カルテルや談合。
あってはならないと考えるところです。
正確な定義は、他に譲るとして、簡単に言うと
カルテル:一定以下の価格では売らないことの企業間の秘密の取決め
談合:受注を、ある社に取らせることの企業間の秘密の取決め
このことを防ぐために各国がとる対策は、
英米:刑事罰に重き
EU:課徴金に重き
日本:その両方をどちらも軽く
このカルテル、談合を見つけるための一つの手法が、
課徴金減免制度(リーニエンシー)
日本には、2006年導入されました。韓国は、日本より約10年早く導入。
不正を早く自主申告した社には罰金などをゼロや減免する仕組み。
米国では、申請した社には捜査協力義務を課し、芋づる式の摘発につながる。
日本の例では、
2007年米国司法省と日本の公取委などが摘発した原油などの海上輸送に使う「マリンホース」をめぐるカルテル事件。
自首した日本メーカーの社員が米国司法省のおとり捜査に協力。
カルテルメンバーになりすまして会合を開いたところへ、司法省が踏み込み、逮捕した。
日本的に考えて、逮捕にいたる倫理性に課題があるものの、
カルテル、談合という不正から市場の適正な価格形成を守るということの利益を、比較衡量して、
リーニエンシーを機能させているといったところでしょうか。
最近の具体的事件:
*****朝日新聞(2013/0325)*****
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY201303240241.html
米で邦人社員12人収監 自動車部品カルテル、海外波及
【岩波精、中井大助=ニューヨーク】自動車部品をめぐる価格カルテルが海外にも波及していたことがわかり、かかわった日本メーカーの社員12人が、アメリカで次々に収監される事態になっている。企業活動が国際化し、各国の当局は摘発に向け協力関係を強めているが、日本企業の対応の遅れを指摘する声もある。
12人は矢崎総業、古河電工、デンソーと、埼玉県の部品メーカー=米司法省は捜査中として社名非公表=の計4社に勤務。米国法人の支店長や営業担当幹部のほか、日本国内のトヨタやホンダ向け営業部門の担当部長などを務めていた。
いずれも日本の独占禁止法にあたる米国の反トラスト法に違反したとされ、2011年から昨年にかけ、禁錮1年1日~2年を認める有罪答弁をした。米司法省の担当者は今年2月時点で、すでに10人が収監されたことを明らかにし、「捜査はこれまでに公表している状況よりさらに拡大している」と述べている。
日本ではカルテルで個人が実刑を受けた例はない。米国でも、日本人が12人も一度に収監の対象になった今回は異例だ。
各企業や日本の公正取引委員会の関係者によると、米国滞在中に身柄を拘束されたケースもあるが、多くは日本で勤務しながら、今後のビジネスへの影響を考慮して自ら渡米し、収監されたとみられる。
http://www.asahi.com/national/update/0325/TKY201303240249.html
突然の収監、驚く日本企業 自動車部品カルテル
【岩波精、中井大助=ニューヨーク】日本のサラリーマンたちが、海外で続々と収監される――。そんな事態が現実のものとなっている。自動車部品をめぐって違法なカルテルに関与したとして、米国で禁錮刑を科された。「日本企業同士で話し合ったのに、米国で摘発されるなんて」と驚く企業関係者もいる。
昨年のある朝。東日本にある自動車部品メーカーの管理本部に、同社の現地法人の社長から十数枚のファクスが届いた。
表紙には「SUBPOENA(サピーナ)」と書かれている。「何だこれは、とパニックになった」。幹部は振り返る。