の普通預金口座の開設等を申
し込み,B名義の預金口座開設に伴う同人名義の普通預金通帳1通及びキャッシュ
カード1枚の交付を受けた。
(3) 上記各銀行においては,いずれもA又はBによる各預金口座開設等の申込
み当時,契約者に対して,総合口座取引規定ないし普通預金規定,キャッシュカー
ド規定等により,預金契約に関する一切の権利,通帳,キャッシュカードを名義人
以外の第三者に譲渡,質入れ又は利用させるなどすることを禁止していた。また,
A又はBに応対した各行員は,第三者に譲渡する目的で預金口座の開設や預金通
帳,キャッシュカードの交付を申し込んでいることが分かれば,預金口座の開設
や,預金通帳及びキャッシュカードの交付に応じることはなかった。
2 以上のような事実関係の下においては,銀行支店の行員に対し預金口座の開
設等を申し込むこと自体,申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する意思である
ことを表しているというべきであるから,預金通帳及びキャッシュカードを第三者
に譲渡する意図であるのにこれを秘して上記申込みを行う行為は,詐欺罪にいう人
を欺く行為にほかならず,これにより預金通帳及びキャッシュカードの交付を受け
た行為が刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。被告人の本件
各行為が詐欺罪の共謀共同正犯に当たるとした第1審判決を是認した原判断に誤り
はない。
よって,刑訴法414条,386条1項3号,刑法21条により,裁判官全員一
致の意見で,主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官那須弘平裁判官
田原睦夫裁判官近藤崇晴)

**********************

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34955&hanreiKbn=02

事件番号

 平成18(あ)2319



事件名

 詐欺被告事件



裁判年月日

 平成19年07月17日



法廷名

 最高裁判所第三小法廷



裁判種別

 決定



結果

 棄却



判例集等巻・号・頁

 第61巻5号521頁




原審裁判所名

 東京高等裁判所



原審事件番号

 平成18(う)1339



原審裁判年月日

 平成18年10月11日




判示事項

 預金通帳等を第三者に譲渡する意図を秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たるか




裁判要旨

 預金通帳等を第三者に譲渡する意図であるのに,これを秘して銀行の行員に自己名義の預金口座の開設等を申し込み,預金通帳等の交付を受ける行為は,刑法246条1項の詐欺罪に当たる。




参照法条

 刑法246条1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第1項,金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律16条の2第2項
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする